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本編
18、帰したくない
医者の診断では、もう薬は抜けていて正常のフェロモン値になっていた。だからもう問題ないと言われたと正樹へ伝えると、帰ると言ってベッドを抜け出そうとしたが、力が入らなかったのか、そのまま崩れ落ちた。
「大丈夫か? 初めてで体が言うこときかないんだろう、もう少し休もう」
「なっ! だ、大丈夫。こんなのすぐ良くなる」
真っ赤な顔で言う、その根拠の無い大丈夫はいったいなんだ。
「大丈夫ってわかるのか? 正樹は俺が初めてじゃないの? 経験あるから大丈夫って言っているのか?」
「な、ないよ! 無いけど、これ以上世話になるわけにいかないし、悪いけどタクシーだけ呼んでもらえると助かる」
ごめん。無理だわ、まだ離れたくない。
「呼ぶわけがないだろう。落ち着いても、俺の匂いガンガン付いていて外に出したら、危ない」
「えっ、匂いついていると危ないの?」
そして自分の肌をクンクン嗅いでいる正樹は、いい匂いしかしないんだけどなって、不思議な顔をしていた。俺の匂いをいい匂いと無意識に言っている。また抱きたくなってきた。
「はぁ、いかにもアルファに抱かれましたって気だるさと色気がダダ漏れだから、男に襲われかねない」
「……!!」
またも赤い顔をした、正樹は忙しいな。
そしてセックスの経験も無かったからか、無防備すぎる、心配だ。正樹は怯えていた、少し怖がらせすぎたか? 昨日友人のアルファからレイプされそうになったばかりだ、それなのに、また男に襲われるなんて言ったのはトラウマにさせてしまうか? やりすぎたと思っていると、正樹は控えめに俺に従うそぶりを見せた。
「じゃあ、迷惑じゃなければシャワーだけ借りてもいいか?」
「いいよ、さぁおいで」
「え? なにそれ」
俺はベッドに座っている正樹に向かって両手を広げて待っていた。ちょっと真剣になって、真顔になってしまったかな、引いた?
「だから正樹は今、歩けないんだから抱っこして連れていくから」
「やだよ! 俺男だよ、男に抱っことか、ほんとにどうしちゃったの?」
どうしたのって……正樹に夢中な男に成り下がったんだよ、俺は。わかってくれよぅ。でも冷静を装うことにした、アルファとして情けない姿を見せて、正樹に幻滅されたくない! 俺は威厳を保ちつつ、俺の気持ちもわかって欲しいと弱音を吐いた。
「さっきからぐたぐた煩いなあ、そんな精液べったりついていやらしい状態をずっと見させ続けられている俺の身にもなってよ、今すぐ襲いそうなのを我慢しているんだから、早く風呂入って欲しい」
またびくってなった。怖がらせたいわけではないのに、難しいな。
「ごめんっ、じゃあ、悪いけど連れて行って」
迷惑かけられないと、遠慮がちな正樹は素直に従ってくれた。
そして嫌がる正樹を無視して一緒に風呂に入った。もちろん隅々まで洗って、俺の白濁も掻き出して全てを綺麗にした。正樹は体力がもう限界なのか、大した抵抗もできずにずっと赤い顔して、泣いていた。
そんなに気持ち良かったのか。嬉しいな、俺の手で泣くほど気持ちが良くなって、そして泣く声も控えめに俺にバレないようにしている。可愛いだけなのにな。
たまらなくなって湯船に浸かっている時、思わず後ろから優しく抱きしめた。
正樹が、このオメガが愛おしい。
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