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王立芸術劇場建設計画と音響設備

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片岡さんは僕の話にイキナリ興奮し出し、

「凄い、凄いですよ武藤さん、こっちの世界だったら王族が支配している国の芸能や観光を一手いってに任せられたような、独占契約みたいなものじゃないですか!」

「う~ん、そうなんだね。
それもだけど、今はキサナ国の芸能もシャーロン姫のサポートで動かなくちゃいけないし、
もしかしたら近々でクレア国とキサナ国、
と言ってもキサナ国は今の処、シャルルと西田佳代の二人だけど、
リフォーム建設中の宮邸国立か王立劇場で芝居からオーケストラ演奏やらコンサートやらの総合芸術フェスを行うみたいなんですよ。
それで」

僕が、本題である片岡さんに相談の話しをする前に大興奮する片岡さんは話しをさえぎって

「そ、そ、そうか~、
考えたら武藤さんはキサナ国の王族の娘でありお姫様のシャーロン姫から芸能プロデュースをほぼ任されているから、実質はキサナ国の芸能観光全てにも携わっている大人物な訳か~、
そう考えたら恐れ多い人物とこうして出会えて面識を作れたなんて~ホント凄いことですよ~」

そう言って、今まで社長用椅子に座っていた片岡さんは席を立って、僕に社長用椅子に座るように勧めましたが、僕は丁重ていちょうにお断りした。

「いや~、なにを言っているんですか?
僕はこっちの世界では会社を辞めたばかりの無職で、現在は何者でもないんですから」

「そ、そ、それだったら当面、ウチの会社、㈱スクール・オブ・シネマの役員として来て頂くのはどうでしょう。
実は、今後の仕事のことで手伝って頂ければと考えていた処で・・・
この前も同行して頂いたようなことを、今後とも、と考えております」

片岡さんが僕にさっき言った同行とは、ただ単に片岡さんがお付き合いしている処、
例えばエキストラの関係では某国営TV局へと渋谷区宇田川町オフィスから徒歩で行って、
昼飯はTV局の食堂で食べたり、各出版社周りとか、
芸能事務所周りとか、そんなこんなで片岡さんが今度、新しい新規事業会社を立ち上げたことの挨拶周りがメインでもあったが、アレのことかな。

「はい、あの、それは嬉しいことを、返事は今じゃ無くても宜しいですか?」

「ええ、大丈夫です。それと、勝手に用意してスイマセンが、武藤さんの名刺も用意しましたので先に渡しておきますね」

片岡さんは僕の名刺まで先に作っていたのだ。

用意周到、と言いますか、先日も名刺交換の際に僕は当然無職だから名刺を持っていなかったので、片岡さんがその場を適当な事を言って切り抜けていたので、ま、用意するのは当たり前か。

「あ、スミマセン。名刺を用意して頂いて」

僕の肩書きはプロデューサーだった。

「僕の方からも片岡さんに相談があったのですが、先程お話ししましたキサナ国の国立なのか王立芸術劇場のことで、今度はホールが今の10倍はデカイみたいですので、本格的に音響機材が必要になるみたいで、その音響機材の御相談を、と」

「な~んだ、そのことでしたら、ここから2つ目の駅の新木場駅近くに私の知り合いのイベント設営会社がありまして、そこはエーベックスのアーティストコンサート会場のイベント設営も手掛ける老舗しにせですから今すぐにでも紹介しますか?」

僕は先日、グレアム王子から貸して頂き、
速攻でダンジョン横横で片岡さんオフィスのコピー機を貸して頂きコピーした宮邸の図面を3階の部屋から持って来て、早速!片岡さんに見せた。

「へえ~アッチの世界でもこんなに正確な見取り図やら舞台観客席の予想図を手書きで描き起こすのか、凄いね、異世界も」

「じゃあ、近いですから車用車の黒のバーンで行きますから、今用意します」

「いや~、僕のダンジョンで移動した方が断然早いですよ」

僕は今では日常でバンバンとダンジョン何処でもドアを使いまくっているので、もはや当然な感じで片岡さんに言った。

「ああ、そうですね。
私とだったらダンジョンを使うことが出来るから、ホント自分は役得なんですね」

そうなんだよな。

片岡さんはダンジョンに選ばれし者だから大丈夫だけど、
だけど、ダンジョンから拒絶された人と一緒だと、この便利なダンジョンこと何処でもドアが使えないから、地球上の大部分の人には無縁の宝物ですね。

そう言えば、何処まで離れた所に行くのがダンジョンは有効なのか?
と、世界旅行まで試そうとして、
ああ、そうか既に時空を超えて異世界に簡単に行き来してるのだから、
ホント何処でもドアか~と、脳内会議終了しました。

「そうですよね。こっちの世界では今の処、僕と片岡さんと西田さんの3人だけですからね」

すると、片岡さんが「もう一人います」

と言ったので「誰ですか?」と尋ねると

「ウチの親父です」

と頭を掻きながらも誇らしげに教えてくれました。
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