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番外編
1、番になったご挨拶 1
しおりを挟む発情期が終わって、正樹との誤解も解けて、そして番になった。今日は発情期が明けたので一緒に真山家へご挨拶だ。
「緊張するぜぇ!!」
「ふへっ? なに? どした、司」
「あっ、いや、なんでもない」
思わず心の声が漏れていた。正樹が不安そうな目で見てきてちょっと焦った。
最近正樹風の口癖がうつった気がするし、俺ってこんな気さくなタイプだったか? なんか俺のキャラが崩壊していく。正樹に嫌われたくないから、出来る男でいたいのに、うまくいかないなぁ。
「もう二人には会っているんだろ? 俺の親だし、そんな固いタイプじゃないから大丈夫だって! 司でもそんなガチガチになるのな? ははっ、お前も普通の人間で安心したわ」
「えっ?」
「もう俺の前ではアルファ様作らなくていいぞ、お前ちょいちょい面白いやつになっていたからな!! 俺はどんな司でも、す、す、好きだぞ」
俺の本性がバレていた!? どこまでだろう。それにしても、本性すらも愛しているってこと? 正樹どんだけいい嫁なんだよ。このまま、またホテルへ逆戻りして抱き潰したい。でも正樹の親に挨拶もしたい、でも正樹をぐちゃぐちゃに抱きたい。
「……なんか言えよ、恥ずかしいだろ」
「愛している、好きが止まらない」
すかさず正樹の唇を奪った。
「んんん! そこは止まっとけ、少なくとも今は止まれ、ステイ!!」
「ええ――、煽ったのは正樹じゃん」
キスを中断されてしまったよぉ……涙。
「ってか、お前はやっぱアルファ様だな、恥ずかしげなくそういうセリフ言えるところはすげぇわ。でもありがと! お前にそう言われるたびに嬉しくてたまらね――わ。両思い最高!!」
赤い顔でにっこりと笑う、番になったばかりの俺の、俺だけのオメガぁぁ!!!
「正樹の両親にきちんとしたところ見せたいのに、正樹を送り届けなくちゃいけないのに、正樹は鬼なの? 鬼嫁なの? それも可愛くていいけど、俺の顔がにやけて気持ち悪いって思われたら、嫌われたらどうしてくれるの!? 俺これから正樹の親に結婚の挨拶にいくのにぃ!!」
「おい! 飛びすぎだ。まずは番の挨拶だっただろ」
「あっ……そうだった」
「でも、嬉しいよ司。いつか結婚しような? っておい!! 泣くなよ、もう」
こいつ実はアルファじゃないのか? 男前過ぎるよ、正樹。最近の俺は乙女かってくらい思考がやばい。正樹を守るつもりが、いつの間にか守られている気がするのはなぜだろう。俺が嫁に行けばいいか! それがいいか!! 俺が真山家の嫁だ。
「やめろ、ソレ。俺はお前を嫁にしないぞ。俺が嫁だ」
「えっ、言葉に出ていた?」
「ばっちりな。もう、お前ってば実はすげぇ面白い奴なのな! 俺好きだよ、そういうのも。俺たちは番だけど、同級生で恋人で友達だからな、そういう砕けた感じがやっぱりいいわ」
正樹は俺の涙を自分の服の裾でぬぐってくれた。本当に最高な嫁で友達で恋人で最愛の人だ。
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