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ありがとうのプレゼント
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りょうた君はお母さんやお父さんに、ありがとうを言いません。
言うのはいつも自分の事ばかり。
「今日はハンバーグがいい!」
「遊園地に連れてって!」
お母さんが作ったごはんに文句を言ってみたり、お父さんが疲れていても全然きにしません。
しかもお母さんがハンバーグを作ってくれても、お父さんが遊園地に連れて行ってくれてもなんにも言いません。
そんなある日、りょうた君はお母さんと喧嘩をして家を飛び出してしまいました。
プンプン怒るりょうた君は、公園のベンチに座って口を尖らせます。
「あんなに怒らなくたっていいじゃんか」
お母さんは、りょうた君が散らかしたおもちゃを片付けてくれました。
少し前から片付けてと言われていましたが、りょうた君は後で後でと中々片付けなかったからです。
りょうた君は、自分で片づけようと思ってたとお母さんに怒ります。
それを聞いたお母さんは、いつもよりちょっぴりきつく注意しました。
でもりょうた君にとっては、そのちょっぴりが我慢できなかったのです。
何だか家に帰りづらいりょうた君、ベンチに座ってぼんやりと空を眺めます。
「おやおや? ずいぶん悪い子がいるなあ」
その声にりょうた君はびっくりして、声の方に顔を向けます。
そこにはハートが浮かんでいました。
手と足と羽が生えた、手のひらに乗るくらいのハートがパタパタと飛んでいます。
「ハートが……喋った?」
「そうだよ、驚いたかい?」
もちろんびっくりししましたが、りょうた君はそれ以上にその空飛ぶハートに興味が湧きました。
「君の事をちょっと見ていたけど、君は全然ありがとうを言わないなあ」
「別に言わなくたっていいじゃんか」
「うーん……よしわかった、じゃあちょっと一緒に来てよ」
ハートはりょうた君を連れて、交番に行きました。
交番の前には、いつもいる警察官のお兄さんがいます。
「あのお巡りさん、どんな人か知ってる?」
「とっても優しい人だよ、僕が前に迷子になった時も家まで送ってくれたもん」
「その時ありがとうは言ったかな?」
「言ってない、その時はすごく泣いてたから」
「じゃあ言わなくちゃ、何かをしてもらったらありがとうを言うんだよ」
ハートはりょうた君の背中を押します。
少し照れくさいけれど、りょうた君はお兄さんの前に行ってこの前はありがとうございましたと大きな声で言いました。
警察官のお兄さんは、りょうた君の目線に合わせるようにしゃがむと、もう迷子になっちゃ駄目だよと言って笑うと、頭を撫でててくれました。
それからりょうた君は、たくさんの人にありがとうを言いました。
いつもお菓子をおまけしてくれるお菓子屋さん。
いっしょに遊んでくれる友達。
横断歩道で声をかけてくれるボランティアの人たち。
今まで言えなかったありがとうを、一杯言って回りました。
「どうだい? とっても気分が良いだろう?」
「うん、なんだかすっごくあったかい気持ちになったよ」
「そうだろう? ありがとうはね、行った人も言われた人も幸せにする魔法の言葉なんだ。だからありがとうはどんどん言った方が良いよ、そうすればみんなが今よりもずうっとあったかい気持ちでいれるからね」
「うん」
「それにね、ありがとうは自分に返って来るんだ。誰かに言ったありがとうは、ぐるっと回って君に返ってくる。それを忘れないでね」
「わかった」
「よおし、じゃあもうりょうた君にはありがとうを言わなきゃいけないのが誰か分かるよね?」
りょうた君は大きく頷きます、ハートはすうっとりょうた君の胸の中に入って行きました。
りょうた君は家の玄関の戸を開けると、お母さんの所へ走っていきました。
言うのはいつも自分の事ばかり。
「今日はハンバーグがいい!」
「遊園地に連れてって!」
お母さんが作ったごはんに文句を言ってみたり、お父さんが疲れていても全然きにしません。
しかもお母さんがハンバーグを作ってくれても、お父さんが遊園地に連れて行ってくれてもなんにも言いません。
そんなある日、りょうた君はお母さんと喧嘩をして家を飛び出してしまいました。
プンプン怒るりょうた君は、公園のベンチに座って口を尖らせます。
「あんなに怒らなくたっていいじゃんか」
お母さんは、りょうた君が散らかしたおもちゃを片付けてくれました。
少し前から片付けてと言われていましたが、りょうた君は後で後でと中々片付けなかったからです。
りょうた君は、自分で片づけようと思ってたとお母さんに怒ります。
それを聞いたお母さんは、いつもよりちょっぴりきつく注意しました。
でもりょうた君にとっては、そのちょっぴりが我慢できなかったのです。
何だか家に帰りづらいりょうた君、ベンチに座ってぼんやりと空を眺めます。
「おやおや? ずいぶん悪い子がいるなあ」
その声にりょうた君はびっくりして、声の方に顔を向けます。
そこにはハートが浮かんでいました。
手と足と羽が生えた、手のひらに乗るくらいのハートがパタパタと飛んでいます。
「ハートが……喋った?」
「そうだよ、驚いたかい?」
もちろんびっくりししましたが、りょうた君はそれ以上にその空飛ぶハートに興味が湧きました。
「君の事をちょっと見ていたけど、君は全然ありがとうを言わないなあ」
「別に言わなくたっていいじゃんか」
「うーん……よしわかった、じゃあちょっと一緒に来てよ」
ハートはりょうた君を連れて、交番に行きました。
交番の前には、いつもいる警察官のお兄さんがいます。
「あのお巡りさん、どんな人か知ってる?」
「とっても優しい人だよ、僕が前に迷子になった時も家まで送ってくれたもん」
「その時ありがとうは言ったかな?」
「言ってない、その時はすごく泣いてたから」
「じゃあ言わなくちゃ、何かをしてもらったらありがとうを言うんだよ」
ハートはりょうた君の背中を押します。
少し照れくさいけれど、りょうた君はお兄さんの前に行ってこの前はありがとうございましたと大きな声で言いました。
警察官のお兄さんは、りょうた君の目線に合わせるようにしゃがむと、もう迷子になっちゃ駄目だよと言って笑うと、頭を撫でててくれました。
それからりょうた君は、たくさんの人にありがとうを言いました。
いつもお菓子をおまけしてくれるお菓子屋さん。
いっしょに遊んでくれる友達。
横断歩道で声をかけてくれるボランティアの人たち。
今まで言えなかったありがとうを、一杯言って回りました。
「どうだい? とっても気分が良いだろう?」
「うん、なんだかすっごくあったかい気持ちになったよ」
「そうだろう? ありがとうはね、行った人も言われた人も幸せにする魔法の言葉なんだ。だからありがとうはどんどん言った方が良いよ、そうすればみんなが今よりもずうっとあったかい気持ちでいれるからね」
「うん」
「それにね、ありがとうは自分に返って来るんだ。誰かに言ったありがとうは、ぐるっと回って君に返ってくる。それを忘れないでね」
「わかった」
「よおし、じゃあもうりょうた君にはありがとうを言わなきゃいけないのが誰か分かるよね?」
りょうた君は大きく頷きます、ハートはすうっとりょうた君の胸の中に入って行きました。
りょうた君は家の玄関の戸を開けると、お母さんの所へ走っていきました。
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