58 / 190
第三章:汚された純白に、恋は咲く――旧友と公爵家の囁き
第52話:宴のあとに/帰る場所と、仲間たちと
しおりを挟む
私が本を読んでいるあいだに、不夜城の事件は無事に解決していました。
そして、皆そろって無事に――セルペンティナへ帰ってきたのです。
「ガルドーーーッ!!」
ずっと一人で泣いていたリリアンヌさんも、ガルドさんの顔を見てようやく笑顔を取り戻しました。
……よかったです、本当に。
* * *
その夜。
私たち二つの勇者パーティーは、合同で打ち上げを開きました。
「かんぱーいっ!!」
「から揚げ、いただきっ!」
「ちょ、それ俺の……!」
「今回の報酬ょ? から揚げ一個、安いくらいよ?」
「くぬぬ……っ」
マサキ様は悔しそうな顔をしながら、
「これもやるよ……」
と、ミートボールまでレンさんに差し出しました。
「なに? 気持ち悪……」
「うるせぇ! 俺の命がから揚げ一個かよ!? 勇者様だぞ俺は!!」
なんだかんだで……マサキ様、前より柔らかくなった気がします。
「ビンタ効果すげぇな……」と呟いたガルドさんの一言に、
「うわっ!」
マサキ様は反射的に顔を両手でガードしました。
な、なにがあったんでしょうか?
「ビンタって……なに?」
「マサキを素直にさせる呪文だ」
「えっ!? そんな魔法あるの!?
プチトマトちょうだい、ビンタ!」
「バカ! その呪文は気安く使うなって! あー! なんでそんなに取るんだ! やめろ!」
みんな楽しそうです。やっぱり“仲間”って、いいですよね。
「ルキエル様、お料理はいかがでしたか? もしよろしければ、私が直々に――」
「いらない。今日はトマト味のフライドポテトとプリンって決めてるから。
マスター、あ~で食べさせて~」
「はいはい。寝る前に歯みがき忘れんなよー」
「え~、めんどくさい。マスターがやってくれればいいのに」
「ルキエル様、私がお手伝いを――!」
「お前はいらない」
「ガーンーーーーーッ!!」
マオウさんは、天使さまたちのお世話で大忙しです。
でも……ちゃんと約束どおり、朝になったら戻ってきてくれました。
私は信じていましたけど、やはり嬉しかったです。
「今回は、舞台に立てなくて退屈だったんじゃなくて?
せっかく天使化もできたのに、残念だったのでは?」
「いいえ。私が活躍するより、皆さんが無事に帰ってこられたことのほうが嬉しいです」
「欲のない娘……人間の“綺麗すぎる感情”は、私の好みじゃありませんわ。
味が薄くて、水のように味気ない。
……でも、あなたはそれでいいかもしません。“勇者”としては、この上ない人選ですわ。
この舞台を、さらに面白くするためにもね」
「えっと……なんだかよく分かりませんけど、褒めてくれてますよね?
ありがとうございます」
モリアさんの言葉は、いつもちょっと難しいです。
でも――根っこは、きっと優しい人だと思います。
私もいつか、あんな知性の溢れる女性になれるでしょうか……。
「無理ですわね」
「え?」
……ときどき、本当に心を読まれているんじゃないかって思うくらい、鋭い人です。
こうして、にぎやかな宴は無事に終わりました。
皆さんは宿へ戻り、明日に向けてゆっくりと休む……
……はず、でした。
「女子の! パジャマパーティーやりますっ!!」
どうやら、本当の終わりは――まだ先のようです。
そして、皆そろって無事に――セルペンティナへ帰ってきたのです。
「ガルドーーーッ!!」
ずっと一人で泣いていたリリアンヌさんも、ガルドさんの顔を見てようやく笑顔を取り戻しました。
……よかったです、本当に。
* * *
その夜。
私たち二つの勇者パーティーは、合同で打ち上げを開きました。
「かんぱーいっ!!」
「から揚げ、いただきっ!」
「ちょ、それ俺の……!」
「今回の報酬ょ? から揚げ一個、安いくらいよ?」
「くぬぬ……っ」
マサキ様は悔しそうな顔をしながら、
「これもやるよ……」
と、ミートボールまでレンさんに差し出しました。
「なに? 気持ち悪……」
「うるせぇ! 俺の命がから揚げ一個かよ!? 勇者様だぞ俺は!!」
なんだかんだで……マサキ様、前より柔らかくなった気がします。
「ビンタ効果すげぇな……」と呟いたガルドさんの一言に、
「うわっ!」
マサキ様は反射的に顔を両手でガードしました。
な、なにがあったんでしょうか?
「ビンタって……なに?」
「マサキを素直にさせる呪文だ」
「えっ!? そんな魔法あるの!?
プチトマトちょうだい、ビンタ!」
「バカ! その呪文は気安く使うなって! あー! なんでそんなに取るんだ! やめろ!」
みんな楽しそうです。やっぱり“仲間”って、いいですよね。
「ルキエル様、お料理はいかがでしたか? もしよろしければ、私が直々に――」
「いらない。今日はトマト味のフライドポテトとプリンって決めてるから。
マスター、あ~で食べさせて~」
「はいはい。寝る前に歯みがき忘れんなよー」
「え~、めんどくさい。マスターがやってくれればいいのに」
「ルキエル様、私がお手伝いを――!」
「お前はいらない」
「ガーンーーーーーッ!!」
マオウさんは、天使さまたちのお世話で大忙しです。
でも……ちゃんと約束どおり、朝になったら戻ってきてくれました。
私は信じていましたけど、やはり嬉しかったです。
「今回は、舞台に立てなくて退屈だったんじゃなくて?
せっかく天使化もできたのに、残念だったのでは?」
「いいえ。私が活躍するより、皆さんが無事に帰ってこられたことのほうが嬉しいです」
「欲のない娘……人間の“綺麗すぎる感情”は、私の好みじゃありませんわ。
味が薄くて、水のように味気ない。
……でも、あなたはそれでいいかもしません。“勇者”としては、この上ない人選ですわ。
この舞台を、さらに面白くするためにもね」
「えっと……なんだかよく分かりませんけど、褒めてくれてますよね?
ありがとうございます」
モリアさんの言葉は、いつもちょっと難しいです。
でも――根っこは、きっと優しい人だと思います。
私もいつか、あんな知性の溢れる女性になれるでしょうか……。
「無理ですわね」
「え?」
……ときどき、本当に心を読まれているんじゃないかって思うくらい、鋭い人です。
こうして、にぎやかな宴は無事に終わりました。
皆さんは宿へ戻り、明日に向けてゆっくりと休む……
……はず、でした。
「女子の! パジャマパーティーやりますっ!!」
どうやら、本当の終わりは――まだ先のようです。
0
あなたにおすすめの小説
木を叩いただけでレベルアップ⁉︎生まれついての豪運さんの豪快無敵な冒険譚!
神崎あら
ファンタジー
運動も勉強も特に秀でていないがめっちゃ運が良い、ただそれだけのオルクスは15歳になり冒険者としてクエストに挑む。
そこで彼は予想だにしない出来事に遭遇する。
これは初期ステータスを運だけに全振りしたオルクスの豪運冒険譚である。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
巻き込まれた薬師の日常
白髭
ファンタジー
神に選ばれ、魔素の循環する界へと送り込まれたのは――現代の薬師。
剣も魔法も扱えない彼が憑依したのは、戦闘力ゼロの商人見習いの少年だった。
彼の武器は、知識と経験。商品を生み出し、人脈を築き、産業を広げていく。
「居場所を見つけたい」その願いが、やがて世界を変える力となる。
これは、一人の薬師が紡ぐ研究と開発、そして成長の物語。
【カクヨムでも掲載しています】
表紙は紹介文をもとに、ai【adobe firefly】で作成したものです。(参考程度に……)
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~
月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』
恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。
戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。
だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】
導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。
「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」
「誰も本当の私なんて見てくれない」
「私の力は……人を傷つけるだけ」
「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」
傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。
しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。
――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。
「君たちを、大陸最強にプロデュースする」
「「「「……はぁ!?」」」」
落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。
俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。
◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!
いわゆる異世界転移
夏炉冬扇
ファンタジー
いわゆる異世界転移
森で目を覚まし、虫や動物、あるいは、魔物や野盗に襲われることなく
中規模な街につき、親切な守衛にギルドを紹介され
さりげなくチート披露なパターンA。
街につくまえに知る人ぞ知る商人に
訳ありのどこぞの王族に会うパターンBもある。
悪役令嬢なるパターンCもある。
ステータスオープンなる厨二病的呪文もかなり初歩にでてくる。
ゲームの世界で培った知識が役に立つこともある、らしい。
現実問題、人はどうするか?
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる