53 / 190
第二章:壊せ、偽りの楽園――不夜城に咲く嫉妬と誘惑の花
第48話:時間を止める者たちと、動くハート♡
しおりを挟む
天女の間で、レンと元聖女ミリアムが剣を交えていたその裏側――
止まった時間の世界では、もうひとつの“最終決戦”が始まっていた。
*
「デビキュン♡アローっ☆」
アスモデウスの放つハート型の魔力矢が、雨のように空間を彩る。
だが――ここは魔王が停止した時間の中。
アスモデウスはこの停止世界でも動ける、数少ない存在だ。
しかし魔力矢は、彼女の手を離れた瞬間、空中で静止してしまう。
「え~、これいつ終わるの? 普通、5秒でしょ?」
「時間が止まってるのに“5秒”の概念があるか。
そもそも私は人間じゃない。制限なんてない」
そう言って、魔王は手をかざす。
「ファイヤボール」
そう名乗った魔法から放たれたのは、火でも玉でもない――
謎の破壊光線だった。
「ちょっ!? いきなり時間戻すなんてズルいし!
今の、全然ファイヤじゃない!!」
ビームをギリギリで回避し、アスモデウスはぷりぷり怒る。
「今の絶対ファイヤボールじゃなかったよね!?
火属性ですらないし、レベルも違いすぎるし!
前から思ってたけど、魔王様って……魔法名、てきとーだよね!?」
「アホ。戦闘中に敵にわざわざ魔法の詳細を教える馬鹿がいるか。
ジャミングは戦術の基本だ」
魔王は当然のように語りながら、またも無言で魔法を連射する。
「せこっ! スカート焦げたじゃん! も~、毛玉ボディのくせにやることも毛玉!」
「ちっ……」
舌打ちで応じる魔王。
「その毛玉みたいな姿と同じ、せこすぎる……もう怒った!」
アスモデウスは印を組み、両手を突き出す。
「エクス♡ラヴリエルッ!」
――が、無数のハートビームは発射された直後に空中で停止。
「えっ? ……また止めた?
ちょっと! 何回止めるつもり!?」
「これでモリアと時間停止の世界で、体感千年戦い続けて勝った。
経験値なら、こちらのほうが上だ」
「へえ~? 魔王様って……物理、苦手なんじゃなかったっけ?♡」
アスモデウスは姿勢を低くし、にやりと笑う。
「なら、これで決まりっ☆」
「ラブリー♡フィニッシュ・ホールド!」
アスモデウスが魔王に向かって、全力のハート型タックルを仕掛けてくる。
小悪魔スマッシュ、その威力はあなどれない!
近接攻撃には時間停止が通用しない。
魔王はすぐさま時間を戻し、衝撃を避けるために空間魔法で転移して逃げた。
が――
「ラブリー♡カタストロフ!」
再び放たれた遠距離技に、魔王が対応しようとしたその瞬間――
「誘惑♡スピンキック♪」
アスモデウスの身体が一気に接近。旋回蹴りが魔王に迫る!
「ふーん、近接魔法も使えるのに、どうして使わないのかな? 魔王様♪」
――連続攻撃の狙いは明確だった。
幻術と性魔術を操るアスモデウスにとって、
魔法耐性の高い彼女が多少の近接魔法を受けても致命傷にはならない。
だが、物理に弱い魔王が“性技”を食らえば――先に崩れるのは、彼の方だ。
一見、魔王はかなり劣勢に見えた。
だが――その表情に焦りはなかった。
むしろ、どこか計画通りとでも言いたげな、静かな目。
「アスモデウス。君の上司として、ひとついいことを教えてやろう」
夜を明けようとする空を指差し、魔王は言った。
「夜が明ける瞬間、空で最も強く輝く星を――知っているか?」
「――“明星みょうじょう”だ」
次の瞬間。空から、光が降る。
それは彗星のように鋭く、星のように美しく――
アスモデウスの胸を、一直線に貫いた。
――勝負、あり。
止まった時間の世界では、もうひとつの“最終決戦”が始まっていた。
*
「デビキュン♡アローっ☆」
アスモデウスの放つハート型の魔力矢が、雨のように空間を彩る。
だが――ここは魔王が停止した時間の中。
アスモデウスはこの停止世界でも動ける、数少ない存在だ。
しかし魔力矢は、彼女の手を離れた瞬間、空中で静止してしまう。
「え~、これいつ終わるの? 普通、5秒でしょ?」
「時間が止まってるのに“5秒”の概念があるか。
そもそも私は人間じゃない。制限なんてない」
そう言って、魔王は手をかざす。
「ファイヤボール」
そう名乗った魔法から放たれたのは、火でも玉でもない――
謎の破壊光線だった。
「ちょっ!? いきなり時間戻すなんてズルいし!
今の、全然ファイヤじゃない!!」
ビームをギリギリで回避し、アスモデウスはぷりぷり怒る。
「今の絶対ファイヤボールじゃなかったよね!?
火属性ですらないし、レベルも違いすぎるし!
前から思ってたけど、魔王様って……魔法名、てきとーだよね!?」
「アホ。戦闘中に敵にわざわざ魔法の詳細を教える馬鹿がいるか。
ジャミングは戦術の基本だ」
魔王は当然のように語りながら、またも無言で魔法を連射する。
「せこっ! スカート焦げたじゃん! も~、毛玉ボディのくせにやることも毛玉!」
「ちっ……」
舌打ちで応じる魔王。
「その毛玉みたいな姿と同じ、せこすぎる……もう怒った!」
アスモデウスは印を組み、両手を突き出す。
「エクス♡ラヴリエルッ!」
――が、無数のハートビームは発射された直後に空中で停止。
「えっ? ……また止めた?
ちょっと! 何回止めるつもり!?」
「これでモリアと時間停止の世界で、体感千年戦い続けて勝った。
経験値なら、こちらのほうが上だ」
「へえ~? 魔王様って……物理、苦手なんじゃなかったっけ?♡」
アスモデウスは姿勢を低くし、にやりと笑う。
「なら、これで決まりっ☆」
「ラブリー♡フィニッシュ・ホールド!」
アスモデウスが魔王に向かって、全力のハート型タックルを仕掛けてくる。
小悪魔スマッシュ、その威力はあなどれない!
近接攻撃には時間停止が通用しない。
魔王はすぐさま時間を戻し、衝撃を避けるために空間魔法で転移して逃げた。
が――
「ラブリー♡カタストロフ!」
再び放たれた遠距離技に、魔王が対応しようとしたその瞬間――
「誘惑♡スピンキック♪」
アスモデウスの身体が一気に接近。旋回蹴りが魔王に迫る!
「ふーん、近接魔法も使えるのに、どうして使わないのかな? 魔王様♪」
――連続攻撃の狙いは明確だった。
幻術と性魔術を操るアスモデウスにとって、
魔法耐性の高い彼女が多少の近接魔法を受けても致命傷にはならない。
だが、物理に弱い魔王が“性技”を食らえば――先に崩れるのは、彼の方だ。
一見、魔王はかなり劣勢に見えた。
だが――その表情に焦りはなかった。
むしろ、どこか計画通りとでも言いたげな、静かな目。
「アスモデウス。君の上司として、ひとついいことを教えてやろう」
夜を明けようとする空を指差し、魔王は言った。
「夜が明ける瞬間、空で最も強く輝く星を――知っているか?」
「――“明星みょうじょう”だ」
次の瞬間。空から、光が降る。
それは彗星のように鋭く、星のように美しく――
アスモデウスの胸を、一直線に貫いた。
――勝負、あり。
0
あなたにおすすめの小説
木を叩いただけでレベルアップ⁉︎生まれついての豪運さんの豪快無敵な冒険譚!
神崎あら
ファンタジー
運動も勉強も特に秀でていないがめっちゃ運が良い、ただそれだけのオルクスは15歳になり冒険者としてクエストに挑む。
そこで彼は予想だにしない出来事に遭遇する。
これは初期ステータスを運だけに全振りしたオルクスの豪運冒険譚である。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
巻き込まれた薬師の日常
白髭
ファンタジー
神に選ばれ、魔素の循環する界へと送り込まれたのは――現代の薬師。
剣も魔法も扱えない彼が憑依したのは、戦闘力ゼロの商人見習いの少年だった。
彼の武器は、知識と経験。商品を生み出し、人脈を築き、産業を広げていく。
「居場所を見つけたい」その願いが、やがて世界を変える力となる。
これは、一人の薬師が紡ぐ研究と開発、そして成長の物語。
【カクヨムでも掲載しています】
表紙は紹介文をもとに、ai【adobe firefly】で作成したものです。(参考程度に……)
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~
月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』
恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。
戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。
だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】
導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。
「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」
「誰も本当の私なんて見てくれない」
「私の力は……人を傷つけるだけ」
「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」
傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。
しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。
――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。
「君たちを、大陸最強にプロデュースする」
「「「「……はぁ!?」」」」
落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。
俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。
◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!
いわゆる異世界転移
夏炉冬扇
ファンタジー
いわゆる異世界転移
森で目を覚まし、虫や動物、あるいは、魔物や野盗に襲われることなく
中規模な街につき、親切な守衛にギルドを紹介され
さりげなくチート披露なパターンA。
街につくまえに知る人ぞ知る商人に
訳ありのどこぞの王族に会うパターンBもある。
悪役令嬢なるパターンCもある。
ステータスオープンなる厨二病的呪文もかなり初歩にでてくる。
ゲームの世界で培った知識が役に立つこともある、らしい。
現実問題、人はどうするか?
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる