まおうさまの勇者育成計画

okamiyu

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第二章:壊せ、偽りの楽園――不夜城に咲く嫉妬と誘惑の花

第40話:勇者は入れず、姫が入った

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「レン君、ひどいです。なんで、何も相談せずに勝手に出ていったんですか! みんな心配してたんですよ!」



「はい……すみません」



俺はあいつらを巻き込まないために、一人で兄の救出に向かおうとした。

……のに、



「「あっ!」」



――途中で、ふつうにセリナたちと出くわした。



「レン君、ちゃんと反省してますか?」



「はい、すみません……」



夜の闇に、不思議な光景が広がっていた。

メイドが姫を叱っている――それも真剣に。







「君は《不夜城》に入れないって話、前に教えたたよな? 男しか入れないって」



「試してみないと、わからないだろ?」



「レン君!」



「はい、すみません……」



セリナのお説教は帰ってからお預けになった。

一行は《不夜城》の目前へと進んでいった。

帰ってもまだ説教か…



「よし、そろそろだな。ここから先は……何か女子禁制だ。俺が入ってやる」



「……いや、レン君、もう入ってます。」



セリナがふいにそう言って、俺の背後を見た。

……ん?



「セリナ君、君はその先へ進めるか?」



「はい、何か見えない壁があって……通れません」



……んんん?



「じゃ、セリナ君はここで待機して。私とレンで行く」



「はい! いってらっしゃいです!」



「ちょっと待って! なんで誰も俺が"入れてる"ことに触れないの!?」



おかしいでしょ!

俺、正真正銘の女の子だよ!?







「いいじゃないか。戦力が一人増えたことで。君も入りたがってただろ」



「そうだけど! でもそうじゃない!」



「レン君……やっぱり男の子だったんですね……」



「女の子だよ!? 一緒にお風呂だって入ったことあるよね!? てか、"やっぱり"って何さ!」



……って、あの悪魔、確かに言ってた気がする。

――「また《不夜城》で会おう」って。

……ああ、こういう意味だったのか……。



「時間がない。早くしないと、あの勇者もどき、歴史の教科書でしか会えなくなるぞ?」



……こいつ、本当にデリカシーがない。

でも、そんなとこも少し好きな自分が……にくい。







目の前に、城の光が広がっていた。

――豪華、絢爛、壮麗。



どんな言葉を使っても足りない。

夜空に浮かぶ城は、まるで星座そのものが地上に降り立ったかのようだった。

無数の光の粒が宙に舞い踊り、虹色の光線が幾重にも交差して、闇を昼のように照らしている。



城壁は純白の大理石で築かれ、その表面には金と銀の装飾が複雑な文様を描いていた。

尖塔の先端には巨大な水晶が据えられ、内部から放たれる光が万華鏡のように七色に分かれて夜空を彩る。



正面の大門は象牙と黒檀で作られ、扉には無数の宝石が星座の形に埋め込まれていた。

門の両脇には翼を広げた黄金の竜の像が立ち、その目には紅いルビーが嵌められて、まるで生きているかのように輝いている。



城の周囲には、透明な水晶の橋が宙に浮かんでいた。

橋の下には雲海が広がり、その中を色とりどりの光の魚が泳いでいる。

空中庭園には見たこともない美しい花々が咲き乱れ、甘い香りが風に乗って漂ってくる。



遠くから聞こえてくるのは、天上の音楽。

竪琴の調べに混じって、美しい歌声が夜風に響く。

それは人の心の奥底に眠る欲望を呼び覚ますような、危険で魅惑的な調べだった。



過去の王や皇帝たちが、果たしてこのような宮廷を築けただろうか?

……わからない。



人間の技術では到底不可能な、まさに超自然的な美しさ。

それは現実を超越した、夢と幻想の結晶だった。



これが、男たちがすべてを捨ててでも向かう、堕落の楽園――

《不夜城》
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