凌辱夫を溺愛ルートに導く方法

riiko

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第四章 アニメ本編主役登場

23 転生者?

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 貴族が人身売買をしているという情報を入手し.たサリファスは、秘密裏に捜査をしていた。
 そのとき、同じようにそれを阻止しようとしていた姉弟に出会う。その女性こそ、後にサリファスと結婚することになるヒロインだ。
 その女性は自分の弟が毒親に売られそうになったところを、売られる前に二人でその販売元を突き止めて、悪の組織を潰してやろうということになったらしい。さすがヒロイン、逞しい。
 姉弟の二人で貴族の屋敷に潜入した。そこで潜入捜査をしていたサリファスと出会い、見事壊滅! ここアニメで相当盛り上がるところだけど、俺氏の話には関係ないし、サリファスもガリアードに話す内容を端折っていたから、詳細は飛ばしまーす!
 ヒロインの弟は王子の護衛騎士と恋に落ちて、そちらもゴールイン。そこで人身売買は第一王子派の貴族が率先して行っていたという情報を得た。これを使って第一王子を陥れることができるとガリアードに言いにきたところだった。
 初夜翌日に……わざわざ報告に来る必要ある? 空気読もうね、王子。
「じゃあ、殿下の恋人の弟さんは、売られずに今はその騎士様と一緒になれたのですか?」
「ああ、そうだ。って、今の話で聞くところそこか? まぁ、あいつはとても可愛い子だぞ。リリアンが花ならあの子は野草やそうかな。純朴な男の子だ。あれは売られていたらただじゃすまなかっただろう。助けられて良かった」
「それは……良かったです」
 サリファスは誇らしげに話しているが、俺は腑に落ちなかった。
 おかしい、おかしいぞ。野草って言葉もおかしい、褒めているの? けなしているの? それはさておき。
 すっかり忘れていたくらいどうでもいい情報だったが、本気で今思い出した。
 俺の情報なら、その弟は本編が始まる前に売られて死んでいた。
 姉は後妻として親に売られるのが決まっていたから、だったらその前に全ての復讐を済ませて身を投げようと誓った。組織を潰してやると弟の復讐に燃えて一人で捜査をする中、二人は出会い、サリファスはやんちゃなヒロインに恋をする。「第二王子と出会うきっかけとしての死」が、その弟の役割であり、アニメでの扱いがリリアンと同じだった。
 姉を奮い立たせるためだけに本編にも出てこない弟だったはず。それが王子の護衛騎士と恋仲に?
 リリアンと同じ要因……復讐心を燃え上がらせるためだけに死ぬモブ、それがヒロインの弟。
 俺が黙っていると、サリファスが話を続ける。
「彼女の家は親がとても最悪で、そこから二人を救い出した。彼女とはすべてが片付いたら結婚する。弟もその家から抜けさせて俺の護衛騎士の家に入れた。今ちょうどあの子は結婚準備中で、凄いラブラブだぞ」
「……それは、素敵ですね」
 どういうことだ? 生きている。そしてそこでもBLが始まっているのか?
 もしや、もしや、その弟も転生者!? 生き残るために頑張った同志がそこにいるのではないか!? リリアンより凄いじゃないか!
 本編にも登場しない思い出の弟というモブ中のモブに転生!? めちゃくちゃ情報がない中、頑張った男がいるんだ! すげぇ! 俺は興奮してガリアードの手を思わずぎゅっと握っていた。
「リリアン? 怖い話だったな。リリアンの知らない世界では人身売買がある。だからリリアンは私の側を離れてはいけないよ。野草でそういう目に合うなら、花であるリリアンは、あっという間に散らされてしまう」
「……」
 その花を散らしたのは、あなたでしたけどね。
 俺は、こんなセリフを言える元凌辱夫を見てちょっとフリーズした。
「可愛いリリアン。声も出ないくらい怯えてしまうなんて。殿下、リリアンは純粋培養です。あまり市井の話を聞かせないでいただきたい」
 ガリアードがサリファスにオコだ。俺は慌ててガリアードの手を取って伝える。
「ガリアード様、ごめんなさい。大丈夫です。僕の知らない世界のことを聞いて驚いただけで。僕は幸せですね。怖い思いもせずに、こんな素敵な旦那様のところに嫁いでこられるなんて、ガリアード様、好きです」
「リリアン、私もあなたを愛している」
 愛を伝えるのは面倒くさいけれど、必要な言葉をかけて相手を喜ばせることをいつでも忘れない。
 ガリアードがキスをしてきた。それを俺も受け取る。
 そうだよ、俺はリリアンの物語を頑張らなくては、その子も必死に死亡フラグを回避して騎士と結ばれたんだ。俺だって、この屈強な男ともっとエッチなことをして、体をもっと満たしたい! 死亡フラグを完璧に拭い去りたい!
 俺は人がいることを一瞬忘れて、ガリアードの温もりを堪能していた。すると呆れた低い声が聞こえてくる。
「ごほんっ、お前ら不敬だな、俺の前でイチャコラしやがって。二人が相思相愛なのはわかったから、もうその辺にしておけ。リリアン慣れてないんだろ、息きれてるぞ。ははっ、マジでガリアード誰って感じだ。おもしれぇな! 屈強な男がこんな甘ちゃんになるなんて、王都でそんな姿見せたら、ドン引きされるぞ」
 他人の前でキスして、なんなら息切れするくらいガリアードを堪能した。はっずかしー。水に濡れる俺の唇を、ガリアードは逞しい指で拭う。サリファスを見ずに俺の瞳を見て口を開く。
「誰にどう思われようと関係ありません。ああ、リリアン、そんな赤い顔して息まで切らせて。可愛いな、クソっ。殿下はもうお帰りください。私たちはまだ一度しか契りを交わしていないのですから、あなたが邪魔さえしなければ今頃リリアンともっと――」
「ガリアード様!」
 俺は彼の言葉を遮った。
 さすがに恥ずかしい。契りを一度交わしたって人前で言葉にされたら恥ずかしい。誰もが新婚で初夜を迎えたことなど知っているだろうけど、言葉で言われると恥ずかしい。 
 キスシーンも見られた、恥ずかしい。恥ずかしいしか出てこない!
 でもガリアード良いこと言う。サリファスさえ現れなければ、まだ続きをしてくれた可能性もあった? もぅ不安にさせるなよ。ヤリたいんじゃないか、俺と同じだな! やっぱりお前は俺と同じ社畜仲間同志認定だ!
「まあ待てよ、二人が熱いのはわかった。もう退散するから、とにかく兄上を王家から追放するくらいの材料にはまだ足りない。だからお前のその情報が今度は頼りだ! ワインバーグ公爵がこっちの味方になってくれるかもしれないんだろ?」
「そうですね。リリアンの父君は、リリアンの純粋さを利用した第一王子を許せないとご立腹でした。溺愛する息子が陥れられそうになったのですから、必ずや報復すると言っております――殿下に協力するとも」
「ありがてぇな。公爵は何考えているかわからなかったが、息子を溺愛しているのは有名だからな。兄上はそこを使ったのか、相変わらず思考がゲスいわ」
 ガリアードはガリアードで、リリアンが第一王子から手鏡を渡されたとサリファスに事前に伝えていた。王家の秘宝かもしれないとワインバーグ公爵が懸念したこと、リリアンが純粋ゆえに内容も知らずオスニアン家へ持ち込むことになった経緯を話していた。
 どうして昨日のことをすぐにサリファスが知っているかというと、この世界、通信の魔道具があるからだ。ここ便利なところ。ただ魔道具は相当高いものなので、上位貴族でも持っている人はそんなにいない。だけどサリファスはガリアードをめちゃ気に入っているので、俺といつでも話せる的な意味で渡されたらしい。
 あんまり俺の前で、ガリアードといちゃつかないでほしい。
 とにかく、サリファスはガリアード大好きすぎて、俺のことを純粋ぶったビッチじゃないかって疑っていたみたい。武骨な親友が“王国の花”と呼ばれる魔性に惑わされているなら見てられないって、新婚中しかも結婚翌日のラブラブタイムにお邪魔しにきたわけだった。
 ガリアードを想ってくれるいい人っていうのはわかったけど、邪魔ですから!
 さて、物語が大きく変わった。
 アニメでは第二王子とリリアンが会うことはなかった。それがこうやって対面している。ガリアードが父に言われたことをすぐにサリファスに知らせて、翌日にはこうやって行動に起こした。
 サリファスはなんとしても兄を倒したい。そこはアニメ本編と変わらない。それが早く叶うなら、すぐにでも決着をつけたいようだった。もしかしたら、この話はすぐに終わって、俺は優雅な辺境伯夫人として侍女と「きゃっきゃうふふ」しながらお茶を飲み放題の優雅な生活が始まるんじゃないのか!? そこにリックという男の子も加わり、男根について語る腐生活だってそう遠い夢じゃなくなった。
 おお、さらっと新たな夢発見! 社畜は社会適応性に優れた生き物なので、すぐに職場で自分が打ち込める分野を探せるんです。適材適所、これ基本!
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