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――企業に勤めて四年目の終わり、仕事もそれなりに板についた頃、異動の辞令が出された。
おれの地元の支店で欠員が出たから、こいつは丁度良いと、おれに異動を命じてきた。あんな辺鄙な山に囲まれた四国の支店に、自ら行こうという物好きはなかなかいないから、会社としてもおれを向かわせるのが都合が良かったのだろう。
久々に地元の地に降り立ったが、まぁそんな数年で大きくは変わりっこない。相変わらずの田舎っぷりだ。ただ、所々で小さな変化は見られた。
終点にある駅は、それこそ絵本に出てくる様な小汚い木造のものだったのが、バリアフリーのスロープまで備えられた新築のものに立て替えられていた。数年前までは、一件も見当たらなかったセブンイレブンが至る所にその看板を掲げており、県内で三店舗ほどしかなかった様な地元のスーパーは潰され、代わりに西日本チェーンのスーパーが、威張り散らす様にでかでかと腰を据えていた。
些細なものではあるが、この田舎も少しずつ変わっているのだなと、街を眺めながら浦島太郎気分を味わった。
天気が良かったから、夜にはあの山の、あの広場へと向かった。離れていたから、それこそ実に五年振りだ。
山道を抜け、広場へたどり着くと、一台の車が停まっているのが見える。どうやら先客がいる様だ。おれ一人でないのかと、少し残念だったが気にしても仕方ない。車を降りると、おれの指定席であったあの岩に腰掛けている人の姿が、闇の中にぼんやりと見える。
誰が勝手におれの場所を、と思いながら、タバコを咥えてその岩のある方へと歩いて行くと、座っている人影がゆっくりとこちらへ振り返ったのが分かった。街の明かりと被って顔はよく見えないが、その人影が、聞き覚えのある声でおれの名前を呼んだ。あまりに不用意な出来事に、おれは咥えていたタバコを落としてしまった。
一瞬二人の間で時が止まったが、我に返ったおれはタバコ拾い上げ、ゆっくりと歩いて行きそいつの隣に座った。
「ここウチの場所やで、ハルさん!」
おれの地元の支店で欠員が出たから、こいつは丁度良いと、おれに異動を命じてきた。あんな辺鄙な山に囲まれた四国の支店に、自ら行こうという物好きはなかなかいないから、会社としてもおれを向かわせるのが都合が良かったのだろう。
久々に地元の地に降り立ったが、まぁそんな数年で大きくは変わりっこない。相変わらずの田舎っぷりだ。ただ、所々で小さな変化は見られた。
終点にある駅は、それこそ絵本に出てくる様な小汚い木造のものだったのが、バリアフリーのスロープまで備えられた新築のものに立て替えられていた。数年前までは、一件も見当たらなかったセブンイレブンが至る所にその看板を掲げており、県内で三店舗ほどしかなかった様な地元のスーパーは潰され、代わりに西日本チェーンのスーパーが、威張り散らす様にでかでかと腰を据えていた。
些細なものではあるが、この田舎も少しずつ変わっているのだなと、街を眺めながら浦島太郎気分を味わった。
天気が良かったから、夜にはあの山の、あの広場へと向かった。離れていたから、それこそ実に五年振りだ。
山道を抜け、広場へたどり着くと、一台の車が停まっているのが見える。どうやら先客がいる様だ。おれ一人でないのかと、少し残念だったが気にしても仕方ない。車を降りると、おれの指定席であったあの岩に腰掛けている人の姿が、闇の中にぼんやりと見える。
誰が勝手におれの場所を、と思いながら、タバコを咥えてその岩のある方へと歩いて行くと、座っている人影がゆっくりとこちらへ振り返ったのが分かった。街の明かりと被って顔はよく見えないが、その人影が、聞き覚えのある声でおれの名前を呼んだ。あまりに不用意な出来事に、おれは咥えていたタバコを落としてしまった。
一瞬二人の間で時が止まったが、我に返ったおれはタバコ拾い上げ、ゆっくりと歩いて行きそいつの隣に座った。
「ここウチの場所やで、ハルさん!」
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