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幸せになっていい
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彼女の部屋として使った事がない部屋に案内した。
俺の寝室より少し狭いがそれでも8畳ある部屋に服部が彼女が滞在できるように色々と用意をしてくれた。
女性が必要とする物なんて知らない俺は、服部任せになってしまう、それも悔しくてノートパソコンを持ってきて沙羅に必要な物を聞きながら買い物カゴに入れていく。
家具は、このマンションを購入した時にインテリアコーディネーターに依頼して用意したから最低限のベッドや簡単な物は揃っていたがシーツやリネン類を買い足して彼女が、絵を描けるようにパソコンも用意してみた。
「社長・・打ち合わせの件ですがどうしますか?」
「ああ。そうかどこの店だ?」
そろそろ冬のメニューを決める時期だから各店舗を視察しなければならないしかし彼女を一人で部屋においておくのは怖い。
「沙羅。嫌いな料理や食べ物はあるか?」
「無いです。」
「17時に出れるように用意できるか?視察があるから一緒に行こう。」
「えっ?私もですか?。」
「視察って言っても食事だし意見も聞きたいしな。」
女性の意見が聞きたいと俺が言えば彼女は、素直に行きますと言ってくれた。
今日は、出来るだけ部屋で仕事できるように服部が手配していた為にリモート会議やメールで仕事を進めることが出来た。
沙羅は、何やら本を読んでいたから何を読んでいるのかと思えば服部が貸してくれた恋愛小説だった。
「一条さんって恋愛小説読むんですね。」
「服部に借りたんだ。」
服部は、今俺の変わりに会社の用で出かけていたから彼女と二人きりだった。
「服部さんがこの本を読んでいるんですか?」
「いや。服部の妹だよ。」
「なるほど・・一条さん読んでどうでした?」
「うーん。どうもこうも俺が経験した事がない感じだな。俺は、女に好きだとか愛してるとかって言った事が無いんだよ。そう感じた事も無かったんだ最近であった子以外はな。」
「その女性は幸せですね。唯一なんでしょう?」
「そう言う事になるのかな・・でも俺は。沙羅は好きな男はいないのか?」
「今はいません。と言うか、たぶん私は幸せにはなってはいけないんです。」
悲しそうな顔をして彼女はしたを向いて言った。
「拓海君か?」
「何故知っているんですか?」
「俺は相沢の友達だぞ聞いているし知ってるよ。」
最近聞いたんだけどな・・嘘はついてないぞ。
「拓海は刺された私を庇って刺されました。それでも相手を追いかけて・・。私は、意識を失ってしまってましたが拓海が庇ってくれてなければ私はその場で死んでました。拓海は、私を庇わなければ死ななかった・・・。」
ポタポタっと握った彼女の手に涙が落ちるそんな痛々しい姿に胸が締め付けられる。
「俺から言わせればな、好きな女が目の前で刺されて自分が逃げるような真似をして、生き残ったりしたら男は一生ダメになる。刺された場所を聞いたが犯人は、拓海君を殺すつもりは無かったと俺は思うんだ。たまたま動脈を傷つけてしまったんだろうな。沙羅の事も聞いたが沙羅に向けられた刃は殺意があった。その違いがわかるか?」
俺は拓海の気持ちが今なら理解できる。
目の前で好きな女が殺されかけたら俺でも自分を盾にしてでも守るだろう。
何も言わずに首を振る彼女に俺は、拓海の事を代弁するように自分の言葉を乗せて彼女に言った。
「犯人は、計画的に拓海の目の前で沙羅を殺そうとした拓海を絶望させようとしたんだもしな・・拓海が生きていたとして沙羅が殺されていたとしたら拓海に絶望しながら一人で生きて誰も愛さず生きて欲しいか?」
沙羅はクビを振る。
「沙羅。幸せを諦めたらダメなんだよ。そんな事は絶対に男は・・拓海は望んではいない。」
「でも・・私と一緒にいたから一条さんも襲われて。」
「沙羅間違えたらダメだ。悪いのは根源は犯人だよ沙羅じゃない。」
声を押し殺しながらなく沙羅を慰めるように抱きしめた。
女を抱きしめて慰めて癒したいなんて思う時が来るとは思わなかった、柔らかい小さな体が腕の中で震えて泣いている。
「今は俺の彼女だからな甘えてろ・・なっ。」
沙羅は俺にしがみついて泣いた。
今は一か月限定の「彼女」だが俺は一か月で終わらせるつもりなんてない。
彼女が落ち着いた頃に服部が仕事を終えて帰ってきたから俺は服部から報告を受ける。
その間沙羅は本を読んでいたが泣き付かれたのか眠ってしまっていた。
「服部・・今日の視察は明日に変更してくれ。」
「承知しました。でも可愛いですね。」
「見るな!」
「見るくらいいいでしょう?減らないですよ。」
「減る。」
タオルケットをそっと沙羅に掛けてから俺は料理を作る事にした。
家にある材料で作るから凝ったものは出来ないが、パスタくらいは出来るしサラダも作れるか。
簡単なトマトソースを作りベーコンを入れボイルしたパスタをあえてチーズをかけるシンプルなものと簡単なグリーンサラダにオリーブオイルとビネガーのドレッシングをかけたサラダが出来上がった頃に沙羅が目を覚ました。
「起きたか・・手を洗っておいでパスタにしたから。」
「視察だったんじゃ?」
「明日になったんだ、丁度沙羅も寝ていたしな。」
そんな俺の話し方を見ていた服部がえらく驚いた顔をしながら、「そうです、レストランが
予約でいっぱいになったんですよ。」とフォローしてくれた。
何故か最近服部は俺の料理を食べる事が多くないか?
本来は秘書が作るんじゃないのか?と俺がボヤキながら食べていると
「一条さんのお料理好きです。」
「ですよねー社長の料理美味しいですもんね。」
別に料理が嫌いなわけじゃないからいいが・・
そんな事を言われたら何でも作ってやりたくなるんだよな・・元々食べる事にこだわりが強かったからこの業界に入ったわけだ、たまたま出した店が成功してここまで会社も大きくできたわけだしな。
「また作ってやるよ。」
美味しそうに食べる沙羅の顔を見れるならいつでも作ってやろうと思うから俺は単純なのかもしれない。
服部が帰宅したのは、沙羅が寝た頃だった服部なりに沙羅がなれるまでは出来るだけ三人でいた方が良いと言っていた。
俺も同感だった・・今は沙羅が笑える時間を少しでも増やしてやりたい
それだけだった。
俺の寝室より少し狭いがそれでも8畳ある部屋に服部が彼女が滞在できるように色々と用意をしてくれた。
女性が必要とする物なんて知らない俺は、服部任せになってしまう、それも悔しくてノートパソコンを持ってきて沙羅に必要な物を聞きながら買い物カゴに入れていく。
家具は、このマンションを購入した時にインテリアコーディネーターに依頼して用意したから最低限のベッドや簡単な物は揃っていたがシーツやリネン類を買い足して彼女が、絵を描けるようにパソコンも用意してみた。
「社長・・打ち合わせの件ですがどうしますか?」
「ああ。そうかどこの店だ?」
そろそろ冬のメニューを決める時期だから各店舗を視察しなければならないしかし彼女を一人で部屋においておくのは怖い。
「沙羅。嫌いな料理や食べ物はあるか?」
「無いです。」
「17時に出れるように用意できるか?視察があるから一緒に行こう。」
「えっ?私もですか?。」
「視察って言っても食事だし意見も聞きたいしな。」
女性の意見が聞きたいと俺が言えば彼女は、素直に行きますと言ってくれた。
今日は、出来るだけ部屋で仕事できるように服部が手配していた為にリモート会議やメールで仕事を進めることが出来た。
沙羅は、何やら本を読んでいたから何を読んでいるのかと思えば服部が貸してくれた恋愛小説だった。
「一条さんって恋愛小説読むんですね。」
「服部に借りたんだ。」
服部は、今俺の変わりに会社の用で出かけていたから彼女と二人きりだった。
「服部さんがこの本を読んでいるんですか?」
「いや。服部の妹だよ。」
「なるほど・・一条さん読んでどうでした?」
「うーん。どうもこうも俺が経験した事がない感じだな。俺は、女に好きだとか愛してるとかって言った事が無いんだよ。そう感じた事も無かったんだ最近であった子以外はな。」
「その女性は幸せですね。唯一なんでしょう?」
「そう言う事になるのかな・・でも俺は。沙羅は好きな男はいないのか?」
「今はいません。と言うか、たぶん私は幸せにはなってはいけないんです。」
悲しそうな顔をして彼女はしたを向いて言った。
「拓海君か?」
「何故知っているんですか?」
「俺は相沢の友達だぞ聞いているし知ってるよ。」
最近聞いたんだけどな・・嘘はついてないぞ。
「拓海は刺された私を庇って刺されました。それでも相手を追いかけて・・。私は、意識を失ってしまってましたが拓海が庇ってくれてなければ私はその場で死んでました。拓海は、私を庇わなければ死ななかった・・・。」
ポタポタっと握った彼女の手に涙が落ちるそんな痛々しい姿に胸が締め付けられる。
「俺から言わせればな、好きな女が目の前で刺されて自分が逃げるような真似をして、生き残ったりしたら男は一生ダメになる。刺された場所を聞いたが犯人は、拓海君を殺すつもりは無かったと俺は思うんだ。たまたま動脈を傷つけてしまったんだろうな。沙羅の事も聞いたが沙羅に向けられた刃は殺意があった。その違いがわかるか?」
俺は拓海の気持ちが今なら理解できる。
目の前で好きな女が殺されかけたら俺でも自分を盾にしてでも守るだろう。
何も言わずに首を振る彼女に俺は、拓海の事を代弁するように自分の言葉を乗せて彼女に言った。
「犯人は、計画的に拓海の目の前で沙羅を殺そうとした拓海を絶望させようとしたんだもしな・・拓海が生きていたとして沙羅が殺されていたとしたら拓海に絶望しながら一人で生きて誰も愛さず生きて欲しいか?」
沙羅はクビを振る。
「沙羅。幸せを諦めたらダメなんだよ。そんな事は絶対に男は・・拓海は望んではいない。」
「でも・・私と一緒にいたから一条さんも襲われて。」
「沙羅間違えたらダメだ。悪いのは根源は犯人だよ沙羅じゃない。」
声を押し殺しながらなく沙羅を慰めるように抱きしめた。
女を抱きしめて慰めて癒したいなんて思う時が来るとは思わなかった、柔らかい小さな体が腕の中で震えて泣いている。
「今は俺の彼女だからな甘えてろ・・なっ。」
沙羅は俺にしがみついて泣いた。
今は一か月限定の「彼女」だが俺は一か月で終わらせるつもりなんてない。
彼女が落ち着いた頃に服部が仕事を終えて帰ってきたから俺は服部から報告を受ける。
その間沙羅は本を読んでいたが泣き付かれたのか眠ってしまっていた。
「服部・・今日の視察は明日に変更してくれ。」
「承知しました。でも可愛いですね。」
「見るな!」
「見るくらいいいでしょう?減らないですよ。」
「減る。」
タオルケットをそっと沙羅に掛けてから俺は料理を作る事にした。
家にある材料で作るから凝ったものは出来ないが、パスタくらいは出来るしサラダも作れるか。
簡単なトマトソースを作りベーコンを入れボイルしたパスタをあえてチーズをかけるシンプルなものと簡単なグリーンサラダにオリーブオイルとビネガーのドレッシングをかけたサラダが出来上がった頃に沙羅が目を覚ました。
「起きたか・・手を洗っておいでパスタにしたから。」
「視察だったんじゃ?」
「明日になったんだ、丁度沙羅も寝ていたしな。」
そんな俺の話し方を見ていた服部がえらく驚いた顔をしながら、「そうです、レストランが
予約でいっぱいになったんですよ。」とフォローしてくれた。
何故か最近服部は俺の料理を食べる事が多くないか?
本来は秘書が作るんじゃないのか?と俺がボヤキながら食べていると
「一条さんのお料理好きです。」
「ですよねー社長の料理美味しいですもんね。」
別に料理が嫌いなわけじゃないからいいが・・
そんな事を言われたら何でも作ってやりたくなるんだよな・・元々食べる事にこだわりが強かったからこの業界に入ったわけだ、たまたま出した店が成功してここまで会社も大きくできたわけだしな。
「また作ってやるよ。」
美味しそうに食べる沙羅の顔を見れるならいつでも作ってやろうと思うから俺は単純なのかもしれない。
服部が帰宅したのは、沙羅が寝た頃だった服部なりに沙羅がなれるまでは出来るだけ三人でいた方が良いと言っていた。
俺も同感だった・・今は沙羅が笑える時間を少しでも増やしてやりたい
それだけだった。
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