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先輩ウーパールーパーに似てるから腕くらいまた生えてきても全然おかしくないですけどねそういえばあいつってアホロートルって本名らしいですが先輩に
窓の外では陽月の前に隠月が並び、金環日食のような見た目になっていた。新月ほどではないが一番夜が暗くなる時期、陰の食というやつだ。
キュビリエの街と部屋は、何もかもいつも通りに帰ってきた岸尾たちを迎え入れた。街を渡る海風も、路地の饐えた匂いも、埃っぽい室内も、朝洗って干した食器も、何一つ変わっていない。まるで今日岸尾と佐久間がささやかな――だが命がけの――救出劇に行ってきたことなど夢のようだった。
だけど、と思いながら佐久間は黒い鱗を月に翳した。この逆鱗と、少し早い心臓の音が、あれが嘘ではなかったと教えてくれる。
黒竜の逆鱗は手のひらほどのひし形をしていて、薄い貝殻のような手触りと光沢を持っていた。夜よりも黒く濡れた質感の表面が、月光に照らされて円く虹色に光る。
この世界に来なければ、見ることもなかった輝き。いや、きっとこの世界にいても、岸尾一人では見ることもなく一生を終えていたあろう。それが今、手の中にある。
大したことをしたわけではない、と思う。だが、竜が逆鱗をくれたのだと思うと、心の中が満たされた気がした。
「佐久間くん、今日は……付き合ってくれてありがとう」
黒い輝きを見つめながら言うと、「全くですよ」と佐久間がハーブティーを淹れる気配がした。
「ま、あの二匹も無事南に行けてよかったんじゃないですかね」
「ということは、俺の右腕も今頃南の海上にいるわけかな」
「……すげえ答えにくいんですけど、そういうの」
隣を振り向くと、渋い顔をした佐久間がハーブティーを啜っていた。椅子を引きずってすぐ隣に移動する。
「そうかな。なんか……ワクワクしないか? 俺はここにいるのに、同時にドラゴンの一部になった俺が世界を旅してるんだぞ?」
「先輩がそう思うんならそれでいいですけど」
理解しがたい、と首を振った佐久間が、ため息をついてコップを机に置いた。
「でも良かったですね、これ使えば右腕生えてくるんじゃないですか?」
「え? うーん……」
岸尾は言い淀んだ。常識的に考えれば人の腕なんて生えてこないが、ドラゴンがいて魔法があるこの世界に岸尾たちの常識は通用しない。腕くらい再生するかもしれなかった。でも。
「試してみないんですか?」
「できれば……この鱗は、このまま取っておきたいんだ」
黒曜石の剥片のような鱗を胸に抱く。横を見ると、宇宙人でも見るような顔で佐久間が固まっていた。
「あっ、い、いや、二人で手に入れたものだし、もしあれなら、その、ちゃんと売却して利益を山分けに」
「いや、先輩が貰ったものですし、それはいいんですけど。ただ、ちょっと意味分かんなくて……え? 腕が生えてくるかもっていうのに何もしないんですか?」
「……今日のことが、嘘じゃなかったって思いたいんだ」
ツルツルした表面に触れると、硬い質感がしっかりと指先を押し返してくる。
「使っちゃうと、もう今日あったことは自分の記憶の中にしか残らないだろ。そうなると、後で本当のことだったのか自信が持てなくなっちゃう気がして……」
「記念に残しておきたいってことですか」
「う……うん」
「……それが、先輩にとって腕やお金より重要なんですね」
首肯すると、ふん、と佐久間が鼻を鳴らした。昼間のドラゴンを思い出し、岸尾は思い出し笑いをした。僕にも見せてください、と伸びてきた左手に逆鱗を手渡す。その手首からは、ずっと結ばれていた組紐が消えていた。
「あれ」
自分の腕に目を落とすと、そこからも黒い組紐は消えている。いつ落としてしまったのかは分からなかったが、もうボロボロだったのだから切れたのも不思議ではなかった。
「どうしました、先輩」
「いや、再会のまじない、なくなっちゃったな、って」
佐久間の手首に指を伸ばし、突き出た骨の部分に触れる。
「ああ、胸のところに爪が刺さった瞬間、バチーン! って吹っ飛んでいっちゃいましたからね。いやー、本当に効力あるとは驚きましたよ」
逆鱗をひっくり返して眺めながら、事もなげに言い放つ佐久間。あっけらかんとした様子にイラッと来た岸尾は、佐久間の腕に軽く爪を立てた。
「そういえば……なんで、ドラゴンの前なんかに飛び出してったりしたんだよ。それがあったから良かったけど、それでも無事でいられる保証なんてなかったんだぞ」
うーん、と佐久間は少し考え込み、それから吹っ切れたようにへらりと笑った。
「だって、僕があそこで死んだら、先輩は僕のことずっと覚えててくれるでしょ?」
突然の言葉に、ぐらりと足元が崩れたような、裏切られたような気がした。爪を立てたまま手首を握ると、ごとりと机の上に逆鱗が落ちる。
「痛いんですが」
「……なんで、そんなこと言うんだよ……す、好きって、置いてかないでって言ったのはそっちだろ、なのに」
岸尾がいなくなって悲しかったのではないのか。どうして自分も同じことをしてこようとするんだ。苛立ち、悲しみ、憤り、形容しがたい感情を表現しきれず、佐久間の肩口に頭突きをする。食い込んだ指先を外そうとしてくるので、必死になって力をこめた。
「そ、そりゃ死んだら一生覚えてるよ! 覚えてるだろうけど、俺は佐久間くんのこと、そんな思い出になんかしたくない。一緒に笑って、喋れる……生きてる佐久間くんとずっと一緒にいたいんだ」
左手を引き剥がそうとする力が弱まり、岸尾は爪を立てないように握り直した。目が熱くなってきて、だが手は離したくなくて、佐久間の肩に頭を押し付ける。
左手にかかった佐久間の手がゆっくりと離れ、岸尾の背中に置かれた。ケーキでも持つかのような、柔らかい手つきだ。
「……それは……どういう意味ですか」
「言った通りの意味だよ!」
顔が熱くなってくる。これ以上の説明はしたくなかった。顔を押し付けたまま答えると、困惑したように指先が背中をなぞる。
「先輩、僕が好きって伝えても『うん』としか返してくれなかったですし、何か行動で示してくれるわけでもなかったですよね……? 挙句の果てに、もう危ないことはしてほしくないって言ってんのに『死ぬかもしれないけど一緒にドラゴン助けに行こう! 嫌なら俺一人で行くね!』って脅迫してきたじゃないですか。僕のこと、好きでも何でもないんだと思ってましたが」
「そ、それは……そっか……」
(なるほど、佐久間目線で考えるとそうなるのか)
胸に氷を突き立てられたような感覚に、一気に全身が冷たくなった。佐久間に好意を抱かれている、ということに浮かれてしまっていて、自分の気持ちも伝えなければいけない、ということも、佐久間本人のことを思いやることも完全に忘れてしまっていた。佐久間は指摘してこなかったが、性処理だって手伝わせている。こうやって見ると、人の好意にあぐらをかいたクソ野郎でしかない。
キュビリエの街と部屋は、何もかもいつも通りに帰ってきた岸尾たちを迎え入れた。街を渡る海風も、路地の饐えた匂いも、埃っぽい室内も、朝洗って干した食器も、何一つ変わっていない。まるで今日岸尾と佐久間がささやかな――だが命がけの――救出劇に行ってきたことなど夢のようだった。
だけど、と思いながら佐久間は黒い鱗を月に翳した。この逆鱗と、少し早い心臓の音が、あれが嘘ではなかったと教えてくれる。
黒竜の逆鱗は手のひらほどのひし形をしていて、薄い貝殻のような手触りと光沢を持っていた。夜よりも黒く濡れた質感の表面が、月光に照らされて円く虹色に光る。
この世界に来なければ、見ることもなかった輝き。いや、きっとこの世界にいても、岸尾一人では見ることもなく一生を終えていたあろう。それが今、手の中にある。
大したことをしたわけではない、と思う。だが、竜が逆鱗をくれたのだと思うと、心の中が満たされた気がした。
「佐久間くん、今日は……付き合ってくれてありがとう」
黒い輝きを見つめながら言うと、「全くですよ」と佐久間がハーブティーを淹れる気配がした。
「ま、あの二匹も無事南に行けてよかったんじゃないですかね」
「ということは、俺の右腕も今頃南の海上にいるわけかな」
「……すげえ答えにくいんですけど、そういうの」
隣を振り向くと、渋い顔をした佐久間がハーブティーを啜っていた。椅子を引きずってすぐ隣に移動する。
「そうかな。なんか……ワクワクしないか? 俺はここにいるのに、同時にドラゴンの一部になった俺が世界を旅してるんだぞ?」
「先輩がそう思うんならそれでいいですけど」
理解しがたい、と首を振った佐久間が、ため息をついてコップを机に置いた。
「でも良かったですね、これ使えば右腕生えてくるんじゃないですか?」
「え? うーん……」
岸尾は言い淀んだ。常識的に考えれば人の腕なんて生えてこないが、ドラゴンがいて魔法があるこの世界に岸尾たちの常識は通用しない。腕くらい再生するかもしれなかった。でも。
「試してみないんですか?」
「できれば……この鱗は、このまま取っておきたいんだ」
黒曜石の剥片のような鱗を胸に抱く。横を見ると、宇宙人でも見るような顔で佐久間が固まっていた。
「あっ、い、いや、二人で手に入れたものだし、もしあれなら、その、ちゃんと売却して利益を山分けに」
「いや、先輩が貰ったものですし、それはいいんですけど。ただ、ちょっと意味分かんなくて……え? 腕が生えてくるかもっていうのに何もしないんですか?」
「……今日のことが、嘘じゃなかったって思いたいんだ」
ツルツルした表面に触れると、硬い質感がしっかりと指先を押し返してくる。
「使っちゃうと、もう今日あったことは自分の記憶の中にしか残らないだろ。そうなると、後で本当のことだったのか自信が持てなくなっちゃう気がして……」
「記念に残しておきたいってことですか」
「う……うん」
「……それが、先輩にとって腕やお金より重要なんですね」
首肯すると、ふん、と佐久間が鼻を鳴らした。昼間のドラゴンを思い出し、岸尾は思い出し笑いをした。僕にも見せてください、と伸びてきた左手に逆鱗を手渡す。その手首からは、ずっと結ばれていた組紐が消えていた。
「あれ」
自分の腕に目を落とすと、そこからも黒い組紐は消えている。いつ落としてしまったのかは分からなかったが、もうボロボロだったのだから切れたのも不思議ではなかった。
「どうしました、先輩」
「いや、再会のまじない、なくなっちゃったな、って」
佐久間の手首に指を伸ばし、突き出た骨の部分に触れる。
「ああ、胸のところに爪が刺さった瞬間、バチーン! って吹っ飛んでいっちゃいましたからね。いやー、本当に効力あるとは驚きましたよ」
逆鱗をひっくり返して眺めながら、事もなげに言い放つ佐久間。あっけらかんとした様子にイラッと来た岸尾は、佐久間の腕に軽く爪を立てた。
「そういえば……なんで、ドラゴンの前なんかに飛び出してったりしたんだよ。それがあったから良かったけど、それでも無事でいられる保証なんてなかったんだぞ」
うーん、と佐久間は少し考え込み、それから吹っ切れたようにへらりと笑った。
「だって、僕があそこで死んだら、先輩は僕のことずっと覚えててくれるでしょ?」
突然の言葉に、ぐらりと足元が崩れたような、裏切られたような気がした。爪を立てたまま手首を握ると、ごとりと机の上に逆鱗が落ちる。
「痛いんですが」
「……なんで、そんなこと言うんだよ……す、好きって、置いてかないでって言ったのはそっちだろ、なのに」
岸尾がいなくなって悲しかったのではないのか。どうして自分も同じことをしてこようとするんだ。苛立ち、悲しみ、憤り、形容しがたい感情を表現しきれず、佐久間の肩口に頭突きをする。食い込んだ指先を外そうとしてくるので、必死になって力をこめた。
「そ、そりゃ死んだら一生覚えてるよ! 覚えてるだろうけど、俺は佐久間くんのこと、そんな思い出になんかしたくない。一緒に笑って、喋れる……生きてる佐久間くんとずっと一緒にいたいんだ」
左手を引き剥がそうとする力が弱まり、岸尾は爪を立てないように握り直した。目が熱くなってきて、だが手は離したくなくて、佐久間の肩に頭を押し付ける。
左手にかかった佐久間の手がゆっくりと離れ、岸尾の背中に置かれた。ケーキでも持つかのような、柔らかい手つきだ。
「……それは……どういう意味ですか」
「言った通りの意味だよ!」
顔が熱くなってくる。これ以上の説明はしたくなかった。顔を押し付けたまま答えると、困惑したように指先が背中をなぞる。
「先輩、僕が好きって伝えても『うん』としか返してくれなかったですし、何か行動で示してくれるわけでもなかったですよね……? 挙句の果てに、もう危ないことはしてほしくないって言ってんのに『死ぬかもしれないけど一緒にドラゴン助けに行こう! 嫌なら俺一人で行くね!』って脅迫してきたじゃないですか。僕のこと、好きでも何でもないんだと思ってましたが」
「そ、それは……そっか……」
(なるほど、佐久間目線で考えるとそうなるのか)
胸に氷を突き立てられたような感覚に、一気に全身が冷たくなった。佐久間に好意を抱かれている、ということに浮かれてしまっていて、自分の気持ちも伝えなければいけない、ということも、佐久間本人のことを思いやることも完全に忘れてしまっていた。佐久間は指摘してこなかったが、性処理だって手伝わせている。こうやって見ると、人の好意にあぐらをかいたクソ野郎でしかない。
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