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埼玉県警と本警が小競り合い!の中、我々はUFOへフェードイン!

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「あの~警察のものですが、ちょっといいですか?」

わたしは、はい、只今行きます、みたいなことを言いながら、オーランド系にどっち?ホンケイ?どっち?と聞きながら玄関に近付いていった。

「彼らは埼玉県警です」

オーランド系の答えを聞いて、半分、ほっとしながらも、もう直ぐ着きます、と言う言葉もしっかり思い出しながら、用心深く玄関のドアを開けた。

玄関には30代前半くらいの警官が立っていて、後ろにはまだ真向かいの吉田さんと話しているオバさんと警官の後姿が見えた。

「あ、すいませんね、あの、前のお宅の吉田さんから言われましてね、その、何か怪しい外人さんがこの辺をうろついていて、で、工藤さんが、何か知っているのではないかと話されましてね」

「はあ、私は特に、その、怪しい外人さんのことは知りませんけど、で、何か事件でもあったんですか?」

「いえ、ただ、昨日の夜に、この辺で凄い光か閃光を目撃したって言う電話が殺到しましてね、その中で、特に多かったのが、怪しい外人のカップルのことと、工藤さんが何か関係があるのでは、と言うことなんですよ、すいませんね、気分が悪いとは思いますが、その、昨夜のことを詳しくお聞かせ願いませんかね」

30代の警官は、そう言って穏やかに話してはいたが、半分、早く終わらせたいといった態度で、なんの事件性もないんじゃないのか、みたいな変な諦めみたいな態度で私に接していた。

「あの、ここで、立ち話でもいいんですか?それとも警察署までご同行したほうが良いのでしょうか?」

わたしが、そう言って相手も出方を待っているときに、

「工藤さんですか?」

と、左側の大通りから背広を着た、いかにも刑事ですみたいなイカつい男二人がのっしのっしと歩いてきた。

咄嗟(とっさ)に、こいつらは本警の奴らだと分かったが、どう対処していいか判らず、はい、そうですが、とだけ答えた。

「あなた達は、どちらさまですか?」

先ほどまで話していた警官が、突然現れてきた二人の背広男に対し質問した。

「あなた達には関係ありません、で、あなたが工藤さんですね」

一人の短髪の、いかにも柔道とかやっていそうな、高圧的な男が私を睨みながら質問した。

「あの、どちらの?」

と若い警官も、突然の割り込みに対し、カチンと来たみたいで、私と短髪男の前に立ちはだかった。

「君たち、埼玉県警の警察官でしょう?内容は聞いているけど、こっちのほうが重要なので、邪魔しないでくれないかな」

今度は単発ではなく七三っぽい髪型の細身の刑事が、事務的な感じで若い警察官に話しかけた。

「こちらには一切の説明も無いのですが」

埼玉県の警察官と東京の刑事が、自分の家の玄関先で険悪な状態に陥っている様は、初めてだし、本当に困ってしまった。

それよりも茶の間には彼らが探している怪しい白人が行儀よく座っているのだし、もしもこのまま我が家に突入されたら、そして見付かってしまったら、この先どうなることやら、と、ことが大きくなるのがホント否だった。

それでなくても近所の人々が私の玄関先で押し問答している警察と刑事、そして、パトカーももう一台、今度は私の家の前に停まって、中からまた警官が出てきて、赤のサイレンがくるくると回る光を近所にぶちまけながら、事態を悪化させていった。

「とにかく、工藤さんの身柄は私らが拘束しますから、いいですか」

と、細身刑事が半分強引に私の腕を掴んだ。周りの近所の野次馬達も「うわ~」とか言って声を上げていた。

私も腕を掴まれて、予想以上の握力に思わず痛いと言ってしまった。

その時、唐突に辺りが昼間のように明るくなり、私は、今度は工事現場の照明機付きのトラックでも来たのかと辺りを眩しい中、見回してみた。

「あれだよ、昨日の、あれだよ、お巡りさん」近所のオジサン、オバサンが上空を指差した。

マジかよ!こんなときに、オーランド系とキャメロン系は昨日と同じ空飛ぶ円盤UFOを私の家の上空に出現させてしまったのだ。で、これのお陰と言うか、短髪の柔道黒帯刑事の掴んだ手も離れて、驚きと恐れ戦く刑事、警察が上を向いている隙に、玄関から白人二人が出てきて、私を挟んで家の前の道路に出た。

この人たちよ、あの外人だよ、やっぱり工藤さんの家に居たんじゃないか?とか一斉に近所の野次馬どもから言われたが、しかし、凄い展開に、ところどころ悲鳴も上がっていた。

「これは、最高にまずい展開ですよ、どうするんですか?」私はオーランド系に泣きそうな顔で言った。
「すいません、しかし、どうころんでも事態は悪化するばかりなので、とりあえず手を上げてもらえませんか」

「は?」

私はこんな状態で、まさかのさっきDVDで見たUFOにフェードインみたいに入るのを思い出し、思わず二人を見詰めたが、二人とも何の躊躇もなく右手を上げたから、左手じゃないんだ、と頭の片隅で思いながらもつられて思わず右手を上げてしまった。

光の洪水と言うか、円柱のようなものが三人に当たり、身体が一瞬重さを忘れさせる、例えて言うなら飛行機の離陸のときのフワッとした感じを味わったかと思うと、ゆっくりとだがスムーズに上がっていって、気付いたら高層のマンションの部屋みたいなところに立っていた。しかし、やっぱりというか、地上では近隣の野次馬ジジババの罵声と悲鳴とサイレンの音まで鳴らされて、町の祭り以来の賑(にぎ)やかさが煩(うるさ)かった。

「この中が、UFOの内部ですか?」

私は地上三〇メートル?の円盤の中で、妙に寛(くつろ)いでいる自分を感じた。

「一応、工藤さんのご不便はかけない空間にはなっていますので、何かありましたら何なりとご用命ください」

と、オーランド系は執事のように丁寧な口調で話した。

私はそして、窓のほうに移動して、顔を出して下を見た。近所の野次馬や警察や刑事が一斉に光り輝く円盤を眩しそうに見詰め、拳銃を構えている刑事までいた。

しかし、下の喧騒は抜きとして、全然、UFO本体からの音がしないのにも驚いていた。

「この円盤はどんな動力源で出来ているの?ていうか、我々地球人では考えも付かないテクノロジーだから説明しても分からないか?」

ほんと、地上から上空30から50メートルの空間に微動だにせず留まっている円盤は凄すぎるに値するし、何よりも、目の前で宇宙人なのか、地球人に化けた異星人がホント目と鼻の先の埼玉県のご近所で見ちゃったのだから、映画でもこんな奇想天外なシーンはないんじゃないかな?

しかし、いつまでもこのまま、地上30メートル付近で避難していたって、今度はヘリコプターが来たり、自衛隊が来たり、もっともっと大袈裟になること間違い無しだ。

そうこうしているうちに、下の様子を見ていたら警察官たちは私の家の中に勝手に入りだした。

「これで、今更、穏便には済まされないだろうね。自首するといっても、私が何か悪いことをした訳でもないし、でも、人々を混乱させたか」

私は事態の深刻さと、しかし、今でも何と無くピンと来ない自分との狭間で揺れていた。

「こうなったら、成すべき事は一つですね」

オーランド系が私を真っ直ぐに見てそういう。

「どのような事態であれ、遅かれ早かれこのようになることは私たちは分かっていました。
これからも我々は全力を尽くして、工藤さんをバックアップしていきます」

キャメロン系も青い瞳なのか、グリーンの瞳なのか分からないがきらきらした瞳で、感動的に私への協力を惜しまない、激励の言葉を頂いたが、正直、頭の中が色々なことで、一杯になり途方に暮れていた。

あ、やばい、昨日借りていた新作のAVのDVDが今日返却日だ、返さないと、延滞金払わないといけないな~

とか、今頃、警察は自宅にあるエロ本やAVビデオなんかを物色しているのだろうな~格好悪いな~と、

恥ずかしいやら照れるやらで、力なく近くのソファーに座ろうとしたら、今度はヘリコプターの音が微かに、しかし着実に近付いて来た。
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