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[Phantom/]
プロローグ[雪の音]
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雪が舞う。
降る雪に光が反射し、キラキラと輝いて見える。
この土地は一年のほとんどが雪で覆われている。
ロジミスカリア。
深い森が広がり、中に入り来るものを惑わす。
噂では森に入ると、入り口に戻されるという。
まるで、人を拒むような不思議な場所。
そこに一人の男が立っていた。
森には入っていない。
ちょうど、足を踏み入れる手一歩手前だ。
肩ほどある黒い髪を流したまま、風に任せている。
ただ、何をするでもなく静かに目を閉じていた。
風の音を聞いているのだろうか。
森のざわめきを聞いているのだろうか。
雪の煌めく音を聞いているのだろうか。
何をしているのかまるで検討もつかない。
ひとつ分かることがあるとすれば、男は剣士だ。
髪と同じ色の外套の下に二本の剣をいつでも抜けるように腰のベルトに差している。
まるで、身構えているようにも見えた。
次の瞬間、風の動きが変わった。
雪が不気味に舞う。
「漸く、動いたか」
男は腰に差している剣を抜くと、雪風を切り裂いた。
そして、剣を鞘に納めると歩き始めた。
「さて、戻るとするか…ここは寒くてかなわん」
男が立ち去った後に赤い跡が雪にじわりと滲み、その先に雪と同じような体躯をした獣が横たわっていた。
………
……
…
降る雪に光が反射し、キラキラと輝いて見える。
この土地は一年のほとんどが雪で覆われている。
ロジミスカリア。
深い森が広がり、中に入り来るものを惑わす。
噂では森に入ると、入り口に戻されるという。
まるで、人を拒むような不思議な場所。
そこに一人の男が立っていた。
森には入っていない。
ちょうど、足を踏み入れる手一歩手前だ。
肩ほどある黒い髪を流したまま、風に任せている。
ただ、何をするでもなく静かに目を閉じていた。
風の音を聞いているのだろうか。
森のざわめきを聞いているのだろうか。
雪の煌めく音を聞いているのだろうか。
何をしているのかまるで検討もつかない。
ひとつ分かることがあるとすれば、男は剣士だ。
髪と同じ色の外套の下に二本の剣をいつでも抜けるように腰のベルトに差している。
まるで、身構えているようにも見えた。
次の瞬間、風の動きが変わった。
雪が不気味に舞う。
「漸く、動いたか」
男は腰に差している剣を抜くと、雪風を切り裂いた。
そして、剣を鞘に納めると歩き始めた。
「さて、戻るとするか…ここは寒くてかなわん」
男が立ち去った後に赤い跡が雪にじわりと滲み、その先に雪と同じような体躯をした獣が横たわっていた。
………
……
…
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