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【 4 】
しおりを挟む「 にゃあうぅ 」
ドミナントは体が調べられている間も特に嫌がることなく、少し暇そうに鳴いているだけだ。 人の手が触れて来るのに慣れているのは、早川のおばあさんが普段から猫の世話を欠かさないからだろう。 逃げたりする様子は全く窺えず、ケージやつなぎ紐を用意したりする必要はまるで無さそうだった。
「 君は、一人でお出かけしたのね 」
美晴ちゃんは優しく声をかけながら歩み寄って、猫の首の、たてがみのように長い毛の房に絡まっている草の種をつまみ取ると、折りたたみブラシを広げてドミナントの毛並みを整え始めた。
「 にゃあ 」
「 黙って外に行っちゃダメなのよ 」
「 にゃ 」
目につく大きさの草くずや泥を、体の片側を下にして寝転んでいる猫から丹念に払い落とし、次に反対側もきれいにするために猫の脚をそっと掴む。
「 うゅ 」
ドミナントはくつろぎきって立とうともせずに、無抵抗でぽふっとひっくり返された。
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