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契り※女神視点

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(こんな……。こんなの無理……!)

何時もなら、「やめて」と言えばすぐにやめてくれるのに、グルトは手を止めてくれなかった。アデルとグルトは全裸で向き合っており、恥ずかしすぎて溶けてしまいそうだった。

「何も持たない俺に、愛を教えてくれたのはお前だ。俺にも褒美をくれ」

くちゅくちゅとグルトはアデルの、まだ誰も受け入れたことのない場所を指で搔き回した。「狭いな。全部入るだろうか……? まぁ多少怪我しても、死ぬことはないだろう」という物騒なグルトの呟きに、火照った体が冷やされるような心地がした。

「やっと一つになれるのか」
「~~っ!!」

アデルがグルトの言葉を頭が理解する前に、ずん、引き裂くような衝撃が、身を貫いた。余りの衝撃に、ひゅ、と息が詰まった。

(……あ、あれがすべて我が身に入ったとでも言うのか……!?)

凄まじい異物感がする。信じられなくて、恐る恐る結合部を見ると、黒光りする剛直が深々と刺さっていた。グルトは「もう、動くぞ」とだけ呟いて、パンパンと腰を打ち付け始めた。

「う、動くなぁ……! あっ……! あぁ……!」

あまりにも痛くて、苦しくて、アデルはグルトの首に腕を回してしがみ付いた。しかし、穿たれているうちに、痛いだけではなく、悦びがゾクゾクと背筋を駆け上がって、甘い嬌声がアデルの口から零れ始めた。

グルトの精をその体で受け止めたのは、それからすぐのことだった。しかし、それだけでは終わらなかった。グルトの肉棒はアデルの中で、硬さを取り戻したからだ。

「ふぁっ……! あ、あっ!?」

アデルは、何度もグルトに欲望を注ぎ込まれた。

「俺を見ろ、アデル。お前を抱いているのは、この俺だ」

グルトと深く契ることにより、それまでよりも、力が満ちていることにアデルは気が付いたが、グルトからもたらされる快楽と、囁かれる言葉に翻弄され続けた。

数日後、グルトは眠るアデルの長い髪を撫でながら、ポツリと呟いた。

「未来永劫、愛している」

その言葉に反応してか、アデルの肩がビクリ、と揺れた。グルトは、性行為に疲れ果て、眠ったアデルがとうに目覚めているのは分かっていた。

それを知っていたうえで、言ったのだ。

「……アデル。耳が真っ赤だぞ」
「グルトが、恥ずかしいことばかり言うからじゃ……!!」

枕を投げつけられ、グルトは苦笑いをした。

アデルは何度体を重ねても、まるで処女であるかのように、その裸体を隠そうとしたが、それを暴こうとするグルトの腕を拒むことはなかった。

ゼルシウスに指摘されなくとも、アデル自身、性格が素直でなく、意地っ張りであることを自覚していた。深く契らなければならないことは理解していたが、女神としてのプライドが邪魔をして、失敗ばかりだった。誰かに相談することも出来ず、どうすればグルトと契ることが出来るのか、途方に暮れていた。

だからこそ、グルトと深く契ることが出来て、アデルは心の底から安堵した。もしかすると、自分は女として欠陥品なのではないかと、ずっと苦悩していたからだ。

「グルト。 我は……、そなたを愛しておるぞ……」

グルトが愛するように、アデルもまたグルトを愛していた。勇気を振り絞り、消え入りそうなぐらいか細い声でグルトに伝えたその言葉は、グルトを歓喜させた。

大鬼グルトは、豊穣の女神アデルを守護する影として付き従った。豊穣の女神アデルを愛するがゆえに、大神をも超越する力を得たため、鬼神と呼ばれ、恐れられるようになった。

アデルはグルトの子を次々に身籠り、力ある神を産んで、人間の世界を明るく照らしたのだった。
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