45 / 190
第二章:壊せ、偽りの楽園――不夜城に咲く嫉妬と誘惑の花
第40話:勇者は入れず、姫が入った
しおりを挟む
「レン君、ひどいです。なんで、何も相談せずに勝手に出ていったんですか! みんな心配してたんですよ!」
「はい……すみません」
俺はあいつらを巻き込まないために、一人で兄の救出に向かおうとした。
……のに、
「「あっ!」」
――途中で、ふつうにセリナたちと出くわした。
「レン君、ちゃんと反省してますか?」
「はい、すみません……」
夜の闇に、不思議な光景が広がっていた。
メイドが姫を叱っている――それも真剣に。
*
「君は《不夜城》に入れないって話、前に教えたたよな? 男しか入れないって」
「試してみないと、わからないだろ?」
「レン君!」
「はい、すみません……」
セリナのお説教は帰ってからお預けになった。
一行は《不夜城》の目前へと進んでいった。
帰ってもまだ説教か…
「よし、そろそろだな。ここから先は……何か女子禁制だ。俺が入ってやる」
「……いや、レン君、もう入ってます。」
セリナがふいにそう言って、俺の背後を見た。
……ん?
「セリナ君、君はその先へ進めるか?」
「はい、何か見えない壁があって……通れません」
……んんん?
「じゃ、セリナ君はここで待機して。私とレンで行く」
「はい! いってらっしゃいです!」
「ちょっと待って! なんで誰も俺が"入れてる"ことに触れないの!?」
おかしいでしょ!
俺、正真正銘の女の子だよ!?
*
「いいじゃないか。戦力が一人増えたことで。君も入りたがってただろ」
「そうだけど! でもそうじゃない!」
「レン君……やっぱり男の子だったんですね……」
「女の子だよ!? 一緒にお風呂だって入ったことあるよね!? てか、"やっぱり"って何さ!」
……って、あの悪魔、確かに言ってた気がする。
――「また《不夜城》で会おう」って。
……ああ、こういう意味だったのか……。
「時間がない。早くしないと、あの勇者もどき、歴史の教科書でしか会えなくなるぞ?」
……こいつ、本当にデリカシーがない。
でも、そんなとこも少し好きな自分が……にくい。
*
目の前に、城の光が広がっていた。
――豪華、絢爛、壮麗。
どんな言葉を使っても足りない。
夜空に浮かぶ城は、まるで星座そのものが地上に降り立ったかのようだった。
無数の光の粒が宙に舞い踊り、虹色の光線が幾重にも交差して、闇を昼のように照らしている。
城壁は純白の大理石で築かれ、その表面には金と銀の装飾が複雑な文様を描いていた。
尖塔の先端には巨大な水晶が据えられ、内部から放たれる光が万華鏡のように七色に分かれて夜空を彩る。
正面の大門は象牙と黒檀で作られ、扉には無数の宝石が星座の形に埋め込まれていた。
門の両脇には翼を広げた黄金の竜の像が立ち、その目には紅いルビーが嵌められて、まるで生きているかのように輝いている。
城の周囲には、透明な水晶の橋が宙に浮かんでいた。
橋の下には雲海が広がり、その中を色とりどりの光の魚が泳いでいる。
空中庭園には見たこともない美しい花々が咲き乱れ、甘い香りが風に乗って漂ってくる。
遠くから聞こえてくるのは、天上の音楽。
竪琴の調べに混じって、美しい歌声が夜風に響く。
それは人の心の奥底に眠る欲望を呼び覚ますような、危険で魅惑的な調べだった。
過去の王や皇帝たちが、果たしてこのような宮廷を築けただろうか?
……わからない。
人間の技術では到底不可能な、まさに超自然的な美しさ。
それは現実を超越した、夢と幻想の結晶だった。
これが、男たちがすべてを捨ててでも向かう、堕落の楽園――
《不夜城》
「はい……すみません」
俺はあいつらを巻き込まないために、一人で兄の救出に向かおうとした。
……のに、
「「あっ!」」
――途中で、ふつうにセリナたちと出くわした。
「レン君、ちゃんと反省してますか?」
「はい、すみません……」
夜の闇に、不思議な光景が広がっていた。
メイドが姫を叱っている――それも真剣に。
*
「君は《不夜城》に入れないって話、前に教えたたよな? 男しか入れないって」
「試してみないと、わからないだろ?」
「レン君!」
「はい、すみません……」
セリナのお説教は帰ってからお預けになった。
一行は《不夜城》の目前へと進んでいった。
帰ってもまだ説教か…
「よし、そろそろだな。ここから先は……何か女子禁制だ。俺が入ってやる」
「……いや、レン君、もう入ってます。」
セリナがふいにそう言って、俺の背後を見た。
……ん?
「セリナ君、君はその先へ進めるか?」
「はい、何か見えない壁があって……通れません」
……んんん?
「じゃ、セリナ君はここで待機して。私とレンで行く」
「はい! いってらっしゃいです!」
「ちょっと待って! なんで誰も俺が"入れてる"ことに触れないの!?」
おかしいでしょ!
俺、正真正銘の女の子だよ!?
*
「いいじゃないか。戦力が一人増えたことで。君も入りたがってただろ」
「そうだけど! でもそうじゃない!」
「レン君……やっぱり男の子だったんですね……」
「女の子だよ!? 一緒にお風呂だって入ったことあるよね!? てか、"やっぱり"って何さ!」
……って、あの悪魔、確かに言ってた気がする。
――「また《不夜城》で会おう」って。
……ああ、こういう意味だったのか……。
「時間がない。早くしないと、あの勇者もどき、歴史の教科書でしか会えなくなるぞ?」
……こいつ、本当にデリカシーがない。
でも、そんなとこも少し好きな自分が……にくい。
*
目の前に、城の光が広がっていた。
――豪華、絢爛、壮麗。
どんな言葉を使っても足りない。
夜空に浮かぶ城は、まるで星座そのものが地上に降り立ったかのようだった。
無数の光の粒が宙に舞い踊り、虹色の光線が幾重にも交差して、闇を昼のように照らしている。
城壁は純白の大理石で築かれ、その表面には金と銀の装飾が複雑な文様を描いていた。
尖塔の先端には巨大な水晶が据えられ、内部から放たれる光が万華鏡のように七色に分かれて夜空を彩る。
正面の大門は象牙と黒檀で作られ、扉には無数の宝石が星座の形に埋め込まれていた。
門の両脇には翼を広げた黄金の竜の像が立ち、その目には紅いルビーが嵌められて、まるで生きているかのように輝いている。
城の周囲には、透明な水晶の橋が宙に浮かんでいた。
橋の下には雲海が広がり、その中を色とりどりの光の魚が泳いでいる。
空中庭園には見たこともない美しい花々が咲き乱れ、甘い香りが風に乗って漂ってくる。
遠くから聞こえてくるのは、天上の音楽。
竪琴の調べに混じって、美しい歌声が夜風に響く。
それは人の心の奥底に眠る欲望を呼び覚ますような、危険で魅惑的な調べだった。
過去の王や皇帝たちが、果たしてこのような宮廷を築けただろうか?
……わからない。
人間の技術では到底不可能な、まさに超自然的な美しさ。
それは現実を超越した、夢と幻想の結晶だった。
これが、男たちがすべてを捨ててでも向かう、堕落の楽園――
《不夜城》
0
あなたにおすすめの小説
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
木を叩いただけでレベルアップ⁉︎生まれついての豪運さんの豪快無敵な冒険譚!
神崎あら
ファンタジー
運動も勉強も特に秀でていないがめっちゃ運が良い、ただそれだけのオルクスは15歳になり冒険者としてクエストに挑む。
そこで彼は予想だにしない出来事に遭遇する。
これは初期ステータスを運だけに全振りしたオルクスの豪運冒険譚である。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
いわゆる異世界転移
夏炉冬扇
ファンタジー
いわゆる異世界転移
森で目を覚まし、虫や動物、あるいは、魔物や野盗に襲われることなく
中規模な街につき、親切な守衛にギルドを紹介され
さりげなくチート披露なパターンA。
街につくまえに知る人ぞ知る商人に
訳ありのどこぞの王族に会うパターンBもある。
悪役令嬢なるパターンCもある。
ステータスオープンなる厨二病的呪文もかなり初歩にでてくる。
ゲームの世界で培った知識が役に立つこともある、らしい。
現実問題、人はどうするか?
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした
むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~
Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。
配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。
誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。
そんなホシは、ぼそっと一言。
「うちのペット達の方が手応えあるかな」
それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。
【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~
月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』
恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。
戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。
だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】
導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。
「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」
「誰も本当の私なんて見てくれない」
「私の力は……人を傷つけるだけ」
「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」
傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。
しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。
――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。
「君たちを、大陸最強にプロデュースする」
「「「「……はぁ!?」」」」
落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。
俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。
◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる