お願い先輩、死なないで ‐こじらせリーマン、転生したらアルファになった後輩に愛される‐

二ッ木ヨウカ

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何が悔しいってこれ入れるだけの体力ないのに出さないと寝れないみたいな状態になってるってことでライオンの雄に少しだけ同情したわアルファになって

「あっ、は……うぅっ……」

 しばらくぶりの快感に体を震わせ、佐久間の手の中に精を吐き出す。はあ、と息を吐きながら目を開けると、視界に入ってきた佐久間は悪戯っぽく目を細めていた。

「いっぱい出ましたね。先輩、何日ぶりなんですか?」
「……い、いいだろ、別に」

 背中を向けようとすると、「待ってください」と佐久間が上に乗ってきた。ごりっ、と硬い膨らみを太腿に押し付けられる。

「えっと……あれ……俺がイったらフェロモンの放出も終わるから、佐久間くんが寝れるっていう話だと思ってたんだけど……」
「僕もそう考えてたんですけど……ちょっと無理みたいですね」

 そう言いながら佐久間は岸尾のズボンを引き下ろした。まだ熱を持った精液を岸尾の足の間になすりつけ、自分もじれったそうに服を脱ぐ。

「あの、安心してください、入れたりはしないんで」
「え、佐久間くん?」
「ちょっとすいません、足貸してください」

 そう言って佐久間は岸尾に抱きつき、全身を密着させてきた。太腿の間、ちょうど岸尾が吐き出したものを塗りつけられた部分に、熱い塊が割り込んでくる。
 それが佐久間の屹立だ、と気づいた岸尾は思わず「わっ」と声を上げて膝を合わせた。

「あ、先輩、それ気持ちいいっす」
「えっ、こ、こう……?」
「そう」

 答える佐久間の、弾む息が耳にかかる。腰が振られるたびに、岸尾の間に挟まったものが動き、濡れた音を立てた。達したばかりの敏感な部分が佐久間の腹にぶつかった岸尾が身をよじると、それに佐久間が上ずった声を上げる。耳から入った甘い響きは、岸尾の中をまた熱くさせてきた。

「ん……気持ち、いいの……?」
「先輩、いい……あ、んっ」

 艶めいた声を上げ、腰を打ち付けてくる佐久間の背に左腕を回す。互いに汗ばみ、張り付きあうような肌の下に、佐久間の筋肉の動きと、弾けそうな熱を感じた。それを一層強く伝えてくる塊が、股間で擦れあっている。そのまま強く力を込め、岸尾は自分からも体をくっつけた。必死に求められているということ、自分の体で快感を与えているということ、二つの事実がないまぜになって、糖蜜のように全身を満たしていく。

「さくま、くん……」

 名前を呼ぶと、熱に浮かされたようにとろりとした佐久間の目が岸尾を見た。その唇に、今度は自分からキスをする。さっきされたのと同じように、唇を何度も押し付け、それから舌を入れて佐久間の舌先をつつく。
 吸い寄せた舌を柔らかく噛んでいるうちに、岸尾のものはまた固さを取り戻していた。

「ん……んっ、はぁ……佐久間、俺も……」

 脚の間を出し入れする動きに合わせてぎこちなく腰を揺さぶり、先端で佐久間の腹をつつく。汗や汁でぬめった皮膚が触れ合い、ぞくぞくとした気持ちよさが背中を走っていく。

「せんぱい」

 熱く掠れた声で呟き、佐久間は体を離した。ずるりと熱いものが足の間から抜かれる。不安になった岸尾が思わず佐久間の背中に爪を立てると、「そんな顔しないでくださいよ」と佐久間の手が頭を撫でていく。

「今度は、一緒に……気持ちよくなりましょう、ね?」

 そう微笑んだ佐久間の手が、二人のものをまとめて握りこんだ。じかに触れあう熱さに、「ひゃん」と岸尾の体がびくつく。

「あ、熱い……」
「先輩が興奮させてきたせいですからね」

 ゆっくりと、佐久間の手が上下に動く。固く、熱く濡れそぼった興奮が、さっきまでよりも鮮烈に伝わってきて、目の前がくらくらするようだった。

「ふぁ、あっ……うう……」

 きもちいい。もっと。何かを佐久間に伝えたいのに、押し寄せる波のような感覚に考えがまとまらない。追い立ててくるような佐久間の手の動きに、ただ口から小さな声が漏れていく。

「あ、あっ、ああ……」
「先輩っ……もう、我慢できない……」

 佐久間の切羽詰まった声と、苦しそうな表情が限界の近さを訴えていた。さっきより敏感になっている部分を容赦なく責められ、強制的に再度の頂点へと導かれていく。二人の竿が一本になり、同じ快楽に喘いでいる気がした。

「あ、いく……」

 不意に低く発した佐久間が、岸尾の上に身をかがめてきた。貪るように唇が重なった瞬間、岸尾と触れ合った佐久間の屹立がひときわ大きく膨張し、そして弾けた。

「……っ!」

 熱いものが岸尾の腹の上に飛び散る。言葉を発しようとすると、佐久間の舌が岸尾の下と絡み合った。岸尾のものを責める手の動きが一層激しくなる。先端の裏、上顎、歯の裏、感じるところを同時に刺激され、岸尾は二度目の絶頂に追い込まれた。

「んん……!」

 体を震わせ、さっきよりも量の少ない精液を吐き出す。二度、三度とひくついた岸尾の竿が完全に力を失った頃、ようやく佐久間は口を離してくれた。はふ、と力尽きたように岸尾の隣に倒れ込む。

「……先輩、すっごく……よかったです」
「お……俺、も」

心地よい疲れの中で、そう口にする。同じことをしているはずなのに、自分でやる時と、佐久間に触られている時では気持ちよさが全然違った。

「よかったぁ」

 そう笑みを浮かべた佐久間の目が細くなり、そしてすうっ、と閉じられる。
 一呼吸おいて、寝息が聞こえ始めた。

(……寝ちゃった)

 睡眠不足で限界だったのだろう。振り回してしまって申し訳ない、と考えなくてはいけないと分かっているのに、佐久間に触ってもらえて嬉しいという想いのほうが強くて、全身が落ち着かない。お腹の上に垂れた液体を指先でつつき、夢ではないことを確認する。

「ん……ふふ」

 眠ってしまった佐久間の頬に軽くキスをして、岸尾は立ち上がった。いつの間にか部屋の中には夕暮れが迫っており、壁に真っ赤な夕日が差し込んでいる。

(こんな時、部屋に風呂があればなあ)

 佐久間と住んでいた、テルラの部屋が懐かしい。自分の体を濡れタオルで清めた岸尾は、それから佐久間の分のタオルを持ってベッドに戻った。
 汗が冷え、ベタつく身体を拭いていく。夕日に照らされた佐久間の身体には、やや古めのものから新しいものまで、いくつもの傷や打撲痕などがあった。

(ここに来るまで、苦労させた……よな)

 それでも、来てくれた。

 よいしょ、と佐久間の身体をひっくり返し、むにゃむにゃという呟きを聞きながらうつ伏せにして背中も拭く。服を着せたい気もしたが、そこまでするのは難しそうだし、起こしてしまいそうな気がするのでやめにする。自分も裸のまま佐久間の横に戻り、布団を被った。指先を絡めると、先程その手が何をしたかを思い出し、ふわふわと全身が浮かぶような心持ちになる。部屋に最初からついていた安物のベッドが、突然高級になったようだ。

 まだ寝るには早すぎる時間である。だから、こうやってしばらく横にいるだけ――のつもりだった。
 佐久間の匂いに包まれて目を閉じる。そのうちに浮かれていた身体はゆっくりと沈んでいき、そして意識とともに深く溶けていったのだった。


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