3 / 20
会いたいと思う女
しおりを挟む
マンションに帰り部屋着に着替えてベットに入るが、眠れそうに無かった。
バーで出会った女も遊び慣れた女の様だったから俺が言う条件をのむだろうし、誘いに乗ればよかったかと今さら後悔した。
でも、何故か思い出すのはバーの女ではなく違う女の笑顔がチラつく。
「何故、気になるんだ?」
抱いた女でさえ一晩で覚えてもいないのに何故か、彼女が頭から離れずベッドに入っても眠れずにいる。
仕方なくグラスに寝酒のスコッチを入れ飲んでみるが、余計に彼女の姿を思い出すから癖が悪い。
確かに可愛い子だが、バーで出会った女や今までの女と違って女として成熟していないような子だった。
遊び慣れた美女が好みだと思っていた自分の趣味ではない女が、何故これほど気になるのかその方が気になってきた俺は理由を考えてみた。
一番は「媚びない笑顔」だったが次には、自分から食事に誘って断られた事が無かったのに彼女は平然と断ってきた事かもしれない。
自分から女を誘う事など食事と言えどなかったし、話の流れで食事に行く事もあっても自分から誘わなくても相手から誘って来る事が普通になっている。
「誘い方がわるかったのか?」
女を誘った事などないから誘い方に問題があったのだろうかと、考えても答えが出ないその答えが出ないままいつの間にか眠ってしまっていた。
早朝に秘書の服部が「何時までねているのですか?」と起こしにくるまで寝ていた。
この服部省吾は、色々小言が多い男だが秘書としては有能な男だ。
「んっ・・何時だ?」
「もう8時になります。今日は午前は会議ですよ、その後は会食で夕方は新規店舗の打ち合わせです。」
「会議を10時にしてくれ。着替える。」
そう言って、シャワーを浴びてから着替えをしながら服部に昨日食事に女を誘って断られた話をしてみた、やはり予想通り服部も「嘘でしょう?」と言うから俺の誘い方が悪かった訳ではないだろう。
「それで、社長はそれを気にしているのですか?」
「ああ、少しな。」
「少しですか?」
「正直初めて断られたから気にはなってる。」
身支度を整えて車へ乗り会社へ向かう途中も服部は、根掘り葉掘り昨日の出来事を聞き出してきた。
「それでバーで誘いに来た女にも手を出さずに眠れなくて、酒を嗜んで朝起きれなかったのですか?」
「まあ、そうだな。眠れなかったんだ。」
それに彼女が、気になるとは言えなかった。
それから何度か相沢の会社に訪問した時に彼女が、仕事をしている所を見るが彼女は、俺に気がついて笑顔で頭を下げるが必要以上に近寄って来ない。
その変わりに事務員の女性の何人かが、メモに自分のアドレスや電話番号を書いて渡してきたが流石に取引先の従業員に手は出さない。
今までは、放置していたが君たちには興味が無いと何故か相沢の会社ではハッキリ言う事にしていた。
毎回曖昧にしていたのに、いきなりハッキリ拒絶する俺を変に思ったのは服部だった。
「社長・・大丈夫ですか?体がおかしいのでしたらすぐに病院を予約します。」
何故俺が拒絶しただけで病院なんだよ・・・。
「あのな俺は、誰でも手を出すわけじゃないぞ。それに、興味が無いとハッキリしておかないと相手に期待させてるみたいだろう?」
「確かにそうですが・・今までは、放置でしたから。」
服部が言いたいのは、興味がある女は抱くが興味のない女には、配慮なんてした事がなかったと言いたいのだ確かにそうなだけに何も言えない。
興味がある女と言うのは、性的に反応するかどうかで一度抱けばもう興味は無くなりたまに会社に電話してくる女もいるが、服部が上手くあしらってくれている。
初夏から夏になって相沢の会社には何かと理由をつけて訪問している。
何故自分が、そこまでしてしまうのか自分では全く理解ができないが服部は仕事さえしてくれればどうでも良いですが社長は、本当に気がつかないのですか?
と意味ありげに聞いて来た。
「昨日の沙羅さんの服は何色でしたか?」
「たしか、薄い紫のカーディガンと白いブラウスにひざ丈のフレアースカートだった。」
と即答した時自分でハッとした。
女がどんな服装だったか等、覚えていた事なんて今まで一度も無かったのに彼女の服装や髪型や唇の色でさえ覚えている。
どう言う事なんだ?俺は、自分で自分の事が解らなくなったがそこに服部が衝撃的な一言を言った。
「社長は、彼女に恋をしているのではないですか?」
「はあ?なんだそれは、それは無いだろう。」
「そうですか?」
その時は、服部にそう指摘されてもそうだとは思えなかったが、この後に相沢の会社に行った時に俺が自分でそれを認めざる負えない事が起こった。
相沢の会社に中途採用で入社した新入社員の若い男がいた、線の細い男で一見して優しそうな感じの男だ。
「相沢社長、この時期に採用したのか?」
「運転が出来る子と男手がいると思って中途採用したんだ。」
「確かに人当たりは悪くなさそうな子だな。」
そう思ってチラッと彼を見れば彼は、沙羅に何やら声をかけると二人で事務所を出て行った。
「あの男の名前は?」
「岡野博之だ、なんだ気になるのか?」
「いや、何となくななかなか営業には向きそうだと思ったんだよ。」
俺は、その男に興味があるのではなくその男の行動に興味があった。
それに俺が、誘っても断った彼女があの男の誘いには笑顔で乗った事が気に入らない。
「まだ若いからこれからゆっくり育てるよ。」
相沢は穏やかな男で人を育てるが上手い従業員も彼を慕っている様だ。
「それがいいな。」
そんな会話をしていると沙羅は、笑顔で岡野と話をしながら帰ってきて手には袋を持っている様だった。
その袋の中には、アイスが入ってたみたいで沙羅と岡野は皆に配っている。
俺達にも沙羅ではなく岡野が二つほど持ってきてくれた。
「気の利く子だな。」
そう俺が言うと相沢は、そうだろうと自慢げな顔をしている。
岡野と沙羅の二人を見ていると異様にイライラしてきたのだから困ったものだった。
何て事はないのに沙羅が、彼に笑いかけるだけで腹が立つそんな感情を持て余した俺は、仕事を終えた後に服部が運転する車に乗り込み考えてみた。
沙羅に出会ってから気がつけば彼女を探してでも見てしまう、服部が言うように彼女がいつどんな服装をしていたかと聞かれれば答えられる自分がいる。
岡野だけでなく沙羅の周囲に得に岡野が沙羅と話しているのを見るとイライラして仕方がない。
一人の女にこれほど執着した事は、一度も無かったし気がつけば、彼女と出会ってから誘いに来た女との駆け引きも面倒でもちろん抱きたいとも思わない。
初恋は、何時だと聞かれても俺は初恋を知らない事にいま気がついた、今までに恋をした事がないと俺は気がついてしまった。
些細な電話ですむような話も相沢の会社に行き彼女を無意識で目で追っていたからこそ彼女の服装を覚えているのだ。
俺は、彼女に会いたいから相沢の会社に足が向いていると言う事を認めざるを得ない。
「俺はどうしてしまったんだ?」
経験した事のない感情の変化に俺自身がついていけなくなりそうだった。
バーで出会った女も遊び慣れた女の様だったから俺が言う条件をのむだろうし、誘いに乗ればよかったかと今さら後悔した。
でも、何故か思い出すのはバーの女ではなく違う女の笑顔がチラつく。
「何故、気になるんだ?」
抱いた女でさえ一晩で覚えてもいないのに何故か、彼女が頭から離れずベッドに入っても眠れずにいる。
仕方なくグラスに寝酒のスコッチを入れ飲んでみるが、余計に彼女の姿を思い出すから癖が悪い。
確かに可愛い子だが、バーで出会った女や今までの女と違って女として成熟していないような子だった。
遊び慣れた美女が好みだと思っていた自分の趣味ではない女が、何故これほど気になるのかその方が気になってきた俺は理由を考えてみた。
一番は「媚びない笑顔」だったが次には、自分から食事に誘って断られた事が無かったのに彼女は平然と断ってきた事かもしれない。
自分から女を誘う事など食事と言えどなかったし、話の流れで食事に行く事もあっても自分から誘わなくても相手から誘って来る事が普通になっている。
「誘い方がわるかったのか?」
女を誘った事などないから誘い方に問題があったのだろうかと、考えても答えが出ないその答えが出ないままいつの間にか眠ってしまっていた。
早朝に秘書の服部が「何時までねているのですか?」と起こしにくるまで寝ていた。
この服部省吾は、色々小言が多い男だが秘書としては有能な男だ。
「んっ・・何時だ?」
「もう8時になります。今日は午前は会議ですよ、その後は会食で夕方は新規店舗の打ち合わせです。」
「会議を10時にしてくれ。着替える。」
そう言って、シャワーを浴びてから着替えをしながら服部に昨日食事に女を誘って断られた話をしてみた、やはり予想通り服部も「嘘でしょう?」と言うから俺の誘い方が悪かった訳ではないだろう。
「それで、社長はそれを気にしているのですか?」
「ああ、少しな。」
「少しですか?」
「正直初めて断られたから気にはなってる。」
身支度を整えて車へ乗り会社へ向かう途中も服部は、根掘り葉掘り昨日の出来事を聞き出してきた。
「それでバーで誘いに来た女にも手を出さずに眠れなくて、酒を嗜んで朝起きれなかったのですか?」
「まあ、そうだな。眠れなかったんだ。」
それに彼女が、気になるとは言えなかった。
それから何度か相沢の会社に訪問した時に彼女が、仕事をしている所を見るが彼女は、俺に気がついて笑顔で頭を下げるが必要以上に近寄って来ない。
その変わりに事務員の女性の何人かが、メモに自分のアドレスや電話番号を書いて渡してきたが流石に取引先の従業員に手は出さない。
今までは、放置していたが君たちには興味が無いと何故か相沢の会社ではハッキリ言う事にしていた。
毎回曖昧にしていたのに、いきなりハッキリ拒絶する俺を変に思ったのは服部だった。
「社長・・大丈夫ですか?体がおかしいのでしたらすぐに病院を予約します。」
何故俺が拒絶しただけで病院なんだよ・・・。
「あのな俺は、誰でも手を出すわけじゃないぞ。それに、興味が無いとハッキリしておかないと相手に期待させてるみたいだろう?」
「確かにそうですが・・今までは、放置でしたから。」
服部が言いたいのは、興味がある女は抱くが興味のない女には、配慮なんてした事がなかったと言いたいのだ確かにそうなだけに何も言えない。
興味がある女と言うのは、性的に反応するかどうかで一度抱けばもう興味は無くなりたまに会社に電話してくる女もいるが、服部が上手くあしらってくれている。
初夏から夏になって相沢の会社には何かと理由をつけて訪問している。
何故自分が、そこまでしてしまうのか自分では全く理解ができないが服部は仕事さえしてくれればどうでも良いですが社長は、本当に気がつかないのですか?
と意味ありげに聞いて来た。
「昨日の沙羅さんの服は何色でしたか?」
「たしか、薄い紫のカーディガンと白いブラウスにひざ丈のフレアースカートだった。」
と即答した時自分でハッとした。
女がどんな服装だったか等、覚えていた事なんて今まで一度も無かったのに彼女の服装や髪型や唇の色でさえ覚えている。
どう言う事なんだ?俺は、自分で自分の事が解らなくなったがそこに服部が衝撃的な一言を言った。
「社長は、彼女に恋をしているのではないですか?」
「はあ?なんだそれは、それは無いだろう。」
「そうですか?」
その時は、服部にそう指摘されてもそうだとは思えなかったが、この後に相沢の会社に行った時に俺が自分でそれを認めざる負えない事が起こった。
相沢の会社に中途採用で入社した新入社員の若い男がいた、線の細い男で一見して優しそうな感じの男だ。
「相沢社長、この時期に採用したのか?」
「運転が出来る子と男手がいると思って中途採用したんだ。」
「確かに人当たりは悪くなさそうな子だな。」
そう思ってチラッと彼を見れば彼は、沙羅に何やら声をかけると二人で事務所を出て行った。
「あの男の名前は?」
「岡野博之だ、なんだ気になるのか?」
「いや、何となくななかなか営業には向きそうだと思ったんだよ。」
俺は、その男に興味があるのではなくその男の行動に興味があった。
それに俺が、誘っても断った彼女があの男の誘いには笑顔で乗った事が気に入らない。
「まだ若いからこれからゆっくり育てるよ。」
相沢は穏やかな男で人を育てるが上手い従業員も彼を慕っている様だ。
「それがいいな。」
そんな会話をしていると沙羅は、笑顔で岡野と話をしながら帰ってきて手には袋を持っている様だった。
その袋の中には、アイスが入ってたみたいで沙羅と岡野は皆に配っている。
俺達にも沙羅ではなく岡野が二つほど持ってきてくれた。
「気の利く子だな。」
そう俺が言うと相沢は、そうだろうと自慢げな顔をしている。
岡野と沙羅の二人を見ていると異様にイライラしてきたのだから困ったものだった。
何て事はないのに沙羅が、彼に笑いかけるだけで腹が立つそんな感情を持て余した俺は、仕事を終えた後に服部が運転する車に乗り込み考えてみた。
沙羅に出会ってから気がつけば彼女を探してでも見てしまう、服部が言うように彼女がいつどんな服装をしていたかと聞かれれば答えられる自分がいる。
岡野だけでなく沙羅の周囲に得に岡野が沙羅と話しているのを見るとイライラして仕方がない。
一人の女にこれほど執着した事は、一度も無かったし気がつけば、彼女と出会ってから誘いに来た女との駆け引きも面倒でもちろん抱きたいとも思わない。
初恋は、何時だと聞かれても俺は初恋を知らない事にいま気がついた、今までに恋をした事がないと俺は気がついてしまった。
些細な電話ですむような話も相沢の会社に行き彼女を無意識で目で追っていたからこそ彼女の服装を覚えているのだ。
俺は、彼女に会いたいから相沢の会社に足が向いていると言う事を認めざるを得ない。
「俺はどうしてしまったんだ?」
経験した事のない感情の変化に俺自身がついていけなくなりそうだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
42
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる