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4話
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昨夜は蒼太の寝顔を30分ほど堪能した後、風呂に入り布団に寝た。朝、足音と襖の開く音で目が覚めた。ペタペタと近寄ってくる足音。碧人の前まで来ると「……よかった。帰って来た」と安心したような声。蒼太はそのまま部屋を出て行った。
帰って来たとはどういう意味なのだろう。碧人にとってここは自分の家同然だ。蒼太もいるのだから帰ってくるのは当たり前だ。
碧人は布団から起き上がると背伸びをする。ベランダの窓から見える電線と雀。この景色も見慣れたものとなった。襖を開けると蒼太が朝食を作っていた。
「おはよう。蒼太」
背後から話しかけると蒼太はビクッと肩を震えさせた。
「おはよう。碧人。はやいね」
ぎこちない笑顔。なにか考え事でもしていたのだろうか。
「碧人、あのさ……」
「なに?」
「……昨日、何時に帰ってきたの?」
「1時半過ぎくらいだけど」
「仕事だったんだよな?」
「そうだよ。電話しただろ?」
「……うん」
蒼太はなにか言いたげな表情だった。
蒼太になにかしてしまっただろうか。
胸の辺りがもやもやする。
朝食を食べ終わるといつものように会社に行く準備をする。今日は忙しい。はやく会社に行くために忙しなく準備をする。
「今日張り切ってるね」
「そうかな」
「いつもサカキンがくるまで仕事行きたくないって言ってるのに」
「僕だって仕事したいときもあるよ。社長だしね」
「なにかはやくいかないといけない理由でもあるのか?」
蒼太に聞かれ思わず言いそうになった。碧人の蒼太励まし大作戦をネタバレするわけにはいかない。
「特にないよ」
「……ふーん」
なんか元気がない。昨日からどうしたのだろう。
「今日も帰りが遅くなりそうなんだ」
「仕事?」
「うん。先に寝てて」
「……うん」
「あと、ちゃんと布団で寝ろよ。ソファーで寝るの禁止な。風邪ひくよ」
「うん」
碧人は蒼太の頭を撫でる。
「じゃあ、行ってくるよ」
蒼太は玄関のドアを開けて出て行く碧人に手を振る。碧人も後ろ髪を引かれながら、玄関の扉を閉めた。
扉を閉めた後、蒼太から笑顔が消え泣き崩れていたことなど碧人は知らない。
帰って来たとはどういう意味なのだろう。碧人にとってここは自分の家同然だ。蒼太もいるのだから帰ってくるのは当たり前だ。
碧人は布団から起き上がると背伸びをする。ベランダの窓から見える電線と雀。この景色も見慣れたものとなった。襖を開けると蒼太が朝食を作っていた。
「おはよう。蒼太」
背後から話しかけると蒼太はビクッと肩を震えさせた。
「おはよう。碧人。はやいね」
ぎこちない笑顔。なにか考え事でもしていたのだろうか。
「碧人、あのさ……」
「なに?」
「……昨日、何時に帰ってきたの?」
「1時半過ぎくらいだけど」
「仕事だったんだよな?」
「そうだよ。電話しただろ?」
「……うん」
蒼太はなにか言いたげな表情だった。
蒼太になにかしてしまっただろうか。
胸の辺りがもやもやする。
朝食を食べ終わるといつものように会社に行く準備をする。今日は忙しい。はやく会社に行くために忙しなく準備をする。
「今日張り切ってるね」
「そうかな」
「いつもサカキンがくるまで仕事行きたくないって言ってるのに」
「僕だって仕事したいときもあるよ。社長だしね」
「なにかはやくいかないといけない理由でもあるのか?」
蒼太に聞かれ思わず言いそうになった。碧人の蒼太励まし大作戦をネタバレするわけにはいかない。
「特にないよ」
「……ふーん」
なんか元気がない。昨日からどうしたのだろう。
「今日も帰りが遅くなりそうなんだ」
「仕事?」
「うん。先に寝てて」
「……うん」
「あと、ちゃんと布団で寝ろよ。ソファーで寝るの禁止な。風邪ひくよ」
「うん」
碧人は蒼太の頭を撫でる。
「じゃあ、行ってくるよ」
蒼太は玄関のドアを開けて出て行く碧人に手を振る。碧人も後ろ髪を引かれながら、玄関の扉を閉めた。
扉を閉めた後、蒼太から笑顔が消え泣き崩れていたことなど碧人は知らない。
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