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第55話 フェチバウトが始まったらしい 中編
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「そろそろ準備は宜しいですか?」
休憩中にお茶とお菓子でまったり寛いでいると係の人が控え室に呼びに来てくれた。
「良いですよ、じゃあ行きますか」
「先程の試合…お見事でした!次も期待しています!」
「まぁ…任せて下さい」
先程の戦いで何となく分かる。これは圧勝出来る。まだまだ研究が足りないし焦っているのか何かズレているんだよね。
再びコロシアムに入場すると割れんばかりの歓声でお出迎えされた。内容は内容としてこれは気分が良い。
『先程は見事に勝利したカエデ!連勝なるか!?それでは第二試合っ…!開始っす!!』
相手の紹介は…?
とりあえず始まった第二試合、相手のフェチは“貧乳”か…。今度はどんなトンデモ理論で来る?
「俺の名はガイノス!今から“貧乳”の真髄をお見せしよう!」
はいはいこういうタイプね。バカっぽいタイプ。
ガイノスが名乗りを挙げると登場した貧乳の女の子達。美女揃いで来たなぁ。可愛いから綺麗まで選り取り緑か。
「俺は胸が無い者が好きだ!絶対平面!絶対零乳が正義!胸の谷間?影?そんなものは不要である!!」
引くわぁ…いや、そういう試合なんだけど…女の子達大丈夫?少し顔赤くない?
「これこそ“無”の境地!!その他など全てノイズである!!」
あまりの迫力に静まり返る会場内。いや、引いてるのか?完全に戸惑ってるじゃん。
『お…おーっと!これは凄い気迫っす!凄すぎてなんか…ちょっと怖いっす!!』
「どうだ?吾輩の完璧な理論に反論など――」
「違うね、分かっていない。そんなのフェチの上澄みに過ぎない」
「なんだと!?吾輩の理論が上澄みだと!?」
めっちゃ怒るやん。あんまりカッカしなさんなよ。女の子怖がっちゃうよ?でももっと煽っていこう。ちょっと言い過ぎだよ。
「さっきから“無い”って言ってるけどそんなに無いのが素晴らしい事?」
「そ、そうだ!何を訳の分からん事を…」
「貴方は否定しかしてない、“無”が正義?他はノイズ?違うよ、全然違う」
私はゆっくりと進みながら話を続ける。
「貧乳はね…“無”じゃない、そこから想像出来る余白を楽しむものなの、そこに“ある”少ない情報量から妄想するの。『もしかしたらもっとあるかも』とか『手のひらサイズかな?』とか」
「ぐっ…」
「そう、例えばこれ」
私はモエロイドをガイノスの前に出し、巨乳にしてみせる。
「駄乳だな、こんなに無駄にデカくては」
駄乳!?思想強いな!?
「これなら分かる、胸の質量、シルエット、手に取るようにね」
「そんなの見れば分かる」
次にモエロイドを貧乳に変化させる。全く便利なもんだ。
「これだとどう?」
「うむ!理想的である!」
「でもここまで小さいと服の上から分かりにくいよね、形とか。だから想像するの、どんな形だろうとか、乳首はどこだろうってね」
「はっ…!」
ガイノスは何かに気がついたようだがまだまだ続ける。
「つまり…“貧乳”とは未完成の完成形。“無い”ではなくて“どうなっているんだろう”っていう情報量の少なさが想像力を掻き立てるんだよ。貧乳フェチの本質はね、“知りたいけど分からない”っていう曖昧さ…“余白の美”なの!!」
「く、くっそぉ!!」
膝から崩れ落ちるガイノス、でもまだまだだ。
「それにね、例えば…」
私は自分の胸を触り話を続ける。
「私も大きい方じゃ無いけど…もしも好きな人が大きい方が好きなら頑張るよ。こうやって寄せて上げてみたり、胸が強調されない服を選んでみたり…好きな人には可愛いって思って欲しいから…」
「ぐぬっ…!」
「こういう、『私はどうせ小さいけど…』って思ってる女の子が自分の為に頑張ってくれてる姿って良くない?こんな努力も貴方にはノイズなの?」
トドメの上目遣い、これでどうだ?
「ぐっはぁああああ!!!!」
雄叫びをとピンクのモヤを大量に吹き出し倒れるガイノス。本当にこの人大丈夫だろうか。
『け、決着ぅううう!!カエデ選手!!またも完封!!強い!強すぎる!!絶対的な強さを見せつけたぁああああ!!!』
リンさんの実況と共に降り注ぐ拍手と歓声、ガイノスが連れてきた女の子達も嬉しそうに拍手をしている。良い事した気分!!
余裕だ、次もきっと…私はなんの不安も無く会場を後にしたのだった。
休憩中にお茶とお菓子でまったり寛いでいると係の人が控え室に呼びに来てくれた。
「良いですよ、じゃあ行きますか」
「先程の試合…お見事でした!次も期待しています!」
「まぁ…任せて下さい」
先程の戦いで何となく分かる。これは圧勝出来る。まだまだ研究が足りないし焦っているのか何かズレているんだよね。
再びコロシアムに入場すると割れんばかりの歓声でお出迎えされた。内容は内容としてこれは気分が良い。
『先程は見事に勝利したカエデ!連勝なるか!?それでは第二試合っ…!開始っす!!』
相手の紹介は…?
とりあえず始まった第二試合、相手のフェチは“貧乳”か…。今度はどんなトンデモ理論で来る?
「俺の名はガイノス!今から“貧乳”の真髄をお見せしよう!」
はいはいこういうタイプね。バカっぽいタイプ。
ガイノスが名乗りを挙げると登場した貧乳の女の子達。美女揃いで来たなぁ。可愛いから綺麗まで選り取り緑か。
「俺は胸が無い者が好きだ!絶対平面!絶対零乳が正義!胸の谷間?影?そんなものは不要である!!」
引くわぁ…いや、そういう試合なんだけど…女の子達大丈夫?少し顔赤くない?
「これこそ“無”の境地!!その他など全てノイズである!!」
あまりの迫力に静まり返る会場内。いや、引いてるのか?完全に戸惑ってるじゃん。
『お…おーっと!これは凄い気迫っす!凄すぎてなんか…ちょっと怖いっす!!』
「どうだ?吾輩の完璧な理論に反論など――」
「違うね、分かっていない。そんなのフェチの上澄みに過ぎない」
「なんだと!?吾輩の理論が上澄みだと!?」
めっちゃ怒るやん。あんまりカッカしなさんなよ。女の子怖がっちゃうよ?でももっと煽っていこう。ちょっと言い過ぎだよ。
「さっきから“無い”って言ってるけどそんなに無いのが素晴らしい事?」
「そ、そうだ!何を訳の分からん事を…」
「貴方は否定しかしてない、“無”が正義?他はノイズ?違うよ、全然違う」
私はゆっくりと進みながら話を続ける。
「貧乳はね…“無”じゃない、そこから想像出来る余白を楽しむものなの、そこに“ある”少ない情報量から妄想するの。『もしかしたらもっとあるかも』とか『手のひらサイズかな?』とか」
「ぐっ…」
「そう、例えばこれ」
私はモエロイドをガイノスの前に出し、巨乳にしてみせる。
「駄乳だな、こんなに無駄にデカくては」
駄乳!?思想強いな!?
「これなら分かる、胸の質量、シルエット、手に取るようにね」
「そんなの見れば分かる」
次にモエロイドを貧乳に変化させる。全く便利なもんだ。
「これだとどう?」
「うむ!理想的である!」
「でもここまで小さいと服の上から分かりにくいよね、形とか。だから想像するの、どんな形だろうとか、乳首はどこだろうってね」
「はっ…!」
ガイノスは何かに気がついたようだがまだまだ続ける。
「つまり…“貧乳”とは未完成の完成形。“無い”ではなくて“どうなっているんだろう”っていう情報量の少なさが想像力を掻き立てるんだよ。貧乳フェチの本質はね、“知りたいけど分からない”っていう曖昧さ…“余白の美”なの!!」
「く、くっそぉ!!」
膝から崩れ落ちるガイノス、でもまだまだだ。
「それにね、例えば…」
私は自分の胸を触り話を続ける。
「私も大きい方じゃ無いけど…もしも好きな人が大きい方が好きなら頑張るよ。こうやって寄せて上げてみたり、胸が強調されない服を選んでみたり…好きな人には可愛いって思って欲しいから…」
「ぐぬっ…!」
「こういう、『私はどうせ小さいけど…』って思ってる女の子が自分の為に頑張ってくれてる姿って良くない?こんな努力も貴方にはノイズなの?」
トドメの上目遣い、これでどうだ?
「ぐっはぁああああ!!!!」
雄叫びをとピンクのモヤを大量に吹き出し倒れるガイノス。本当にこの人大丈夫だろうか。
『け、決着ぅううう!!カエデ選手!!またも完封!!強い!強すぎる!!絶対的な強さを見せつけたぁああああ!!!』
リンさんの実況と共に降り注ぐ拍手と歓声、ガイノスが連れてきた女の子達も嬉しそうに拍手をしている。良い事した気分!!
余裕だ、次もきっと…私はなんの不安も無く会場を後にしたのだった。
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