67 / 252
第5章
第108話
しおりを挟む
魔力の柱が消えていく。すると、完全に開放された私の血縁でもあるお爺様の叔父がその術式の真ん中に現れる。その姿は幻想の中で見た通りであり、綺麗な金髪だったであろうその髪は見る影もなくボロボロになっている。さらには身体全体に魂の穢れが広がっており、髪にも腕にも足にも漆黒に染まっている部分がある。目や身体の動きも正気のものではなく、そこも幻想と変わらない
「あとは、やり合った時の情報と変わりがなければいいが………」(レイア)
「そうね。だからといってやる事は変わらないわ。このまま封印され続けるよりも、これを機に存在を消滅させる」(ユリア)
「応よ‼私らの力を合わせれば、どんな奴も敵じゃねぇ‼」(モイラ)
「モイラの言う通り。私たちは、最高のパーティー」(セイン)
「そうね。たとえ、どんな怪物相手でも仲間の為に、自分の為に仕留めて見せるわよ」(リナ)
「ヴァアアア?ガアアアァ‼」(ラディスの叔父)
口から涎を垂らし、眼前にいる私たちの纏う攻撃的な魔力に敵対認定をしたのか姿勢を低くして獣のような体勢をとる。そして、一歩踏み込んで目にも止まらぬ速さで移動する、という幻影を見せてくる。お爺様の叔父はその幻影に私たちが引っかかっていようが、いまいがお構いなしばかりに九本の尻尾にそれぞれの属性の魔力を纏いながら私たち目掛けて迫ってくる
火属性の魔力は燃やして溶かす槍、水属性の魔力は鋭く切り裂く剣、土属性は全てを破壊して粉々にする槌、などなどお爺様の叔父は各属性の魔力にイメージを持たせて纏わせているために、ただ単に魔力障壁で防いだり、安易により強い魔力で打ち消すといった行為を行うと危険だ。纏わされたイメージによっては下手な障壁などは簡単に壊され、打ち消しも正確に魔力量を考えなければ腕の良い魔術師ならば相手の魔力を取り込んで強化することも造作もない
「散開‼各自がそれぞれカバーしながら動け‼決して孤立するなよ‼」(レイア)
『了解‼』
だからこそ、私たちの取れる戦い方は一つ。ただひたすらに幻影と実物を見分けて避け続けながらも全員でタイミングを合わせながら仕掛けていくというものだ。カイル君は非常識な方法で真っ向から尻尾の攻撃に対応したようですけど、私たちにそこまでの方法はとれない。しかし、幻想内での幾多の戦いで幻影と実物の見分けはつく
特に私としては狐人族の先輩としても、戦士としても、魔術師としても参考になった。実物と区別がつかないほどの質の高い幻影の創り方に各尻尾に纏わせる際の効率的な魔力量など、まだまだ自分が甘いというのがお爺様の叔父との命のやりとりで実感できた。だからこそ、幾多の戦闘でそれらを観察し、自らの糧として取り込んでいった
「カアアアアア‼」(ラディスの叔父)
お爺様の叔父が私に向かって、今度は本当に高速で迫ってくる。私に向かって突っ込んでくるというのは、事前にお爺様や玉藻様たちに聞いていた通りだ。恐らくはお爺様の叔父は私に流れるお爺様の父である自分の兄の血を感じて優先的に襲ってくるだろうと。幻想内の戦闘でも、まるで誘われるかの様に私に向かって積極的に攻撃を仕掛けてきた。だからこそ、これも想定内
私もそれぞれの尻尾に各属性の魔力を纏わせて、幻影を織り交ぜながらも立ち回る。レイアやモイラ、それにカイル君のようにお爺様の叔父相手に格闘戦を仕掛けられるほど肉体面は頑丈ではない。だから、それが出来る者に任せて私はリナ・セインと共に魔術をメインにしてレイアとモイラをサポートする
「【漂う闇夜の霧】」(ユリア)
「【乱れ舞う誘惑】」(リナ)
「【降り注ぐ浄化の矢】」(セイン)
最初に私の放った妨害魔術である霧を闇属性と水属性の複合魔術により生み出された濃い霧がお爺様の叔父の周りに発生する。視界が制限された所にリナの生み出した無数のリナ自身の幻惑が霧の中から現れては消えていき、お爺様の叔父の視線や視界を奪い惑わせていく。そこに、カイル君がベレタート王国とメリオス聖国との戦争の開戦の際に使用した魔術の属性を変えた魔術をセインが頭上から音もなく降り注がせる
お爺様の叔父は私の霧には目論見通りに視界を奪われ、リナさんの幻惑に視線が様々な角度で次々と彷徨っているが、急に動きが止まったかと思うと目を閉じた。そのまま無音で降り注ぐ浄化の力を持つ大量の魔力矢を野生の感覚でいながらも狐人族の武術の流れるような綺麗な脚運びで次々と避けていく。こういった混ざった動きは幻想内では数回ほどしか見た事がない
「仕掛けるわ‼≪爆裂≫‼」(リナ)
浄化の籠められた魔力矢を避け続けるお爺様の叔父に向かってリナさんの幻惑が死角から近づいていく。ただ単純に近づいていくだけでなく、降り注いでくる魔力矢の着地地点に合わせるように幻惑を移動させて、魔力矢と爆裂の威力の重ね掛けで攻撃していく。しかし、野生の感覚と洗練された狐人族の武術の動きが混ざっている今のお爺様の叔父には通用せず、悉くを避けられていく
そこに、レイアとモイラの近接組が突っ込んでいく。お爺様の叔父もすかさず反応し、超人的な動きと九本の尻尾がそれぞれ意思を持っているかのように自在な動きで死角や隙間を埋めるように、逃げ場をなくすように動いていく
「アアアアァ‼」(ラディスの叔父)
「レイア、合わせろ‼」(モイラ)
「応‼」(レイア)
一万回近接戦を繰り返したカイル君からの情報から近接時の動きを聞いていたのでレイアとモイラも今の所は対応できている。しかし、お爺様の叔父の拳や脚による一撃一撃を受けるたびに、レイアと竜人族として強固な骨格などを持つはずのモイラでさえも、少しだけ表情が痛みで歪んでいる。今の私たちは封印の場所にたどり着く前から既に力の全開放をしている
〈モイラは完全に竜人族として力を解放してる。鱗も身体のほとんどを覆うほどにまで至っているのよ。それでも、痛みに顔が歪むなんて、どれだけの力なのよ〉(ユリア)
最初の段階でレイアが自分を含めて様々な付与魔術で強化も施しているし、戦闘の最初からお爺様の叔父に対しても能力低下の付与を隙を見て仕掛けているのは私も知っているし、実際に無抵抗なまでに魔術がかかっているのを感じていた。つまり、能力低下を受けてなお、モイラに苦痛を与えるほどの膂力をしているという事になる
これは完全に予想外だ。幻想内ではここまでの能力低下の魔術をかけられたお爺様の叔父はモイラの本気の状態で苦痛を与える事はなかった。だが、現状でモイラや限界まで強化したレイアでさせも痛みを感じるということがマズイ状況という事。さらに言えば、肉体的に頑強ではない私やセインやリナにとってみれば、お爺様の叔父の一撃をもらえばどうなるか分からない。もしかしたら、捌ききれなければ戦闘離脱もしくは死の可能性がある
「リナ、セイン‼私たちは魔術よりも回避優先よ‼私たちだと掠っただけでもヤバい‼」(ユリア)
「そうね‼だけど、あの二人だけに任せても一緒よ‼」(リナ)
「リナの言う通り。このままいくと先にレイアたちがやられるのは間違いない」(セイン)
リナとセインの言う通り、このままいけばレイアたちもいずれは……………となるのは間違いはない。それは分かり切っているからこそ私も切り札を切る覚悟を決める。モイラたち竜人族が本気の本気の状態になるのと同じように、私たち狐人族にも同じようなものがある。これは狐人族だけでなく獣人という存在の中で限られた者のみが使う事のできる言葉通りの切り札。切るべき時は今よ‼
「≪因子開放・霊獣変化≫〖白面金毛九尾の狐〗」(ユリア)
「あとは、やり合った時の情報と変わりがなければいいが………」(レイア)
「そうね。だからといってやる事は変わらないわ。このまま封印され続けるよりも、これを機に存在を消滅させる」(ユリア)
「応よ‼私らの力を合わせれば、どんな奴も敵じゃねぇ‼」(モイラ)
「モイラの言う通り。私たちは、最高のパーティー」(セイン)
「そうね。たとえ、どんな怪物相手でも仲間の為に、自分の為に仕留めて見せるわよ」(リナ)
「ヴァアアア?ガアアアァ‼」(ラディスの叔父)
口から涎を垂らし、眼前にいる私たちの纏う攻撃的な魔力に敵対認定をしたのか姿勢を低くして獣のような体勢をとる。そして、一歩踏み込んで目にも止まらぬ速さで移動する、という幻影を見せてくる。お爺様の叔父はその幻影に私たちが引っかかっていようが、いまいがお構いなしばかりに九本の尻尾にそれぞれの属性の魔力を纏いながら私たち目掛けて迫ってくる
火属性の魔力は燃やして溶かす槍、水属性の魔力は鋭く切り裂く剣、土属性は全てを破壊して粉々にする槌、などなどお爺様の叔父は各属性の魔力にイメージを持たせて纏わせているために、ただ単に魔力障壁で防いだり、安易により強い魔力で打ち消すといった行為を行うと危険だ。纏わされたイメージによっては下手な障壁などは簡単に壊され、打ち消しも正確に魔力量を考えなければ腕の良い魔術師ならば相手の魔力を取り込んで強化することも造作もない
「散開‼各自がそれぞれカバーしながら動け‼決して孤立するなよ‼」(レイア)
『了解‼』
だからこそ、私たちの取れる戦い方は一つ。ただひたすらに幻影と実物を見分けて避け続けながらも全員でタイミングを合わせながら仕掛けていくというものだ。カイル君は非常識な方法で真っ向から尻尾の攻撃に対応したようですけど、私たちにそこまでの方法はとれない。しかし、幻想内での幾多の戦いで幻影と実物の見分けはつく
特に私としては狐人族の先輩としても、戦士としても、魔術師としても参考になった。実物と区別がつかないほどの質の高い幻影の創り方に各尻尾に纏わせる際の効率的な魔力量など、まだまだ自分が甘いというのがお爺様の叔父との命のやりとりで実感できた。だからこそ、幾多の戦闘でそれらを観察し、自らの糧として取り込んでいった
「カアアアアア‼」(ラディスの叔父)
お爺様の叔父が私に向かって、今度は本当に高速で迫ってくる。私に向かって突っ込んでくるというのは、事前にお爺様や玉藻様たちに聞いていた通りだ。恐らくはお爺様の叔父は私に流れるお爺様の父である自分の兄の血を感じて優先的に襲ってくるだろうと。幻想内の戦闘でも、まるで誘われるかの様に私に向かって積極的に攻撃を仕掛けてきた。だからこそ、これも想定内
私もそれぞれの尻尾に各属性の魔力を纏わせて、幻影を織り交ぜながらも立ち回る。レイアやモイラ、それにカイル君のようにお爺様の叔父相手に格闘戦を仕掛けられるほど肉体面は頑丈ではない。だから、それが出来る者に任せて私はリナ・セインと共に魔術をメインにしてレイアとモイラをサポートする
「【漂う闇夜の霧】」(ユリア)
「【乱れ舞う誘惑】」(リナ)
「【降り注ぐ浄化の矢】」(セイン)
最初に私の放った妨害魔術である霧を闇属性と水属性の複合魔術により生み出された濃い霧がお爺様の叔父の周りに発生する。視界が制限された所にリナの生み出した無数のリナ自身の幻惑が霧の中から現れては消えていき、お爺様の叔父の視線や視界を奪い惑わせていく。そこに、カイル君がベレタート王国とメリオス聖国との戦争の開戦の際に使用した魔術の属性を変えた魔術をセインが頭上から音もなく降り注がせる
お爺様の叔父は私の霧には目論見通りに視界を奪われ、リナさんの幻惑に視線が様々な角度で次々と彷徨っているが、急に動きが止まったかと思うと目を閉じた。そのまま無音で降り注ぐ浄化の力を持つ大量の魔力矢を野生の感覚でいながらも狐人族の武術の流れるような綺麗な脚運びで次々と避けていく。こういった混ざった動きは幻想内では数回ほどしか見た事がない
「仕掛けるわ‼≪爆裂≫‼」(リナ)
浄化の籠められた魔力矢を避け続けるお爺様の叔父に向かってリナさんの幻惑が死角から近づいていく。ただ単純に近づいていくだけでなく、降り注いでくる魔力矢の着地地点に合わせるように幻惑を移動させて、魔力矢と爆裂の威力の重ね掛けで攻撃していく。しかし、野生の感覚と洗練された狐人族の武術の動きが混ざっている今のお爺様の叔父には通用せず、悉くを避けられていく
そこに、レイアとモイラの近接組が突っ込んでいく。お爺様の叔父もすかさず反応し、超人的な動きと九本の尻尾がそれぞれ意思を持っているかのように自在な動きで死角や隙間を埋めるように、逃げ場をなくすように動いていく
「アアアアァ‼」(ラディスの叔父)
「レイア、合わせろ‼」(モイラ)
「応‼」(レイア)
一万回近接戦を繰り返したカイル君からの情報から近接時の動きを聞いていたのでレイアとモイラも今の所は対応できている。しかし、お爺様の叔父の拳や脚による一撃一撃を受けるたびに、レイアと竜人族として強固な骨格などを持つはずのモイラでさえも、少しだけ表情が痛みで歪んでいる。今の私たちは封印の場所にたどり着く前から既に力の全開放をしている
〈モイラは完全に竜人族として力を解放してる。鱗も身体のほとんどを覆うほどにまで至っているのよ。それでも、痛みに顔が歪むなんて、どれだけの力なのよ〉(ユリア)
最初の段階でレイアが自分を含めて様々な付与魔術で強化も施しているし、戦闘の最初からお爺様の叔父に対しても能力低下の付与を隙を見て仕掛けているのは私も知っているし、実際に無抵抗なまでに魔術がかかっているのを感じていた。つまり、能力低下を受けてなお、モイラに苦痛を与えるほどの膂力をしているという事になる
これは完全に予想外だ。幻想内ではここまでの能力低下の魔術をかけられたお爺様の叔父はモイラの本気の状態で苦痛を与える事はなかった。だが、現状でモイラや限界まで強化したレイアでさせも痛みを感じるということがマズイ状況という事。さらに言えば、肉体的に頑強ではない私やセインやリナにとってみれば、お爺様の叔父の一撃をもらえばどうなるか分からない。もしかしたら、捌ききれなければ戦闘離脱もしくは死の可能性がある
「リナ、セイン‼私たちは魔術よりも回避優先よ‼私たちだと掠っただけでもヤバい‼」(ユリア)
「そうね‼だけど、あの二人だけに任せても一緒よ‼」(リナ)
「リナの言う通り。このままいくと先にレイアたちがやられるのは間違いない」(セイン)
リナとセインの言う通り、このままいけばレイアたちもいずれは……………となるのは間違いはない。それは分かり切っているからこそ私も切り札を切る覚悟を決める。モイラたち竜人族が本気の本気の状態になるのと同じように、私たち狐人族にも同じようなものがある。これは狐人族だけでなく獣人という存在の中で限られた者のみが使う事のできる言葉通りの切り札。切るべき時は今よ‼
「≪因子開放・霊獣変化≫〖白面金毛九尾の狐〗」(ユリア)
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
放逐された転生貴族は、自由にやらせてもらいます
長尾 隆生
ファンタジー
旧題:放逐された転生貴族は冒険者として生きることにしました
★第2回次世代ファンタジーカップ『痛快大逆転賞』受賞★
★現在4巻まで絶賛発売中!★
「穀潰しをこのまま養う気は無い。お前には家名も名乗らせるつもりはない。とっとと出て行け!」
苦労の末、突然死の果てに異世界の貴族家に転生した山崎翔亜は、そこでも危険な辺境へ幼くして送られてしまう。それから十年。久しぶりに会った兄に貴族家を放逐されたトーアだったが、十年間の命をかけた修行によって誰にも負けない最強の力を手に入れていた。
トーアは貴族家に自分から三行半を突きつけると憧れの冒険者になるためギルドへ向かう。しかしそこで待ち受けていたのはギルドに潜む暗殺者たちだった。かるく暗殺者を一蹴したトーアは、その裏事情を知り更に貴族社会への失望を覚えることになる。そんな彼の前に冒険者ギルド会員試験の前に出会った少女ニッカが現れ、成り行きで彼女の親友を助けに新しく発見されたというダンジョンに向かうことになったのだが――
俺に暗殺者なんて送っても意味ないよ?
※22/02/21 ファンタジーランキング1位 HOTランキング1位 ありがとうございます!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?
水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」
「はぁ?」
静かな食堂の間。
主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。
同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。
いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。
「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」
「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」
父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。
「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」
アリスは家から一度出る決心をする。
それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。
アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。
彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。
「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」
アリスはため息をつく。
「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」
後悔したところでもう遅い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。