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こっちの工場勤務より断然異世界プロデュースがイイっす
しおりを挟む僕は何時(いつ)でも会社を、健食粉砕工業を辞めても食べていける異世界プロデュース業に100%携わりたいと、思いは日に日に募(つの)っていった。
やっぱり、人って、自分が好きなことでお金が貰えて、尚且(なおか)つ、その仕事なのか活動で、一緒に活動している仲間達に必要にされ喜ばれることを経験しちゃうと、なんだか自信もついてきてデキる人物に思われるようになるのかな。
その辺は勘違いしちゃ不味(まず)いけど、僕は着々と、今の仕事を辞めてからやるべきことを考え続け、そのことに益々ワクワクしていた。
何よりも、夜な夜なこっそりと、って感じではないけど、今の工場住込み部屋のモノを片岡さんから貰った段ボールに荷詰めし、一応、その都度、片岡さんには連絡するけど、今では何処でもダンジョンで豊洲ビル3階の借り住まい部屋に荷物を運び込み、現在はほぼ引越しが完了し、板橋区の工場住込み部屋はガラーンとした。
現在、豊洲ビルに住んでいて
一応、豊洲ビルダンジョンを通って工場へ出勤、といった状態になっていた。
そんな親戚工場を何時でも辞めますよ!感覚で勤務していたら、またまた叔父さん社長が倉庫内ペット用サプリメント開発事務所に入って来て、開発状況を僕に聞いて来た。
前にも報告したが、上司の、元キャバ嬢の今野みどりが相変わらず何処に行っているのか解らず、一人で原価計算とかをパソコンのエクセルで制作中の処に突然、現れたので、昔の僕なら恐縮して直ぐに対応するんだけど、エクセルの打ち込みがひと段落するまで、作業し続けた。
「真一君、パソコンを弄(いじ)るのはいいから、こっちを向いて」
えっ、パソコンを弄(いじ)てるって表現、なんだよ!こっちは仕事しているんですよ社長。
でも、僕は表面上「はい!」と素直に返事してメタボ腹の叔父さん社長を見た。
「今野部長はどうした?」
僕は1ヶ月の予定を書き込めるホワイトボートを指差し、
「今野部長は清瀬に直行と総務部に連絡がありましたので、清瀬に直行していると思います」
「清瀬?何しに!」
「解りません、社長の方に連絡とかありませんか?」
「私は知らない、前にも言ったけど、今野部長とよくコミュニケーションを取らないと、で、真一君からは連絡しましたか」
「あの~、そのことなんですけど、僕は今野部長の連絡先、自宅の固定電話とかスマホ携帯の電話番号を本人から直接教えてもらってないので、総務部に行って教えてもらいに行ったら、なんか今野部長の履歴書も無いと言われ、後は社長じゃないと解らない、と説明されたんですけど」
僕はそう言って、今野部長の連絡先を教えてくれないか、と僕の方で社長に詰め寄った。
「ああ、解った、今は手元に無いから、後でな、こっちで今野には連絡するよ」
社長は頑なに今野みどりの連絡先を教えなかった。やはり今野みどりキャバ嬢疑惑は確定ですか!
「そうですか、分かりました。
それと、以前、社長が提案したペット雑誌の広告を載せて新商品キャンペーンで10本¥2,000のペット用栄養ドリンクをキャンペーン中¥500なんですけど、業者に発注する場合の本数はどの位が宜しいんでしょうか?
あと、ペット雑誌には犬用と猫用の種類があって、どちらが良いのか、この辺も今野部長と何も話して決めていないので、その辺の処も連絡が付きましたら、伝えて頂きたいのですが」
「えっそんなことも、まだ決まっていなのか?何やってんだ!あれから結構な日数がたっているだろう?
今まで、何をやっていたんだ!」
「ですから今野部長と連絡が・・・」
「もう分かった!」
社長は半分怒って、半分イライラしながら倉庫ペット用サプリ開発事務所を後にした。
僕の方も、もう我慢の限界、と言うか、実は大分前から、こんなこと、前にも社長の思い付きで自社サプリメントを開発販売しようとしたことが多々あり、その都度、立ち切れになったり、作ったけど売れない、と言うよりも販売するノウハウが無い、社長自体が新規開拓をやった経験が無いから、勇(いさ)み足で終わることが追々で、そのプロジェクトごとにリクルートした人達は辞めて行くことになった。
それを僕は昔から何度も虚無感を持って見ていた。
以前の僕なら社長に意見や文句など一切言わずに、プロジェクトが立ち切れるのを気長に待っている筈(はず)だけど、
今回の僕は過去の僕とは完全に違ってしまった。
それは僕が異世界での成功体験で自信が付いたのが大きいのだろう。
それに別の事柄も、僕の背中を押した原因の一つにあった。
と言うのも、昨夜、西田佳代からスマホ携帯に電話があり、池袋のショーパブ京香店を辞めたとの事だった。
電話では、明るく振る舞ってはいたが、本人の話しだと、舞台発表の終わり、ひと段落したので、お店のショーにでも出ようかと思い参加したのだが、女の子達とグループで歌うパートで、女の子のレベルに合わせないとイケないので実力が出せず、また黒服の店員に色々とイヤミを言われたりして、色々な不満が堪(たま)り、お店を辞めてしまったとの事、で、もし可能なら異世界舞台のアルバイトに専念したいと相談された。
僕たちにとって令和元年って、もしかしたら激動の人生の幕開けかもしれません。
異世界居酒屋ショーホールは今日も超満員で、本日はまた現世ニッポンから、と言っても異世界の人達には遥か極東の東洋の国から態々(わざわざ)来た歌姫の西田佳代と説明していた。
ま、異世界の住民もダンジョンとか知っているのか分からないけど、異世界も地球みたいに色んな国や人種がいるだろうし、元に日本で言えば異世界ファンタジーのような異種人?と言ったらいいのか、も共存していて人間?人族?と一緒に生活しているから、現世ニッポンよりはダンジョンや魔法はメジャーなのかもしれない。
そのことを、何時(いつ)もの感じでリハーサルをプロデューサーみたいにシャーロンと見ていた客席丸テーブル席で、幾つか異世界の情報収集雑談をしていた。
シャーロンの話しでは、結論的に知らない、分からないそうで、なんでも魔法は異世界では使う人が少なく、一応、いるにはいるんだけど、
「魔法が使えるのは、私が知っているだけでカスナ国の海を隔てた向こう側の大陸の国、、海の向こうのザギアナ大国の女王と、ここ、キサナド国の奥にある深い森に覆われた通称【魔法の森】にいるお婆ちゃん魔法使い、そして、私(わたくし)ことシャーロン・グラムデル若干22歳で~す」
そうなんだ、シャーロンの年齢は22歳、確かに若いです。
女盛の22歳、エロさ抜群なお歳です。
「その3人だけが現在、魔法が使えるんだ。
でも、魔法のことやダンジョンのことは、この世界の住民の殆どは知らない、と言うのは何で?」
「それを聞いちゃいますか?ムート先生、
それはですね、またの機会にしましょう。
それより、今回の西田佳代さんは、前の男性的な衣装から、かなり私達に近いドレスのような衣装ですけど、新しい歌を引っ提げて来たんですか?」
「そうなんです。今回は今までのアコースティックギターでのほんわか路線から一変して、ある意味、シャルルと同じ路線に敢えて被る感じの歌を披露し、シャルルに刺激を与えようと、そんな感じです」
「え~、そんな~、私(わたくし)個人的にはワクワク・ドキドキするんですけど、シャルル本人にとっては過酷な試練かもしれないですわ」
「僕はシャルルにとってイイ意味で刺激になり、シャルルにもっともっと歌のことや、僕の世界の歴史的歌姫達のことを勉強して頂いて、シャルル本人の声質や歌唱力で彼女でしか表現出来ない影響力のある歌手を目指してもらいたいのです」
僕はいつもの悪い癖で、一人で熱く語っていたと思う。
だから、結構、周りからはウザイなんて言われることも多々あったが、シャーロンは真剣に僕の話しを聞いていて、
「どうします。
西田佳代さんの、その秘密兵器のような歌はリハします?
それともぶっつけ本番でシャルルとお客さんに披露しますか?」
「う~ん、どうするシャーロン、安定を考えればリハーサルは必要なんだけど、個人的にはインパクト、衝撃度が見たいんだよな~、
この世界の人々の受け捉(とら)え方、感動の度合いなどを、ね」
「でしたら、私は何も言いませんわ、ムート先生のしたいようにしたら良いと思います」
シャーロンは笑顔でそう言ってくれたので、僕はスマホからイヤホンでイメトレしている西田佳代に向かってイヤホンを外すように言った。
「西田さんさ、今回の新しくこの異世界で披露する例の歌は、リハ無しで、ぶっつけ本番で行くから覚悟してね」
西田佳代は、最初こそ「マジですか?」と言って戸惑っていたけど、「面白そう」とか言いながら、またイヤホンを耳に差し込んで、より集中してイメトレをしていた。
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