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第一章 社畜降臨
7 初夜の前に愛を誓う
なんとか処女が証明された。そして社畜の基本、感謝の言葉を忘れない。
「ガリアード様、ありがとうございました」
「夫として当然のことだ」
リリアンの濡れたお尻をガリアード自ら拭き拭きする。さらに着衣を整えられガリアードにお茶をもらった。お前はこんなにできる男だったのかい?
当然ってなんだろうか。アニメの中では、お尻拭き拭きなんてしたことない。リリアンは疲れ果てて寝落ちして、翌日お腹を壊すなんてよくあった。それに、こうやって茶を出されたこともなかった。ここまで変わるって、始まり方って大切……
「僕の潔白の証明をガリアード様自身していただけて、とても嬉しかったです」
赤く頬を染めるリリアン。
実際はリリアンほど純朴ではない俺っちだから染まらないだろうが、演技くらいできるので、恥ずかしげにでも嬉しそうに伝えるとガリアードが固まった。
「リ、リリアン。あなたを一生大事にする」
「……ガリアード様ぁ」
リリアンらしく、可愛くガリアードを見つめた。
ガリアードが近づいてきてキスをする。目を閉じてガリアードのなすがままに従うだけ。口を開けろと舌でノックしてくるから、ふぁっと軽く侵入を許すと、すぐに大きな舌が口内を自由自在に動き回る。
キス、気持ちがいい。こんな大きな男にされているのに、拒絶反応がない。むしろリリアンの体は喜んでいるくらいだ。
元のリリアンは、政略結婚相手ガリアードのことを怖がっていた。実際に会うと本当に怖かったみたい。それもそのはず、アニメのガリアードはいつも怒っているし、無理やりリリアンを抱いていたから。
だが今回のガリアードは最初から優しい。
リリアンは政略結婚なりに、公爵家次男として心を決めてここに来たはずだ。もし、あのアニメでも初めからガリアードが今みたいに優しかったら? リリアンなら受け入れてむしろ愛を返しただろう。
その証拠にこの体は愛情を与えてもらって、一つの拒絶もない。むしろ、もっとキスを続けたい。
これはリリアンの体が、心がそう言っているのか、はたまた俺という社畜がただ快楽に弱くてそう思っているのかは謎だが、これなら生き残れそうだと強く思えた。
「リリアン。そんな蕩けた顔したら、やめられないぞ。君が愛おしい」
「僕も……です。リリアンの初めての口づけ、ガリアード様で嬉しいです。こんな優しい旦那様に嫁げて、僕はとても幸せです」
「リリアン!」
ガリアードはその後しつこくリリアンの口内を堪能したが、キスが終わると俺は本題に入った。
「あっ、ところで先ほどの潤滑剤? せっかく僕のために王宮のお医者様がお持ちくださったのに、使うことができなくて申し訳ないです。未使用ですからこの邸宅にお勤めの方でご結婚をされている方に差し上げたらいかがでしょうか? 王家ご用達の品ならきっと素晴らしいと思うので」
わざとらしくなく、モノを大切にするリリアン演出。さらには使用人にも優しいリリアンを演じた。
裏にある理由を、今のガリアードがまだ知る由もないので、彼は微笑み同意する。
「ああ、そうだな。リリアンは優しい子だ。最近結婚したのが騎士に一人いたから、そいつに渡そう。その妻はリリアンと同じ年くらいの男で働き者だ、その子をリリアン付きにしよう」
「え、僕付きの人をご用意くださるのですか?」
驚いた。まさかここまでの展開になるとは……。ストーリーを知る俺でも思いもしなかった。
「私の妻だ。当たり前だろう。君にはなんの苦労もさせない」
「お心遣いありがとうございます」
俺は心の内を悟られないように微笑む。内心はちょっと違う……
大きな変化だった。
アニメでは、リリアンに付ける従者などいなかった。それほどに屋敷の人間にも冷遇を見せつけたのだった――ただの性処理だけの嫁だというように。
ここまでミスらずに、進めることができたらしい。いや、それ以上の成果を上げた。早くもガリアードはリリアンに惹かれている。なんなら、すでにこの社畜様に恋をしているようだった。
「リリアン、愛してる」
「……え、あっ」
まさかの、恋ではなく愛でした。
もっと重い方。いきなりここまで!? 俺凄くね? 性処理の嫁ではなく、愛される嫁にジョブチェンジいたしましたぁ! 前世で転職は叶わなかったけれど、リリアンの転職は大成功!?
「出会ったばかりのリリアンが戸惑うのはわかるが、私は君を一度王都で見かけたことがあるんだ」
「え?」
「とても可憐でそのとき、心を奪われた。そんな君がまさか私のような武骨な男に嫁いでくれるとも思っていなかった」
そんな裏設定あったの? 懐かしそうにガリアードが語る姿は穏やかだった。
「君は私のことを知らないし、王命だから逆らえず嫌々来るのだと思っていた。リリアンが第一王子と繋がっているという噂もあったんだ。だけど君は最初から私を受け入れてくれて、まっすぐとその美しさで私を頼ってくれた。恋に落ちるのは一瞬だ」
「……(マジですか?)」
心の中で、転生してからずっと瞬時に選んできた行動に安心した。
今のところ間違いは起こしていない。告白をするガリアードをじっと見ながら、心は冷静に素早く状況判断をした。これ社畜の基本、相手の顔色や言動から判断。空気読める人種は嫌われにくい。
「そんな戸惑った顔をする君も、とても愛らしい。ゆっくりでいいから、私の愛を受け取ってくれないか? 一生大事にする」
やばい、こんな重い展開!?
とりあえず殺されないために、まずはガリアードに愛されるのが計画だ。ここはラッキーと思い、リリアンから聞いたら嬉しいだろう言葉を言わなくては。そして身の潔白も。
「……嬉しいです。まさか、そんなお言葉をいただけるとは思っていなかったので、言葉に詰まってしまって申し訳ありません。僕もガリアード様に惹かれております。こんな素敵な殿方に会ったことありません。僕こそあなたの逞しいお姿に、心も瞳も奪われております」
「リリアン!」
ふふふ、嘘は言っていないぞ。
逞しい男にこの可憐なリリアン。そのカプリングを前世で見ていた身としては、凌辱ではなく普通に結ばれてほしいのだよ。親心みたいなもんだ。
「結婚前に一度、王宮に呼ばれたときに第一王子殿下とはお会いしました。それで僕との繋がりを疑われたのでしょうか? その一度だけなのでどうして噂になったのかわかりませんが、ワインバーグ公爵家は中立の立場です。息子の僕が父を陥れるような行動は取りませんので信じてくださいませんか?」
「そうだな。なぜそんな噂になるのか、むしろ第一王子の悪意を感じる」
おお、ガリアードがリリアンの言葉を聞いた!
アニメでは全く聞く耳持たなかったガリアード。結婚前はまだ穏やかだったのか。このタイミングで会話ができて良かった!
「誤解が解けて良かったです! 僕も噂で“英雄”のことを聞いていたのですが、実物はこんなにも素敵で。僕こそガリアード様に恋をしてしまいました」
「そ、そうなのか?」
ごめん、嘘です。
好きと言われたら好きと返す。これ社畜の基本ですからね。嘘も方便ってやつです。
お前は初恋なのかい? 戸惑いながらも良い笑顔をするのはやめてほしい。童貞か!? 無邪気な顔は可愛い人がすれば可愛いけど、クマのような大男は凶悪だ。仕方ないから、リリアンの控えめな笑顔でガリアードを喜ばせてあげよう。
「僕、国の英雄に嫁げるなんて夢のようでした。お会いしたらとても素敵な方で、僕の方こそガリアード様が好きです。僕たち初めて会ったのに、政略結婚なのに、相思相愛なんて幸せですね」
「リリアン!」
きつく抱きしめられた。マジできついっス。痛いし苦しい。リリアンは華奢男子だから、マジで力加減!
「く、くるしいっ」
「あっ、すまない。つい嬉しくて」
「僕も……でも恥ずかしながら脆弱な体なので、もう少し優しく抱きしめてくれたら嬉しいです。もう一度、抱きしめていただけますか? ガリアード様の温もりに包まれていたいです」
「ああ、華奢なリリアン……可愛い。これからは気をつけよう」
今度はそっと包むように抱きしめられた。よし、華奢アピール成功。これでまた凌辱という無理なプレイからは遠のいたはず。壊れやすいリリアンの演出成功だ!
リリアンはガリアードの逞しい背中に手を回し、自分からも密着した。
「ガリアード様を、お慕いしております」
これでハッピーエンドよくね?
リリアンとしての第一関門を突破しただけで、どちらにしても物語の本筋ではこれから第一王子を倒すんでしょ? 俺たちの出会いはアニメ本編へのプロローグにすぎない、一話にも満たない内容。リリアンが死ぬことで物語がスタートするんだから……
てことはだよ!? リリアンの死亡フラグはまだあるってことだよね? まだ第一王子を倒そうという計画の時期ではない。ここから戦いが始まり、ガリアードは準主役として第二王子をサポートする。見事第一王子を打ち取り第二王子が大好きな貧乏貴族女子と結婚して物語は終わる。これ鉄板だよね。アニメ本編は戦いもあるけれど、男爵令嬢のシンデレラスストーリーも見ものだった。
俺っち、戦いがあるこんな世界が怖いよぅ。まだ二十四時間戦える企業戦士をしていた方が性に合う。
「リリアン……」
「ん、んん」
戦う日本の戦士、ジャパニーズビジネスマンの頃の俺を思い出していたら、ガリアードからキスをされていた。
ああ、でも、いいかな? せっかくならガリアードとの初夜を楽しみたい。このままいくなら鬼畜な抱き方はしないだろう。日本では男とヤルなんて想像もつかなかったし、凡人だった自分が抱かれるのもアンアン言うのもなんか違う。でもリリアンがアンアン言うなら、それはありじゃね?
よし! とりあえずガリアード側は今のところ安心できる。
リリアンとガリアードの仲が悪くならなかった場合、第一王子はどうストーリーを進めていくのだろうか? それとも物語の強制力が働き、俺とガリアードは不仲になる? まだまだ気が抜けないが、明日は初の肉棒を堪能してやるぞ!
「ガリアード様、僕、明日ガリアード様と結ばれるの、恥ずかしいけど楽しみです」
「うっ、明日まで、そうだな。明日まで待たねば!」
ガリアードが悶える。よし、掴みはオッケー!
「好きです」
「リリアン!」
また濃厚なキスが始まった。いったいこのキスはいつ終わるのでしょうか?
一つ確かなこと、このままいけば明日の初夜に凌辱はされない。むしろ溺愛ルートに入った可能性さえも出てきてしまった。
そうだ、俺の目的は死なないために凌辱夫を溺愛ルートに華麗に導いてみせること。
リリアン、お前の不幸な死はもうこない。俺がお前を幸せにしやるからな!
「ガリアード様、ありがとうございました」
「夫として当然のことだ」
リリアンの濡れたお尻をガリアード自ら拭き拭きする。さらに着衣を整えられガリアードにお茶をもらった。お前はこんなにできる男だったのかい?
当然ってなんだろうか。アニメの中では、お尻拭き拭きなんてしたことない。リリアンは疲れ果てて寝落ちして、翌日お腹を壊すなんてよくあった。それに、こうやって茶を出されたこともなかった。ここまで変わるって、始まり方って大切……
「僕の潔白の証明をガリアード様自身していただけて、とても嬉しかったです」
赤く頬を染めるリリアン。
実際はリリアンほど純朴ではない俺っちだから染まらないだろうが、演技くらいできるので、恥ずかしげにでも嬉しそうに伝えるとガリアードが固まった。
「リ、リリアン。あなたを一生大事にする」
「……ガリアード様ぁ」
リリアンらしく、可愛くガリアードを見つめた。
ガリアードが近づいてきてキスをする。目を閉じてガリアードのなすがままに従うだけ。口を開けろと舌でノックしてくるから、ふぁっと軽く侵入を許すと、すぐに大きな舌が口内を自由自在に動き回る。
キス、気持ちがいい。こんな大きな男にされているのに、拒絶反応がない。むしろリリアンの体は喜んでいるくらいだ。
元のリリアンは、政略結婚相手ガリアードのことを怖がっていた。実際に会うと本当に怖かったみたい。それもそのはず、アニメのガリアードはいつも怒っているし、無理やりリリアンを抱いていたから。
だが今回のガリアードは最初から優しい。
リリアンは政略結婚なりに、公爵家次男として心を決めてここに来たはずだ。もし、あのアニメでも初めからガリアードが今みたいに優しかったら? リリアンなら受け入れてむしろ愛を返しただろう。
その証拠にこの体は愛情を与えてもらって、一つの拒絶もない。むしろ、もっとキスを続けたい。
これはリリアンの体が、心がそう言っているのか、はたまた俺という社畜がただ快楽に弱くてそう思っているのかは謎だが、これなら生き残れそうだと強く思えた。
「リリアン。そんな蕩けた顔したら、やめられないぞ。君が愛おしい」
「僕も……です。リリアンの初めての口づけ、ガリアード様で嬉しいです。こんな優しい旦那様に嫁げて、僕はとても幸せです」
「リリアン!」
ガリアードはその後しつこくリリアンの口内を堪能したが、キスが終わると俺は本題に入った。
「あっ、ところで先ほどの潤滑剤? せっかく僕のために王宮のお医者様がお持ちくださったのに、使うことができなくて申し訳ないです。未使用ですからこの邸宅にお勤めの方でご結婚をされている方に差し上げたらいかがでしょうか? 王家ご用達の品ならきっと素晴らしいと思うので」
わざとらしくなく、モノを大切にするリリアン演出。さらには使用人にも優しいリリアンを演じた。
裏にある理由を、今のガリアードがまだ知る由もないので、彼は微笑み同意する。
「ああ、そうだな。リリアンは優しい子だ。最近結婚したのが騎士に一人いたから、そいつに渡そう。その妻はリリアンと同じ年くらいの男で働き者だ、その子をリリアン付きにしよう」
「え、僕付きの人をご用意くださるのですか?」
驚いた。まさかここまでの展開になるとは……。ストーリーを知る俺でも思いもしなかった。
「私の妻だ。当たり前だろう。君にはなんの苦労もさせない」
「お心遣いありがとうございます」
俺は心の内を悟られないように微笑む。内心はちょっと違う……
大きな変化だった。
アニメでは、リリアンに付ける従者などいなかった。それほどに屋敷の人間にも冷遇を見せつけたのだった――ただの性処理だけの嫁だというように。
ここまでミスらずに、進めることができたらしい。いや、それ以上の成果を上げた。早くもガリアードはリリアンに惹かれている。なんなら、すでにこの社畜様に恋をしているようだった。
「リリアン、愛してる」
「……え、あっ」
まさかの、恋ではなく愛でした。
もっと重い方。いきなりここまで!? 俺凄くね? 性処理の嫁ではなく、愛される嫁にジョブチェンジいたしましたぁ! 前世で転職は叶わなかったけれど、リリアンの転職は大成功!?
「出会ったばかりのリリアンが戸惑うのはわかるが、私は君を一度王都で見かけたことがあるんだ」
「え?」
「とても可憐でそのとき、心を奪われた。そんな君がまさか私のような武骨な男に嫁いでくれるとも思っていなかった」
そんな裏設定あったの? 懐かしそうにガリアードが語る姿は穏やかだった。
「君は私のことを知らないし、王命だから逆らえず嫌々来るのだと思っていた。リリアンが第一王子と繋がっているという噂もあったんだ。だけど君は最初から私を受け入れてくれて、まっすぐとその美しさで私を頼ってくれた。恋に落ちるのは一瞬だ」
「……(マジですか?)」
心の中で、転生してからずっと瞬時に選んできた行動に安心した。
今のところ間違いは起こしていない。告白をするガリアードをじっと見ながら、心は冷静に素早く状況判断をした。これ社畜の基本、相手の顔色や言動から判断。空気読める人種は嫌われにくい。
「そんな戸惑った顔をする君も、とても愛らしい。ゆっくりでいいから、私の愛を受け取ってくれないか? 一生大事にする」
やばい、こんな重い展開!?
とりあえず殺されないために、まずはガリアードに愛されるのが計画だ。ここはラッキーと思い、リリアンから聞いたら嬉しいだろう言葉を言わなくては。そして身の潔白も。
「……嬉しいです。まさか、そんなお言葉をいただけるとは思っていなかったので、言葉に詰まってしまって申し訳ありません。僕もガリアード様に惹かれております。こんな素敵な殿方に会ったことありません。僕こそあなたの逞しいお姿に、心も瞳も奪われております」
「リリアン!」
ふふふ、嘘は言っていないぞ。
逞しい男にこの可憐なリリアン。そのカプリングを前世で見ていた身としては、凌辱ではなく普通に結ばれてほしいのだよ。親心みたいなもんだ。
「結婚前に一度、王宮に呼ばれたときに第一王子殿下とはお会いしました。それで僕との繋がりを疑われたのでしょうか? その一度だけなのでどうして噂になったのかわかりませんが、ワインバーグ公爵家は中立の立場です。息子の僕が父を陥れるような行動は取りませんので信じてくださいませんか?」
「そうだな。なぜそんな噂になるのか、むしろ第一王子の悪意を感じる」
おお、ガリアードがリリアンの言葉を聞いた!
アニメでは全く聞く耳持たなかったガリアード。結婚前はまだ穏やかだったのか。このタイミングで会話ができて良かった!
「誤解が解けて良かったです! 僕も噂で“英雄”のことを聞いていたのですが、実物はこんなにも素敵で。僕こそガリアード様に恋をしてしまいました」
「そ、そうなのか?」
ごめん、嘘です。
好きと言われたら好きと返す。これ社畜の基本ですからね。嘘も方便ってやつです。
お前は初恋なのかい? 戸惑いながらも良い笑顔をするのはやめてほしい。童貞か!? 無邪気な顔は可愛い人がすれば可愛いけど、クマのような大男は凶悪だ。仕方ないから、リリアンの控えめな笑顔でガリアードを喜ばせてあげよう。
「僕、国の英雄に嫁げるなんて夢のようでした。お会いしたらとても素敵な方で、僕の方こそガリアード様が好きです。僕たち初めて会ったのに、政略結婚なのに、相思相愛なんて幸せですね」
「リリアン!」
きつく抱きしめられた。マジできついっス。痛いし苦しい。リリアンは華奢男子だから、マジで力加減!
「く、くるしいっ」
「あっ、すまない。つい嬉しくて」
「僕も……でも恥ずかしながら脆弱な体なので、もう少し優しく抱きしめてくれたら嬉しいです。もう一度、抱きしめていただけますか? ガリアード様の温もりに包まれていたいです」
「ああ、華奢なリリアン……可愛い。これからは気をつけよう」
今度はそっと包むように抱きしめられた。よし、華奢アピール成功。これでまた凌辱という無理なプレイからは遠のいたはず。壊れやすいリリアンの演出成功だ!
リリアンはガリアードの逞しい背中に手を回し、自分からも密着した。
「ガリアード様を、お慕いしております」
これでハッピーエンドよくね?
リリアンとしての第一関門を突破しただけで、どちらにしても物語の本筋ではこれから第一王子を倒すんでしょ? 俺たちの出会いはアニメ本編へのプロローグにすぎない、一話にも満たない内容。リリアンが死ぬことで物語がスタートするんだから……
てことはだよ!? リリアンの死亡フラグはまだあるってことだよね? まだ第一王子を倒そうという計画の時期ではない。ここから戦いが始まり、ガリアードは準主役として第二王子をサポートする。見事第一王子を打ち取り第二王子が大好きな貧乏貴族女子と結婚して物語は終わる。これ鉄板だよね。アニメ本編は戦いもあるけれど、男爵令嬢のシンデレラスストーリーも見ものだった。
俺っち、戦いがあるこんな世界が怖いよぅ。まだ二十四時間戦える企業戦士をしていた方が性に合う。
「リリアン……」
「ん、んん」
戦う日本の戦士、ジャパニーズビジネスマンの頃の俺を思い出していたら、ガリアードからキスをされていた。
ああ、でも、いいかな? せっかくならガリアードとの初夜を楽しみたい。このままいくなら鬼畜な抱き方はしないだろう。日本では男とヤルなんて想像もつかなかったし、凡人だった自分が抱かれるのもアンアン言うのもなんか違う。でもリリアンがアンアン言うなら、それはありじゃね?
よし! とりあえずガリアード側は今のところ安心できる。
リリアンとガリアードの仲が悪くならなかった場合、第一王子はどうストーリーを進めていくのだろうか? それとも物語の強制力が働き、俺とガリアードは不仲になる? まだまだ気が抜けないが、明日は初の肉棒を堪能してやるぞ!
「ガリアード様、僕、明日ガリアード様と結ばれるの、恥ずかしいけど楽しみです」
「うっ、明日まで、そうだな。明日まで待たねば!」
ガリアードが悶える。よし、掴みはオッケー!
「好きです」
「リリアン!」
また濃厚なキスが始まった。いったいこのキスはいつ終わるのでしょうか?
一つ確かなこと、このままいけば明日の初夜に凌辱はされない。むしろ溺愛ルートに入った可能性さえも出てきてしまった。
そうだ、俺の目的は死なないために凌辱夫を溺愛ルートに華麗に導いてみせること。
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