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第三章 ファースト凌辱
21 ヤリたい
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朝食が済むと、初夜の続きする!? と少しだけ期待する俺だったが、そんなことはなく、使用人たちが出入りしてきて普通に身支度が始まった。
えっ、初夜ってホントにその日で終わりなの? なんかこうさ、新婚期間は一週間くらいヤリっぱなし期間の特別休暇とか、そういう世界観じゃないの? 異世界ってだいたいそうでしょ? 俺はまだ覚えたての熱い体を持て余している。
食事を食べるだけなのに、男らしくセクシーな男の中の男を見ていたらしたくもなる。えっ、ならない? もしやガリアードは凌辱しないと燃えないタイプ?
転生前の俺は、エッチなことが結構好きだった。だから久しぶりに性癖を刺激されて、念願の後ろ初体験もできて、それがまた最高に良かったからまだヤリたい。だって一回で失神しちゃうって凄くない? 今度はじっくり味わいたい。
昨夜は凌辱朗読からの初夜だったから、ガリアードの性癖が刺激されてできただけ? だから一回だけなの? やーだーよー。ヤリたい、ヤリたい、ヤリたいよぉ。
「リリアン様もヤリたいですよね?」
「ヤリたい!」
シーン。
ここにいる皆がいきなり大声で返事をした俺のことを見て、固まっていた。
今はガリアードと俺の着替えを、騎士のヤンとその妻リックが手伝っている。リックは、昨夜の面白展開に自分だけ参加できないなんてズルいと言い、朝から初夜後の着替えの手伝いに参加してくれたのだった。ということで、ヤンはそのお供で朝からガリアードの部屋に来ていた。騎士に着替えを手伝わせるってそれこそ戦場じゃないんだし、おかしいよね。
それにしてもリックはあのジェルの後遺症大丈夫なのかな? 後遺症よりも、面白展開参加を選ぶって……
さすがにガリアードとの愛の跡が残った俺の体を、女性に見せるのは嫌だとガリアードが言ったので、ジュリではなくてそういうことに慣れているリックが呼ばれたわけだ。
仮にも仕える相手に慣れているって知られているリックって、どんだけオープンなのぉ!? 自らパンパン音を提供してくれるくらいだから、リックも好きなんだね。俺たち気が合うかもしれない。
そんなリックに誘導された、俺のヤリたい発言に場が静まった。
「リリアン」
「は、はい。申し訳ございません!」
可憐なリリアンが朝から初夜の続きをしたいなんて、さすがに強請ったらいけなかった。
ヤッチマタァー。
大声で「ヤリたい」宣言してしまったぞ。ガリアードが真面目な顔でこちらを見る、怒られる?
「いや、そんなに乗り気になるとは思っていなかったから、驚いただけだ」
「驚かせてすいません。もう僕、出しゃばらないので捨てないでください」
ちょっと涙目になった。
ガッタイ前には処女認定をもらったけど、ビッチだと疑われるようなことを言ってしまった。これが凌辱に繋がって、捨てられて、暗殺されるのは第一王子ではなく俺になるとか、怖い未来が浮かんできてしまった。ガリアードと結ばれたからって、まだ気を緩めてはいけない。リリアンの死亡フラグは完璧になくなったわけじゃない。
現状は凌辱されていないだけで、アニメ本編通りに進んでいるなら……第二王子が第一王子を倒す大筋が変わらないかもしれない。その裏で密かに命を落とすリリアンだって、まだ可能性がなくなったわけじゃない。そうだ、俺の未来はまだ確実じゃない! 第一王子を倒すために誰かが犠牲になるストーリーのままなら、リリアンでしかないと思った。
「リリアン! なぜそんな話になる? どうした? 私が嫌になったのか?」
「ふへ?」
「泣きそうじゃないか、大丈夫だ。ヤルのは強制じゃない。リック、リリアンに変なことを聞くな」
「え?」
いったい何のこと?
「だって、第一王子って評判悪いじゃないですか! そんなやつを陥れられるなら、早くしたい! それにあんな下品なジェルを持ってきた医者も同様に、ぎゃふんと言わせてヤリたい! リリアン様もそう思いますよね? ヤリたいですよね!?」
「え? うん」
ヤリたい、ヤリたい、陥れたい、それを、ヤリたい……それだったのね。リックはやる気に満ち溢れた顔で力説してきた。エロ方面に捕らえた不埒な俺を許してくれ。
リックは無邪気に続ける。
「ほら、だからまたあの朗読会の再現をしましょうよぉ! リリアン様もヤリたいって言ったからいいじゃないですかぁ、俺も一緒に楽しみたかったぁー」
「朗読会?」
「そうですよ、今度はうちの旦那も一緒にリリアン様を凌辱して、俺も飛び入り参加の乱交パーティー風にしたら、第一王子も喜んでくれますって」
俺、ヤンにも凌辱されちゃうの!? それは凄い展開に……想像しただけで、吐き気がしてきた。ガリアード以外の男に抱かれる未来は考えられない。
昨夜初めて抱かれたけど、それが誰でもいいわけじゃなかったのだと今確信した。他の男からなんて想像しただけで気持ちが悪い。なら、どうしてガリアードはいいのだろうか……
俺の青くなった顔を見て、リックが慌てて否定する。
「あっ、もちろん声だけですよ?」
「えっ、あ、うん」
それにしても、朗読会をヤリたい……ヤリたいって言葉は難しいな。脳内が今はピンク一色だから難しすぎる。ヤリたいっていろんな使い方ができるらしい、社畜メモにいれておこう。
「リリアン、大丈夫か? 私がお前を他の男になど許すはずがないんだ。リック、無垢なリリアン相手に言葉がすぎる」
「ごめんなさい」
ガリアードの言葉にリックがすぐに謝った。俺の顔色をガリアードはよく見ている。心配して俺の手を握ってきた。
「あ、だい、大丈夫です。すいません。過剰に反応してしまって。僕も未来永劫、あなただけに抱かれていたいって、そう思ってます」
「リリアン」
俺はリックに向き合う。ただの遊びとして話した言葉に過剰反応する恐妻だと使用人に思われてしまうのは、この先のオスニアン家での俺の評判を落とすことになる。すなわち断罪に近づいてしまいかねない。なるべく身近な人は味方につけたい。
「リック、ただの朗読劇の話なのに変に考えてしまってごめんなさい。僕、たとえ想像でもガリアード様以外の人を考えたら怖くなって……でも必要なら、僕は夫を裏切らない行為ならなんでも協力はするから」
「あ、いえ。俺もはしゃぎすぎてしまってごめんなさい。リリアン様がガリアード様だけを深く愛していることを知れて、むしろご馳走様です」
リックは俺のことを過剰な公爵令息と思ってないなら助かるが、ご馳走様とはいったい……
それにしてもここの使用人たち、よくもまぁ次々いやらしいことを考えられるな。さすが十八禁バージョンの相手役のいる家だけある。そしてその家の家令だからこそ、あのシナリオを作れたのだろう。
発想がなんというか、うん。
俺はぼうっとしていると、ガリアードには先ほどの言葉が響いたのか、俺のことを抱きしめてきた。俺に愛されているって人から指摘されるのはいいことだ。夫がどんどん優しくなる。ガリアードがまんざらでもなさそうな表情を見せて、リックに向き合った。
「リック、そもそもだ。そんな破廉恥なことを公爵家の人間がしたと知れたら、ワインバーグ公爵家のことを第一王子が不審に思うだろう。我が家共々リリアンの実家にまで迷惑がかかる」
「でも、それを知るのは第一王子だけですよね?」
「だからと言って、リリアンにそんな卑猥な文章を読ませるなど……」
そうだね、さすがに乱交はちょっと……
どうして俺はノリノリでヤリたい発言をしてしまったのだろう。ガリアードとヤリたい、抱かれたい、そればかりが脳内に埋め尽くされる。
俺のエロゲージが最上級に上がっていた朝だった。さてさてそろそろ溺愛ルートへ軌道修正しますか。
「ガリアード様、僕はもうワインバーグ公爵家の人間ではありません」
「え?」
「お忘れですか? 僕はあなたの妻になりました。僕はもうオスニアンの人間です」
「ふふ、リリアンは真顔で嬉しいことを言ってくれるな。そうだ、もうリリアンは私の妻だ、辺境伯夫人だったな。リリアンの名前に傷がつくならそれは私に傷がつくのと同じ。運命共同体だ」
「へへ、僕の運命もガリアード様次第です」
俺は冴えている。
瞬時にこの場を理解して脳を切り替え、ガリアードを喜ばせる。これが俺の生き残る最善の方法。そうだよ、ガリアードさえ怒らなければ俺はきっと生き長らえる。このくだり、転生してから何回も俺の中で葛藤している。しつこいかもしれないけど、もう安心って思ったらやっぱりまだダメ、その繰り返し。
不安になるたびに、ガリアードをヨイショして俺を認めてもらう。ああ、早く安心して心から大丈夫って言いきれる状況がほしい。
それにはやはり第一王子を排斥に導くしかない。だったら乱交パーティーだろうが、淫乱ナイトだろうが、どーんとコイヤぁ!
そこで、コンコンっとドアをノックする音が室内に響く。
「入れ」
ガリアードの低くて男前の声で、「入れ」それだけで俺の後ろがキュンってきちゃう。入れ、はいれ、挿入ってきてほしい。俺の後ろが朝からキュンキュンして仕方ない。
ああああー、どうした俺!? さっきから頭がおかしいぞ。
「ガリアード様、奥様、おはようございます」
「ああ、リチャード、朝から部屋に来るなんて珍しいな、どうした?」
渋いオジサマの家令こと、リチャードが入ってきた。
きっちりと服を着こなした姿には乱れ一つない。背の高い白髪と眼鏡の渋オジ。こんなオジサマがあの卑猥なシナリオを作ったご本人。この人は仕事ができる男って感じだから、実はガリアードの凌辱という本質まで見抜いていたんじゃないのか? 俺は恐ろしくなった。
「それが……第二王子殿下がいらしております」
「なんだと!? 殿下が? はぁ、仕事が早いというかなんというか、こんな日に来なくても」
ええ!? 第二王子? それはガリアードの親友と言われている物語の主人公ですか! あっ十八禁アニメの主人公は俺とガリアードで、本編の主人公が第二王子。
でもさ、結婚初日の朝に来る?
ああ、俺の新婚生活はいきなり現実と向き合うこととなった。どうして第二王子が? っていうか王都を離れていいの? 先ぶれもなく来ていいの?
どういうことぉぉぉー。
仕事が早いって何? 旦那様ぁ。この国の第二王子になんか仕事頼んだんですかぁ!?
えっ、初夜ってホントにその日で終わりなの? なんかこうさ、新婚期間は一週間くらいヤリっぱなし期間の特別休暇とか、そういう世界観じゃないの? 異世界ってだいたいそうでしょ? 俺はまだ覚えたての熱い体を持て余している。
食事を食べるだけなのに、男らしくセクシーな男の中の男を見ていたらしたくもなる。えっ、ならない? もしやガリアードは凌辱しないと燃えないタイプ?
転生前の俺は、エッチなことが結構好きだった。だから久しぶりに性癖を刺激されて、念願の後ろ初体験もできて、それがまた最高に良かったからまだヤリたい。だって一回で失神しちゃうって凄くない? 今度はじっくり味わいたい。
昨夜は凌辱朗読からの初夜だったから、ガリアードの性癖が刺激されてできただけ? だから一回だけなの? やーだーよー。ヤリたい、ヤリたい、ヤリたいよぉ。
「リリアン様もヤリたいですよね?」
「ヤリたい!」
シーン。
ここにいる皆がいきなり大声で返事をした俺のことを見て、固まっていた。
今はガリアードと俺の着替えを、騎士のヤンとその妻リックが手伝っている。リックは、昨夜の面白展開に自分だけ参加できないなんてズルいと言い、朝から初夜後の着替えの手伝いに参加してくれたのだった。ということで、ヤンはそのお供で朝からガリアードの部屋に来ていた。騎士に着替えを手伝わせるってそれこそ戦場じゃないんだし、おかしいよね。
それにしてもリックはあのジェルの後遺症大丈夫なのかな? 後遺症よりも、面白展開参加を選ぶって……
さすがにガリアードとの愛の跡が残った俺の体を、女性に見せるのは嫌だとガリアードが言ったので、ジュリではなくてそういうことに慣れているリックが呼ばれたわけだ。
仮にも仕える相手に慣れているって知られているリックって、どんだけオープンなのぉ!? 自らパンパン音を提供してくれるくらいだから、リックも好きなんだね。俺たち気が合うかもしれない。
そんなリックに誘導された、俺のヤリたい発言に場が静まった。
「リリアン」
「は、はい。申し訳ございません!」
可憐なリリアンが朝から初夜の続きをしたいなんて、さすがに強請ったらいけなかった。
ヤッチマタァー。
大声で「ヤリたい」宣言してしまったぞ。ガリアードが真面目な顔でこちらを見る、怒られる?
「いや、そんなに乗り気になるとは思っていなかったから、驚いただけだ」
「驚かせてすいません。もう僕、出しゃばらないので捨てないでください」
ちょっと涙目になった。
ガッタイ前には処女認定をもらったけど、ビッチだと疑われるようなことを言ってしまった。これが凌辱に繋がって、捨てられて、暗殺されるのは第一王子ではなく俺になるとか、怖い未来が浮かんできてしまった。ガリアードと結ばれたからって、まだ気を緩めてはいけない。リリアンの死亡フラグは完璧になくなったわけじゃない。
現状は凌辱されていないだけで、アニメ本編通りに進んでいるなら……第二王子が第一王子を倒す大筋が変わらないかもしれない。その裏で密かに命を落とすリリアンだって、まだ可能性がなくなったわけじゃない。そうだ、俺の未来はまだ確実じゃない! 第一王子を倒すために誰かが犠牲になるストーリーのままなら、リリアンでしかないと思った。
「リリアン! なぜそんな話になる? どうした? 私が嫌になったのか?」
「ふへ?」
「泣きそうじゃないか、大丈夫だ。ヤルのは強制じゃない。リック、リリアンに変なことを聞くな」
「え?」
いったい何のこと?
「だって、第一王子って評判悪いじゃないですか! そんなやつを陥れられるなら、早くしたい! それにあんな下品なジェルを持ってきた医者も同様に、ぎゃふんと言わせてヤリたい! リリアン様もそう思いますよね? ヤリたいですよね!?」
「え? うん」
ヤリたい、ヤリたい、陥れたい、それを、ヤリたい……それだったのね。リックはやる気に満ち溢れた顔で力説してきた。エロ方面に捕らえた不埒な俺を許してくれ。
リックは無邪気に続ける。
「ほら、だからまたあの朗読会の再現をしましょうよぉ! リリアン様もヤリたいって言ったからいいじゃないですかぁ、俺も一緒に楽しみたかったぁー」
「朗読会?」
「そうですよ、今度はうちの旦那も一緒にリリアン様を凌辱して、俺も飛び入り参加の乱交パーティー風にしたら、第一王子も喜んでくれますって」
俺、ヤンにも凌辱されちゃうの!? それは凄い展開に……想像しただけで、吐き気がしてきた。ガリアード以外の男に抱かれる未来は考えられない。
昨夜初めて抱かれたけど、それが誰でもいいわけじゃなかったのだと今確信した。他の男からなんて想像しただけで気持ちが悪い。なら、どうしてガリアードはいいのだろうか……
俺の青くなった顔を見て、リックが慌てて否定する。
「あっ、もちろん声だけですよ?」
「えっ、あ、うん」
それにしても、朗読会をヤリたい……ヤリたいって言葉は難しいな。脳内が今はピンク一色だから難しすぎる。ヤリたいっていろんな使い方ができるらしい、社畜メモにいれておこう。
「リリアン、大丈夫か? 私がお前を他の男になど許すはずがないんだ。リック、無垢なリリアン相手に言葉がすぎる」
「ごめんなさい」
ガリアードの言葉にリックがすぐに謝った。俺の顔色をガリアードはよく見ている。心配して俺の手を握ってきた。
「あ、だい、大丈夫です。すいません。過剰に反応してしまって。僕も未来永劫、あなただけに抱かれていたいって、そう思ってます」
「リリアン」
俺はリックに向き合う。ただの遊びとして話した言葉に過剰反応する恐妻だと使用人に思われてしまうのは、この先のオスニアン家での俺の評判を落とすことになる。すなわち断罪に近づいてしまいかねない。なるべく身近な人は味方につけたい。
「リック、ただの朗読劇の話なのに変に考えてしまってごめんなさい。僕、たとえ想像でもガリアード様以外の人を考えたら怖くなって……でも必要なら、僕は夫を裏切らない行為ならなんでも協力はするから」
「あ、いえ。俺もはしゃぎすぎてしまってごめんなさい。リリアン様がガリアード様だけを深く愛していることを知れて、むしろご馳走様です」
リックは俺のことを過剰な公爵令息と思ってないなら助かるが、ご馳走様とはいったい……
それにしてもここの使用人たち、よくもまぁ次々いやらしいことを考えられるな。さすが十八禁バージョンの相手役のいる家だけある。そしてその家の家令だからこそ、あのシナリオを作れたのだろう。
発想がなんというか、うん。
俺はぼうっとしていると、ガリアードには先ほどの言葉が響いたのか、俺のことを抱きしめてきた。俺に愛されているって人から指摘されるのはいいことだ。夫がどんどん優しくなる。ガリアードがまんざらでもなさそうな表情を見せて、リックに向き合った。
「リック、そもそもだ。そんな破廉恥なことを公爵家の人間がしたと知れたら、ワインバーグ公爵家のことを第一王子が不審に思うだろう。我が家共々リリアンの実家にまで迷惑がかかる」
「でも、それを知るのは第一王子だけですよね?」
「だからと言って、リリアンにそんな卑猥な文章を読ませるなど……」
そうだね、さすがに乱交はちょっと……
どうして俺はノリノリでヤリたい発言をしてしまったのだろう。ガリアードとヤリたい、抱かれたい、そればかりが脳内に埋め尽くされる。
俺のエロゲージが最上級に上がっていた朝だった。さてさてそろそろ溺愛ルートへ軌道修正しますか。
「ガリアード様、僕はもうワインバーグ公爵家の人間ではありません」
「え?」
「お忘れですか? 僕はあなたの妻になりました。僕はもうオスニアンの人間です」
「ふふ、リリアンは真顔で嬉しいことを言ってくれるな。そうだ、もうリリアンは私の妻だ、辺境伯夫人だったな。リリアンの名前に傷がつくならそれは私に傷がつくのと同じ。運命共同体だ」
「へへ、僕の運命もガリアード様次第です」
俺は冴えている。
瞬時にこの場を理解して脳を切り替え、ガリアードを喜ばせる。これが俺の生き残る最善の方法。そうだよ、ガリアードさえ怒らなければ俺はきっと生き長らえる。このくだり、転生してから何回も俺の中で葛藤している。しつこいかもしれないけど、もう安心って思ったらやっぱりまだダメ、その繰り返し。
不安になるたびに、ガリアードをヨイショして俺を認めてもらう。ああ、早く安心して心から大丈夫って言いきれる状況がほしい。
それにはやはり第一王子を排斥に導くしかない。だったら乱交パーティーだろうが、淫乱ナイトだろうが、どーんとコイヤぁ!
そこで、コンコンっとドアをノックする音が室内に響く。
「入れ」
ガリアードの低くて男前の声で、「入れ」それだけで俺の後ろがキュンってきちゃう。入れ、はいれ、挿入ってきてほしい。俺の後ろが朝からキュンキュンして仕方ない。
ああああー、どうした俺!? さっきから頭がおかしいぞ。
「ガリアード様、奥様、おはようございます」
「ああ、リチャード、朝から部屋に来るなんて珍しいな、どうした?」
渋いオジサマの家令こと、リチャードが入ってきた。
きっちりと服を着こなした姿には乱れ一つない。背の高い白髪と眼鏡の渋オジ。こんなオジサマがあの卑猥なシナリオを作ったご本人。この人は仕事ができる男って感じだから、実はガリアードの凌辱という本質まで見抜いていたんじゃないのか? 俺は恐ろしくなった。
「それが……第二王子殿下がいらしております」
「なんだと!? 殿下が? はぁ、仕事が早いというかなんというか、こんな日に来なくても」
ええ!? 第二王子? それはガリアードの親友と言われている物語の主人公ですか! あっ十八禁アニメの主人公は俺とガリアードで、本編の主人公が第二王子。
でもさ、結婚初日の朝に来る?
ああ、俺の新婚生活はいきなり現実と向き合うこととなった。どうして第二王子が? っていうか王都を離れていいの? 先ぶれもなく来ていいの?
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