運命を知りたくないベータ

riiko

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イギリス編

2、モデル

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 僕はイギリスで老舗宝石ブランドの専属モデルをしている。

 もともとは日本で生活をしていて、英語なんて全く使えなかったけれどこちらの生活もだいぶ慣れて、大学生活と同時にモデルの仕事を始めたらそれが成功した。今では一つの企業の仕事だけで生計を立てられるほどになった。

 高校生の時に家にいられなくなる事情ができて、大学進学を機に単身イギリスに来た。もう四年も日本には帰っていない。いや、仕事で訪れたけれど実家には帰っていない。

kaiカイ、そろそろ休憩にするよ」
「オッケー。僕ちょっと裏で寝てきていい?」
「開始は1時間後だから、あとで起こしに行くよ。ゆっくり休みな、どうせ昨夜もお盛んだったんだろう?」
「うん。昨日の人、凄い性欲で。さすがの僕もヘトヘトだよ」

 そんないつもどおりの会話をカメラマンとして、スタジオを後にした。昨夜の相手はセフレの一人、モデル仲間のアルファだった。今日の仕事はオメガとしての魅力を見せなければいけなかったので、仕方なくアルファと寝た。アルファと寝た翌日は絶妙に色気が出ると、以前カメラマンに言われてからそうしている。

 僕はkaiカイというモデル名で仕事をしていた。周りからはカメレオンモデルと言われて、フィルター越しなら匂いもないのでどんな性別にも変化できる。もともと僕の顔は綺麗と言われる部類で、アジア人特有の若さと色気がある……らしい? この顔のせいで日本では散々な目にあったけど、それはもう忘れることにした。

 アルファとも見られるような長身できつい雰囲気も、オメガにも受け取られるような魅惑の色気も、そして今時の若者らしい等身大の自分を出せるベータもすべてを演じられる。といってもベータは演じてない僕自身だけど。

 性別不明のアジア人モデル。

 そういう呼び名が僕にはついて回った、モデル会社の社長もその線で売れると言い、僕の性別は誰にも内緒になった。

 モデルや俳優は仕事に影響がでないように、アルファもオメガも普段から抑制剤を使用している人がほとんどなので、フェロモンが感知できないから、あいつはベータだ、とは思わないみたい。でも僕と寝た相手には、僕がオメガではないということはわかってしまう。だって後ろは自然に濡れることはないから。

 オメガではないなら、ベータかアルファなのだけど、それでも相手はそこまでは気づかれない。だって僕は一応優秀な部類に入るからね。アルファを組み敷いているという優越感を覚えるベータもいたし、ベータと思って僕をいたぶるアルファもいた。体さえ満足したらそれでいい、それだけのために僕は相手を選んできただけだった

 二度と恋なんてしない、そう誓って。
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