Grey Area3.(−)死の翼

夜束牡牛

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夜中の芝居小屋 【紅茶色の目から】3

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 ジゼルがうーんと唸り、頭の中で逆算し笑った。

「わかった。あーあ、ペコにはかなわないなぁ。セリフ数えながらここまで考えたのかぁ」

「まったくもっておバカさん。このぐらい出来なきゃいい役者と言えないよ。バシリオもソロルも、ジゼルへの評価が甘すぎるんです。本物の天才はここにいますよ」

 最後の言葉は、二人にゆっくりと追いついたバシリオとソロルに向け言われた。
 コッペリアはソロルを見てにやりと笑うと、ジゼルへと愛らしく首を傾げて見せた。

「クジャクの羽のお手入れって、なーんだ」

 ジゼルにはわからなかったようで、コッペリアの首の角度をそっくりまねて「なにそれ」と言った。そこでコッペリアはソロルへとつんと鼻を上げて見せた。

「口裏ぐらい合わせておきなよ。ロロもやっぱりおバカさん」

「いや、ジジが悪いな。せめて聞き返して間を取れば、こっちで助け舟を出せれたさ」

 ソロルが悔しそうに言うと、バシリオがにやりと笑った。

「なら、この場で一番頭が良い奴は俺だな。この先の屋台に注文をしといた。焼き立ての川魚と果実入りの冷たい炭酸水、水瓜のはちみつ漬けが待ってるぜ。それに、ペコが望めばも調達してくる」

「バズ天才」
「シンプルに好き」
「この流れで焼鳥は悪趣味だが、天才の部類とみなす」

 ジゼル、コッペリア、ソロルが口々に言い、今度は互いに上演した芝居について楽しそうに話し出した。
 きっと朝まで話題は尽きない。無言の間は全てくつろぎ、いつも誰かが笑ってる。コミュニティーマジックなんて、誰も必要を感じていなかった。

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