まおうさまの勇者育成計画

okamiyu

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第一章:覚醒せよ、灰かぶりの勇者――ゴーストタウンに隠された声

第23話:誰がホップタウンを殺した!?

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王歴111年。魔王軍がホップタウンを襲撃した。



モンスターの暴行により、千人を超える村人たちは全滅。

その無念は悪霊となって残り、夜ごとに溢れ出し、周囲の町々を襲う。



25年前、当時の勇者カズキ一行がこの地を訪れ、聖女フィロメナ・ド・リュミエールによって封印が施された――

……と、記録にはそうある。



だが、その話には不自然な点が多すぎた。



まず、なぜ魔王軍がこんな辺鄙な村を襲ったのか?

すぐ近くには戦略的価値の高い都市グラナールがある。

資源も乏しく、補給線も山道頼りのこの村を占領したところで、何の意味がある?

空路を使ったとしても目立ちすぎる。こんな場所を拠点にしても、敵に襲われれば三日ともたないだろう。



次に、何のモンスターが襲ったのか――これも資料によってバラバラだ。

例の書物『勇者カズキのチートスキルが強すぎてヤバい件について』には"オーク"とあるが、

人間の正史には"ワイバーン"と記されている。

オークとワイバーンでは姿も戦術もまったく違う。なぜ、そんな明確な違いが混同されたのか?



「夜までここで待てば、幽霊さん出るんですか~?」

「出なくていい。というか、出るな!」

……あいつら、完全にピクニック気分かよ。



現場には魔法が発動された痕跡が残っていた。

しかも、それは聖女の封印以外の大型魔法だ。

建物も焼かれているが、妙に"綺麗に"燃えている。

モンスターにそこまで意図的に村全体を燃やす理由があるか?

まるで、何かを隠すための焼却処理にしか見えない。



「僕はもう寝るね。朝ごはんの時間になったら起こして」

「……この場所、人の負の感情がよく染みついていて、とっても居心地が良いですわ~」

「えいっ」



俺は死体の方を探してみた。

何か手がかりがあるかもしれないと思って。

……だが、何もなかった。



「だめですよ、マオウさん。人のお墓を荒らしたら、幽霊さんに怒られちゃいます」

「死者の遺品を漁るなんて、この罰当たりが!。もういやだぁ、俺は帰りたい……」

完全に肝試しのノリだ。



墓の中には何もなかった。

25年前、勇者たちに退治されたか。

それにしても、どんな本にもゾンビやスケルトンのようなアンデッドが出て来ないのがおかしい。

あれだけの死体ができたのに。霊体の幽霊があるが、体があるアンデッドがないのは常識に反している。

……もしかして、最初から"死体"が存在しなかった?



では、死体はどこに行った?

食べられた?――あり得ない。オークもワイバーンも、骨まで綺麗に食べるわけがない。

運ばれた?――ありえない。悪霊騒動はこのゴーストタウンで起きている。肉体は消えたが、ここから移動していない。

燃やした?――それが最もあり得る――そう私は考えた。



だが、あの村全体を焼き尽くすような高熱の炎を、オークやワイバーンが出せるとは思えない。

不完全燃焼の死体が残るのが普通だ。そして、それがアンデッドになる。

それが一体も存在しない。となると――

「完全に消された」可能性が浮かぶ。



そして、なぜ悪霊はモンスターではなく"人間の町"を襲うのか?

人間には理解できないかもしれないが、

生者が怨霊に襲われるのは、恨みがあるからだ。

ゴーストタウン周辺にはモンスターだって生息している。

それを無視して"人間"を狙うというのは、答えを言っているようなものだ。



最後に――なぜ"浄化"ではなく"封印"したのか。

前勇者一行は悪霊に勝てなかった?

いいや。あのメンバーに、霊体にすら劣勢を取るとは思えない。

できなかったのではない。"しなかった"のだ。

何かを――隠すために。



人間の歴史は、嘘と栄光で塗り固められている。

この惨劇を生んだ"本当の罪人"は――

……人間かもしれない。



――日が暮れ、光が静かに消えてゆく。

ホップタウンの空は、死の静寂に染まっていた。

こうして、"勇者一行の長い夜"が始まった。
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