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第四話 転落
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「ノア様ですね、レオン様はあちらで寝かせています」
王宮に着くと、王宮の使用人が俺を旦那様のところまで案内してくれた。
そこまで行くと、レオンが寝かせられていたベットのそばに殿下がいることにすぐ気が付いた。
「殿下、お久しゅうございます」
「あぁ、ノアか。久しいね。君の夫のレオンが、俺といた時にこうなってしまって申し訳ない」
「いえ、殿下のせいではございません」
殿下――サンシスト・ローゼルセン様はこの国、ローゼルセン王国の王太子で、旦那様とは幼い頃から友人関係にあるのだとか。殿下は俺たちが挙げた結婚式に出席して下さり、そこで一度だけ挨拶をしたことがあるため、面識があった。
「ごきげんよう、ノア様。そして初めましてですわね。私の名前はサザンカ・アンチェル。アンチェル侯爵家の一人娘ですわ、以後お見知りおきを」
そう声をかけられ、位置的に気が付かなかったが、もう一人ベットのそばで座っている人がいることに気が付いた。
「……初めまして。アンチェル嬢のことは存じ上げております。ノア・ラインドールと申します。よろしくお願いいたします」
「あら、ノア様。私のことはサザンカと呼んでくださいませ」
「ありがとうございます。サザンカ様」
……どうしてここに彼女がいるのだろうか。
サザンカ・アンチェル侯爵令嬢。義母が気に入っている令嬢で、俺と旦那様が籍を入れるまで、レオンとサザンカ嬢は二人は恋仲だという噂が流れていた令嬢だ。
一瞬噂は本当だったのかと、もやっとしたが、一旦それは置いておいて、俺は殿下になぜ転落したのか聞くことにした。
「それで……殿下、どうして旦那様――レオンが階段から転落したのかお聞きしてもよろしいでしょうか。使用人から詳しい話は聞けていなくて」
「……もちろんだ。俺と、ここにいるサザンカ嬢と……しばらく前に帰った俺の婚約者の、エリカ・ナーミンの四人でお茶をしていたのだが、エリカが一足先に帰ってから少し経ち、レオンとサザンカ嬢もそろそろ帰ると言ってな。お開きにすることにしたのだ。二人を見送ろうとした俺と二人の三人で階段を降りていたら、俺の前にいたレオンが足を踏み外して階段から落ちてた」
……今日は、その四人でお茶会だったのか。
エリカ・ナーミン公爵令嬢はサザンカ嬢と仲が良い公爵令嬢で、殿下とは婚約関係にある。近頃籍を入れるのだとか入れないのだとか聞いたことがある。
四人は学園が同じで同級生。それに加え、四人で生徒会を運営していたようで仲が良いらしいという話も誰からか聞いたことがある。
「……そうなのですね。教えて下さり、ありがとうございます」
殿下に短くお礼を言い、俺は目を閉じている旦那様の顔をじっと見つめた。普段、こんなに近くで見ることはなく、俺は旦那様の綺麗な顔にクマがあったことに気がついた。
旦那様は寝不足だったのか?そのせいでふらついて階段から落ちたとしたら……。
旦那様……。俺のことをどう思っていらっしゃるのかは全く分かりませんが、いつも頑張っていて、俺の家も助けてくれて、ありがとうございます。
そんなことを心の中で思っていると、旦那様の瞼が動き、目が開いた。
「!!旦那様」
「「レオン!」」
俺たち三人が同時にそう言うと、旦那様の顔はこちらを向いた。
周囲が喜び、そして感激のムードに包まれていた時、
「…………どなただ?」
旦那様が静かにそう言った。
その一言によって旦那様が目覚めたことへの感激ムードから一転、一同『……は?』と状況が理解できず、困惑が生まれた。
王宮に着くと、王宮の使用人が俺を旦那様のところまで案内してくれた。
そこまで行くと、レオンが寝かせられていたベットのそばに殿下がいることにすぐ気が付いた。
「殿下、お久しゅうございます」
「あぁ、ノアか。久しいね。君の夫のレオンが、俺といた時にこうなってしまって申し訳ない」
「いえ、殿下のせいではございません」
殿下――サンシスト・ローゼルセン様はこの国、ローゼルセン王国の王太子で、旦那様とは幼い頃から友人関係にあるのだとか。殿下は俺たちが挙げた結婚式に出席して下さり、そこで一度だけ挨拶をしたことがあるため、面識があった。
「ごきげんよう、ノア様。そして初めましてですわね。私の名前はサザンカ・アンチェル。アンチェル侯爵家の一人娘ですわ、以後お見知りおきを」
そう声をかけられ、位置的に気が付かなかったが、もう一人ベットのそばで座っている人がいることに気が付いた。
「……初めまして。アンチェル嬢のことは存じ上げております。ノア・ラインドールと申します。よろしくお願いいたします」
「あら、ノア様。私のことはサザンカと呼んでくださいませ」
「ありがとうございます。サザンカ様」
……どうしてここに彼女がいるのだろうか。
サザンカ・アンチェル侯爵令嬢。義母が気に入っている令嬢で、俺と旦那様が籍を入れるまで、レオンとサザンカ嬢は二人は恋仲だという噂が流れていた令嬢だ。
一瞬噂は本当だったのかと、もやっとしたが、一旦それは置いておいて、俺は殿下になぜ転落したのか聞くことにした。
「それで……殿下、どうして旦那様――レオンが階段から転落したのかお聞きしてもよろしいでしょうか。使用人から詳しい話は聞けていなくて」
「……もちろんだ。俺と、ここにいるサザンカ嬢と……しばらく前に帰った俺の婚約者の、エリカ・ナーミンの四人でお茶をしていたのだが、エリカが一足先に帰ってから少し経ち、レオンとサザンカ嬢もそろそろ帰ると言ってな。お開きにすることにしたのだ。二人を見送ろうとした俺と二人の三人で階段を降りていたら、俺の前にいたレオンが足を踏み外して階段から落ちてた」
……今日は、その四人でお茶会だったのか。
エリカ・ナーミン公爵令嬢はサザンカ嬢と仲が良い公爵令嬢で、殿下とは婚約関係にある。近頃籍を入れるのだとか入れないのだとか聞いたことがある。
四人は学園が同じで同級生。それに加え、四人で生徒会を運営していたようで仲が良いらしいという話も誰からか聞いたことがある。
「……そうなのですね。教えて下さり、ありがとうございます」
殿下に短くお礼を言い、俺は目を閉じている旦那様の顔をじっと見つめた。普段、こんなに近くで見ることはなく、俺は旦那様の綺麗な顔にクマがあったことに気がついた。
旦那様は寝不足だったのか?そのせいでふらついて階段から落ちたとしたら……。
旦那様……。俺のことをどう思っていらっしゃるのかは全く分かりませんが、いつも頑張っていて、俺の家も助けてくれて、ありがとうございます。
そんなことを心の中で思っていると、旦那様の瞼が動き、目が開いた。
「!!旦那様」
「「レオン!」」
俺たち三人が同時にそう言うと、旦那様の顔はこちらを向いた。
周囲が喜び、そして感激のムードに包まれていた時、
「…………どなただ?」
旦那様が静かにそう言った。
その一言によって旦那様が目覚めたことへの感激ムードから一転、一同『……は?』と状況が理解できず、困惑が生まれた。
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