ハナキリンの恋

お粥定食

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少女に案内されて辿り着いた所は森の中にある、集落で村人達がそこで村を作り暮らしている。
少女「お母さん!ただいま!」
少女の母「あら、カーラそちらの方は?」
シャルル「シャルルと申します。」
カーラ「ねえ、お母さん。この人私の事を助けてくれたの。」
カーラの母「まあ、そんな事があったの。シャルルさん、娘を助けてくれてありがとうございます。」
カーラの母はシャルルお礼を言うと、シャルルにこう言う。
カーラの母「お礼にアップルパイをあげますから、どうぞ中へ。」
カーラの母はシャルルを家に招きあげる。
家の中は可愛い小物が揃っていて、おもちゃ箱のようにとてもユニークである。
カーラの母「さあ、我が家特製のアップルパイですわ。どうぞご堪能下さい。」
つやつや光るパイ生地から香ばしいバターの香りが漂っている。
シャルル「とても美味しそうですね。」 
シャルルは席につき、カーラの母から出された皿を手に取り、カーラが切り取ったパイ生地を皿の上に乗せる。
カーラ「さあ、召し上がれ。」
カーラに促され、パイを一口口の中に入れると、自家製のカスタードクリームが紅玉りんごと共にほろっととろける程よい甘みのコンビネーションがシャルルの口の中に広がる。
シャルル「美味しいです。こんな見ず知らずの僕に素敵なお菓子を食べさせてくれて。」
キラキラと眼を輝かせながら、シャルルはカーラの母にお礼を言う。
カーラの母「まあ、良いのよ。カーラを助けてくれたお礼だから。」
シャルルはずっと気になっていた事を思いっ切ってカーラの母に聞いた。
シャルル「所で、カーラを襲った怪物ってまさかドラギオンの怪物?」
カーラの母はその名を聞いて、はっと顔を驚愕させた。
カーラの母「その名を、何処で?」
シャルル「オーウェン師匠から、聞きました。ドラギオンはこの各地に現れては人々を襲う怪物だと聞きました。」
カーラの母「そう、ここにもまだ出没しているのね。ドラギオンが。」
シャルル「何か、知ってるんですか?」
カーラの母「私が幼い頃、この村にドラギオンの一行が来て、この村を襲っていたの私も命を失いそうになったけどオーウェン騎士団長が私とこの村をドラギオンの手から救ってくれたの。」
シャルル「師匠が。」
カーラの母「オーウェン騎士団長とは知り合いなの?」
シャルル「僕を鍛えてくれた師匠です。」
シャルルはアップルパイを食べながら、カーラの母に言う。
カーラの母「まあ、貴方は何の目的で旅を続けているの?」
シャルルは意を決してカーラの母に言う。
シャルル「ドラギオンに攫われたマリーを救い出す為にこの旅を続けています。」
カーラの母「そうなの、とても大変な事ね。それでねシャルルさん貴方に渡したい物があるの。」
カーラの母は戸棚の中から一つの小瓶を手に取り、シャルルに渡す。
カーラの母「これはね、ドラギオンに襲われそうになった時、この小瓶の中身をドラギオンに掛ければ少しの間自分の命が助かるわ。」
シャルル「僕なんかにそんな貴重な物、勿体ないですよ。」
カーラの母「ものは試しよ。」
カーラの母は強い意志が籠もった瞳でシャルルを見る。
シャルル「ありがとうございます。受け取ります。」
小瓶を自分の胸ポケットに入れながら、シャルルはお礼を言う。
シャルル「では、皆さん。アップルパイと紅茶ありがとうございます。」
アップルパイと紅茶を堪能し終わったシャルルはカーラ達に別れを告げて、再び旅に出る。
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