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異星の知的生命体は究極の自己犠牲を選択する

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「長きに渡り、繁栄してきた我々は、それでもまだまだプラス思考の基、合理主義の基、生き続けようとする側に対し、そんな余りにも自分だけを考えた、思考に対し真っ向から否定する考えを芽生えさせた精神思考組が、水面下で増え続けていきました。

我々と他のあらゆる生命体との共存とは?

その考えに戻る時、必ずと言って良いほど行き着くのは、知的生命体になれば、最終的には他の生命を取り込みながら生きていく意義にこそ疑問を持ち、だからこそ、他の生命体に負荷をかけない生き方を考えるに至り、その究極な答えは、我々が生きてここに存在しない事こそが、一番である事に終結してしまうのです。

この考えに対し、合理主義者は、集団自殺願望と名付け、一種の精神的な病気であると位置づけたものです。

確かに、最終的には我々が存在しない方が、他の生命体が維持し続け、永久にではないが、それでも我々の様な自分勝手な生命体により、数が少なくなったり、絶滅の危機に陥ったり、もしくは既に絶滅していたとして、そのことが免れていたかもしれないのです。

面白いもので、そのような精神構造を獲得し、あなた達の用語で言うのならば、自己犠牲の精神を獲得し始めた時に、今まで7万年も、運が良ければそれ以上の寿命を授かっていても、いざ自分が死んでしまうと言う時の恐怖が、綺麗に感じなくなってきたのです。

誰かの為に自分が犠牲になる、それが同じ種族では無く、全く無関係な、しかし、同じ宇宙空間では繋がっていると言う、嘗て感じた事の無い一体感、それは広大な宇宙と宇宙空間に漂う恒星と惑星とが、自分の一部として感じ始めたからに違いありません。

全ての事象は繋がっていて、意味があるのかもしれません。

その感覚を味わってしまうと、物質社会の思考からまるで悪い魔法から解かれた感じで、精神もですが、身体もかなり軽くなった事を今でも思い出します。

実際、軽くなったのは事実ですし、それは、精神と肉体が二つに離れたからこそ味わった軽さなのだと思います。

肉体と言う不自由な錘から自由になった瞬間から、我々は2種類の種族に完璧に変わってしまいました。

そして、肉体を離れ、精神を向上させることこそが知的生命体が行き着く、次のステップである事を我々は即座に理解し、次の世界に我先に突き進みました。

その体験は、経験した者でないと分からないし、分かり合う事は出来ないものなのです。

それは、差別ではありません、しかし、明確なランク付けが精神世界の中ではありました。

それに気付くかどうかなのですが、なかなかそれに気付く事が出来ない者が多いのも事実です。

そして、気付く事の出来ない者ほど、不安と焦りが精神を支配し、もっとレベルの低い精神世界へと落ちていきます。

宇宙は生きた生命体の活躍する場では無かったのです。

いえ、なんと説明すれば良いのでしょうか、物質社会の発展よっても宇宙空間に出る事は出来ますが、それには膨大な設備が必要となり、それだけの負荷がかかる世界とは、その生物はもともと、そこには不必要な世界なのです。

ですから、あえて宇宙空間だったり、他の星に移住する考え自体が無なんでしょう。

我々は、今までそれが正しかったと考えていた我々の為の、我々だけが全てと言う傲慢であり、その傲慢さをモノの見事に覆い隠し、さも正当な考え方であると言う合理的な考えを、全て捨てる時が来たのだと、精神世界に目覚めた者たちが、数は圧倒的に少ないのですが、集まりだし、何もしないと言う日々を過ごして行きました。

この事自体が、今までの我々の歴史始まって以来の行動パターンであり、このことは、今現在の社会にあってはならない生活様式でした。我々は、不幸な事故でもない限り、誰もが同じ能力を先天的に備わって産まれて来ましたし、だからと言って、我々は馴れ合いの精神と考え方で生活する事は考えなかった、ある意味では生まれながらの勤勉な生活者だったのかもしれません。

実際、我々は本来なら、毎日、働なくても充分社会が回っていくであろうシステムを、かなり以前の昔から構築していました。

それもこれも、ただ単に我々は楽をしたかった訳では無く、合理的な働き方や、我々一人ひとりが最大限の能力を発揮し、どれだけの成果をどれだけの時間内に出せるのかだけを、考えてみたら、子供の頃から癖の様にお互いがお互いを監視し合いながら挑戦して行ったのでしょう。ですから、無駄な動きや、無駄に時間を過ごすと言う事は、罪悪であり、と言うよりも、性格上出来なかったのです。

ただ、長時間、何もしないでぼーっとしているということが、本当に耐えられない種族だったのかもしれません。

そして、そんな生活と考え方が、我々を自己都合に特化した真面目な厄介者に増幅して行ったのでしょう。

そして、そのことに、そんな生き方こそが、諸悪の根源と気付き始めてた者達が、何日もなにもせず、とは言え、精神世界に深く深く入り込んで言った者達は、まるで、我々が今まで生きて来た歴史を遡(さかのぼ)るかのように、現代から過去へ過去へと自己の分析だったり、我々の歴史自体の分析だったりを各々が探求し分析して行きました。

そして、ある一定の期間が過ぎますと、その個々人の調べ上げた成果を発表する会合が、最初は一カ所で行ったのが、同時期に二カ所、そして、次は四カ所、と言う様に、その発表会のような会合が同時に始められる時には、決まって倍、倍の数に膨れ上がっていき、その数の多さと熱心さは、まったく理解を示さない者たちにとっては、恐怖の対象以外にしか見えませんでした。

そして、精神世界の探求者となった者たちは、遂に自己犠牲の境地に達して行くのです。

知的生命体の究極の到達点とは、次に知的生命体になるべく生命に対しての、手助けであり、補助なのです。

ただ、ここに我々の今までの文化や文明や思想などは一切介入してはいけないのです。

ですから、もしも、発展途上だが独自の進化を構築しつつある知的生命体に対しては、ある一定にレベルに到達するまでは、辛抱強く、身守ったり、彼らの思想や文明を理解しなくてはなりません。

それがどれだけの時間がかかろうとも、決して急いではいけませんし、余計な事は一切出来ないのです。

それは文字通り、我々でさえも、手が出せないような仕組みに上手い具合になっているのです。

我々は、我々の今までの思考パターンと、歴史を再調査し、再認識し、そして、全ての考えを無に返す事を選びました。

それは、本来であれば、過去の自己を全否定する事なのですから、かなり辛い行為であるはずなのに、そんな気持ちにはならないで、まるで今まで来ていた窮屈で汚い、時代遅れの服を脱ぎ捨てると言うような、しいて言えばそんな感覚を味わったほどでした。

そこからの我々は、精神世界の探求に熱心になり、今までの生活からは、まるで世捨て人状態に傍(はた)からは思われていた事でしょう。

しかし、もう、我々は止める事は出来ませんでした。

そして、精神世界へぼっとうする人数が徐々にですが、年月を積み重ねていくうちに増え続け、ある一定の数を超えた時に、爆発的に増え始めました。

今思えばですが、我々がこのように、比較的に穏やかに精神世界の探求が出来たと言う事は、今までの我々の社会システムが知的生命体の中では、極めて優れていたのでしょう。

そしてもう一つには、我々の世界に差別意識が一切なかったことも、幸いしていたのかもしれません。

同じ外見上だし、同じ能力と言語を共有しているのですから、まさか中身が、もう理解の範疇を超える程の隔たりを持った存在になっていようとは、想像すらできなかった事と思います。

ですから、その発見が遅くなったのが幸いしたのか、それとも更なる不幸を助長したのかはともかくとして、我々は、そして、究極の世界観、生命としての精神構造から、精神から離れての、完全な自由な状態の精神へと段階を踏んで行きました。
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