20 / 22
5話
1
しおりを挟む
蒼太と付き合い始めてから3年。ついに明日待ちに待った日が訪れる。明日は蒼太の誕生日だ。碧人は鼻歌混じりに書類に目を通していく。
「ねぇ、榊。明日はなんの日だと思う?」
榊は作業しているパソコンから顔を上げため息をつく。
「それ何度目ですか。いい加減答えたくないんですが」
「いいからはやく」
「佐々木くんの誕生日です」
「何歳になると思う?」
「20歳です」
「明日の予定聞きたい? グフフ…」
「聞きたくありません」
榊は再びパソコンに目を向けキーボードを打つ。
「明日は家で誕生日パーティーするんだ」
「そうですか。楽しんでください」と棒読みで返ってきた。
「パティーの後、なにする聞きたい?」
デレデレと整った顔を緩める社長に榊はため息をついた。
「いい加減黙って仕事してくれませんか。明日休みがほしいとあなたが駄々こねたせいで、仕事は山積みなんですからね」
「ちょっとくらい話聞いてくれてもいいじゃん」
碧人は不貞腐れたように唇を小さく突き出す。
「1週間前から散々聞かされてますが」
「そうだっけ?」
「短期記憶なさすぎですね。老化現象なんじゃないですか?」
「まだ31歳だけど」
明日は蒼太の20歳の誕生日。そして、お触り禁止が解禁される日なのだ。この3年間、蒼太に触りたくても必死に我慢して、やっと解禁されるのだから楽しみじゃないわけがない。
「あなたにしてはよく我慢したほうだと思います。3年間あなたの粗相なく私も無駄な仕事が減って楽をさせていただきました。佐々木くんには感謝ですね」
「粗相なんてするわけないじゃん。もう蒼太以外とは考えられないし」
「そうですか。では、明日のために死ぬほど頑張っていただきましょうか」
榊は新たに書類の束を碧人のディスに置いた。現実に引き戻された碧人は緩みきった顔から表情が消え、無言でその書類の山を見つめる。
「……………」
「黙って書類見てても減りませんよ。さっさと片付けて下さい」
「……くすん」
「泣き真似しても無駄ですよ。終わらなかったら明日の休み返上して終わらせてもらいますからね」
「……鬼」
碧人は榊に向け舌を出した。榊はさらりと受け流し再びパソコンに目を向けた。
山のようにあった書類の山がなくなったのは、深夜2時頃だった。ロールスロイスが向日葵に着いた頃には深夜3時を過ぎていた。見ると向日葵の蒼太の部屋は消えている。碧人はロールスロイスを降りると錆だらけの階段を駆け上がっていく。静かに玄関のドアを開け、小声で「ただいま」と言う。
碧人は寝室に向かい、静かに襖を開ける。布団に包まる蒼太の寝顔を覗く。蒼太は高校卒業後、祖父の残してくれた遺産で大学に通っており、現在大学生である。高校生の頃より背は伸びたが、碧人よりはまだ低い。成長はしたが、寝顔は高校生の頃と変わりなくあどけない。
今日で蒼太も20歳になった。本当は日付が変わる瞬間に一緒にいてやりたかった。
碧人は寝ている蒼太の髪を撫でる。小さく「誕生日おめでとう」と呟き、蒼太の頬にキスをした。
「ねぇ、榊。明日はなんの日だと思う?」
榊は作業しているパソコンから顔を上げため息をつく。
「それ何度目ですか。いい加減答えたくないんですが」
「いいからはやく」
「佐々木くんの誕生日です」
「何歳になると思う?」
「20歳です」
「明日の予定聞きたい? グフフ…」
「聞きたくありません」
榊は再びパソコンに目を向けキーボードを打つ。
「明日は家で誕生日パーティーするんだ」
「そうですか。楽しんでください」と棒読みで返ってきた。
「パティーの後、なにする聞きたい?」
デレデレと整った顔を緩める社長に榊はため息をついた。
「いい加減黙って仕事してくれませんか。明日休みがほしいとあなたが駄々こねたせいで、仕事は山積みなんですからね」
「ちょっとくらい話聞いてくれてもいいじゃん」
碧人は不貞腐れたように唇を小さく突き出す。
「1週間前から散々聞かされてますが」
「そうだっけ?」
「短期記憶なさすぎですね。老化現象なんじゃないですか?」
「まだ31歳だけど」
明日は蒼太の20歳の誕生日。そして、お触り禁止が解禁される日なのだ。この3年間、蒼太に触りたくても必死に我慢して、やっと解禁されるのだから楽しみじゃないわけがない。
「あなたにしてはよく我慢したほうだと思います。3年間あなたの粗相なく私も無駄な仕事が減って楽をさせていただきました。佐々木くんには感謝ですね」
「粗相なんてするわけないじゃん。もう蒼太以外とは考えられないし」
「そうですか。では、明日のために死ぬほど頑張っていただきましょうか」
榊は新たに書類の束を碧人のディスに置いた。現実に引き戻された碧人は緩みきった顔から表情が消え、無言でその書類の山を見つめる。
「……………」
「黙って書類見てても減りませんよ。さっさと片付けて下さい」
「……くすん」
「泣き真似しても無駄ですよ。終わらなかったら明日の休み返上して終わらせてもらいますからね」
「……鬼」
碧人は榊に向け舌を出した。榊はさらりと受け流し再びパソコンに目を向けた。
山のようにあった書類の山がなくなったのは、深夜2時頃だった。ロールスロイスが向日葵に着いた頃には深夜3時を過ぎていた。見ると向日葵の蒼太の部屋は消えている。碧人はロールスロイスを降りると錆だらけの階段を駆け上がっていく。静かに玄関のドアを開け、小声で「ただいま」と言う。
碧人は寝室に向かい、静かに襖を開ける。布団に包まる蒼太の寝顔を覗く。蒼太は高校卒業後、祖父の残してくれた遺産で大学に通っており、現在大学生である。高校生の頃より背は伸びたが、碧人よりはまだ低い。成長はしたが、寝顔は高校生の頃と変わりなくあどけない。
今日で蒼太も20歳になった。本当は日付が変わる瞬間に一緒にいてやりたかった。
碧人は寝ている蒼太の髪を撫でる。小さく「誕生日おめでとう」と呟き、蒼太の頬にキスをした。
57
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
酔った俺は、美味しく頂かれてました
雪紫
BL
片思いの相手に、酔ったフリして色々聞き出す筈が、何故かキスされて……?
両片思い(?)の男子大学生達の夜。
2話完結の短編です。
長いので2話にわけました。
他サイトにも掲載しています。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
顔も知らない番のアルファよ、オメガの前に跪け!
小池 月
BL
男性オメガの「本田ルカ」は中学三年のときにアルファにうなじを噛まれた。性的暴行はされていなかったが、通り魔的犯行により知らない相手と番になってしまった。
それからルカは、孤独な発情期を耐えて過ごすことになる。
ルカは十九歳でオメガモデルにスカウトされる。順調にモデルとして活動する中、仕事で出会った俳優の男性アルファ「神宮寺蓮」がルカの番相手と判明する。
ルカは蓮が許せないがオメガの本能は蓮を欲する。そんな相反する思いに悩むルカ。そのルカの苦しみを理解してくれていた周囲の裏切りが発覚し、ルカは誰を信じていいのか混乱してーー。
★バース性に苦しみながら前を向くルカと、ルカに惹かれることで変わっていく蓮のオメガバースBL★
性描写のある話には※印をつけます。第12回BL大賞に参加作品です。読んでいただけたら嬉しいです。応援よろしくお願いします(^^♪
11月27日完結しました✨✨
ありがとうございました☆
あの日、北京の街角で
ゆまは なお
BL
5年前、一度だけ体を交わした彼が、通訳として出張に同行するーーー。
元留学生×駐在員。年下攻め。再会もの。
北京に留学していた上野孝弘は駐在員の高橋祐樹と街中で出会い、突然のアクシデントにより、その場で通訳を頼まれる。その後も友人としてつき合いが続くうちに、孝弘は祐樹に惹かれていくが、半年間の研修で来ていた祐樹の帰国予定が近づいてくる。
孝弘の告白は断られ、祐樹は逃げるように連絡を絶ってしまう。
その5年後、祐樹は中国出張に同行するコーディネーターとして孝弘と再会する。
3週間の出張に同行すると聞き、気持ちが波立つ祐樹に、大人になった孝弘が迫ってきて……?
2016年に発表した作品の改訂版。他サイトにも掲載しています。
専属【ガイド】になりませんか?!〜異世界で溺愛されました
sora
BL
会社員の佐久間 秋都(さくま あきと)は、気がつくと異世界憑依転生していた。名前はアルフィ。その世界には【エスパー】という能力を持った者たちが魔物と戦い、世界を守っていた。エスパーを癒し助けるのが【ガイド】。アルフィにもガイド能力が…!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる