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これでやっと僕のものですよ分かってますか今までずっとそう言ってくれるの待ってたんですからねまあもう離しませんけど本当に理解してるんでしょうか
先程までは感じなかった、嫌な汗が佐久間と手のひらの間でベタつくのを感じた。
「……ごめん、佐久間くんのこと、何も考えてなかった」
肩から顔を離し、佐久間の膝のあたりを見ながら言葉を絞り出す。ぴくりと背中に触れる佐久間の指先が震えた。
「まあ……良かったですよ、先輩が僕のこと好きなんだって事がちゃんと分かって」
ため息とともに降ってくる、突き放すような、諦めたような佐久間の言葉に、さらに心を抉られる。
(俺、ずっと、自分のことしか考えてこなかったのか……)
言われてみればそうだ。佐久間に勝手に劣等感を抱いて、勝手に逃げ出して。苦労して会いに来てくれたというのに、その気持ちにきちんと向き合うこともしなかった。そして自分の虚栄心とつまらない満足感のために佐久間を振り回して、彼の命まで危険にさらしていた。
(いや、その前、前世で……学校へ行って、会社で働いているときからずっとこうだったか)
頑張っていた、とは思う。でもそれは誰かの役に立ちたい、困っている人を助けたいといった殊勝な気持ちからではない。ただ、自分を認めてほしい、それだけだった。
そりゃあ仕事で評価されるはずも、誰かに言い寄られることもないはずだ。下心だけで行動しているのだから。
三十も近くなった今、ようやく気づいた事実が恥ずかしくて居たたまれない。逃げ出したいが、それでは同じことの繰り返しだ。ただ口を引き結んで床を見つめていると、佐久間の手に頭を抱き寄せられ、また肩口に額がぶつかった。
「言ったでしょう、何でも全部自分だけで考えてやろうとするから、いっぱいいっぱいになって他が見えなくなっちゃうんですよ。もっと僕のことを見てください」
髪をかき分け、するりするりと地肌を撫でる佐久間の指先は心地よくて、そのまま身を預けたくなってしまう。
「いや、俺……」
俺なんか、と言いそうになって言葉を飲みこむ。
「俺……みたいなのに、そんな……迷惑じゃないのか」
「そうですね、まあ迷惑なときもあるとは思いますよ。ドラゴンって言い出した時はぶん殴ってやろうかと思いましたし、罠にかかってるの見たときは殺意湧きましたからね。でも、もっと……それでも、先輩の人生にかかわらせてほしいんです」
もう一人にしたくないんですよ、と佐久間の声が聞こえ、頭を撫でていた指先が岸尾の耳たぶを引っ張った。
「……なんで」
「それが、好きってことですから」
驚いて顔を上げると、柔らかく微笑む目がこちらを向いていた。おそらく、ずっと岸尾のことを見ていたのだろう。反射的に目を逸らした岸尾は、はっとしてまた佐久間に視線を合わせた。
「……さ……諒、くん」
今度は自分から伝えなくては、と決心して口を開く。名前を呼ばれたことが意外だったのか、一瞬きょとんとした佐久間が「えっ」と声を上げた。
「俺と、これからも……一緒に、いてくれないか。独りよがりな面は、その……改善する、から」
「期待してますよ」
面白げに目を細める佐久間は、できるものならやってみろ、と言っている気がした。少しムッとするが、こればかりはこれからの行動で示していくしかない。
まずは、とこの半年で伸びた髪をかきあげ、佐久間に首筋を向ける。
「だから、噛んでほしい。えっと……諒くん」
名前を呼ぶのはまだ気恥ずかしい。だが、佐久間の顔が嬉しそうに綻ぶのを見るのは、悪い気はしなかった。
「諒くんの番にしてくれないか。ずっと一緒にいてくれるんだろ? 諒くんのこと、もっと特別な存在にしたいんだ」
「あの、ええと……」
佐久間の揺れる瞳を覗き込む。また軽率なことを言っている、と思われているだろうか。だが、岸尾としてはそのつもりはない。
自分も佐久間を信頼しているし、ずっと一緒にいるのだということを形にして示したかったのだ。
「い、言っとくけど、まだ発情期は来てないからな!」
黙ったきりの佐久間に、本気なんだぞ、と威嚇のような言葉を投げつける。
「分かりますよ、それくらい」
ふふ、と笑った佐久間は岸尾の頭に乗った手を首筋になでおろした。
「……いいんですか?」
うん、と頷く。「こっち来てください」と叩かれた膝に乗ると、力強い筋肉を尻と太腿の下に感じる。
「春人さん」
「んっ」
背後から佐久間に抱き寄せられ、腰と背中が密着する。背中に硬いものと厚い胸板が触れ、心臓の鼓動が早くなった。名前を呼んでくる声は、スキップでもしているように跳ねている。
ふふ、と佐久間が笑う声が聞こえた。
「はーるーとーさん」
もう一度名前を呼んだ佐久間の指先が、岸尾の喉をくすぐる。
「いいですね、僕のものにしますからね」
「お願い……」
喉仏のあたりに触れた右手の指が、岸尾の首を掴んで固定する。少しの息苦しさに口を開け、小さく喘ぐ。すぐに噛みついてくるかと思った佐久間は、前戯のように、あるいは獲物をいたぶって楽しむように、首筋に何度もキスをし、耳を甘噛みして焦らしてきた。
「ん……ふぁ……」
早くしてほしい、でも待って。喜ばしいことのはずなのに怖い。卒業式で名前を呼ばれる順番を待つような、奇妙な高揚感で手が震えた。後ろからぴったりと身体を抱き寄せてくる佐久間の手に左手を重ねると、指先が握り込まれる。
「あっ……う、かはっ……」
岸尾の漏らす小さな声と、二人の熱い息遣いだけが室内に響いた。首筋に佐久間の口が触れるたびに、今度こそ噛まれるのではという期待と不安で胸が一杯になる。違うことを知って安堵と落胆に心が沈んだところで、首をついばまれるような刺激が頭の中を溶かしていく。
「はあっ」
やがてくらくらとする頭を支えきれなくなって、岸尾は佐久間に寄りかかった。
いきますよ、と囁かれた声に応える。
佐久間の歯が首に当たり、肉に食い込む。ぷつり、とその犬歯の先が皮膚を突き破った瞬間、岸尾の目の前が白くなった。
「う……うあぁ……」
体を震わせ、佐久間に身をゆだねる。咬まれた喉から、押し殺したようなうめき声が上がった。服の中に熱いものが垂れていくのが分かる。
ゆっくりと岸尾に跡をつけた佐久間の歯が、そっと抜き取られていく。その口が完全に離れてから、岸尾は大きく息を吸った。
「大丈夫ですか?」
「うぅん……」
寄りかかったまま、肯定とも否定ともつかない声を上げる。喉の手は離されているはずなのに、胸の奥まで空気が入ってこない。噛まれたところは心臓の鼓動に合わせてじんじんと痺れ、燃えるように熱い。痛いのだが、それがどうしようもなく気持ちよくて、全身が――特に体の奥が、疼いて仕方ない。
野生の動物がそうするように、佐久間の舌が首の傷跡を舐める。傷口に舌先が触れるたびに、痛みが熱の中に溶けていくようだった。
「……ごめん、佐久間くんのこと、何も考えてなかった」
肩から顔を離し、佐久間の膝のあたりを見ながら言葉を絞り出す。ぴくりと背中に触れる佐久間の指先が震えた。
「まあ……良かったですよ、先輩が僕のこと好きなんだって事がちゃんと分かって」
ため息とともに降ってくる、突き放すような、諦めたような佐久間の言葉に、さらに心を抉られる。
(俺、ずっと、自分のことしか考えてこなかったのか……)
言われてみればそうだ。佐久間に勝手に劣等感を抱いて、勝手に逃げ出して。苦労して会いに来てくれたというのに、その気持ちにきちんと向き合うこともしなかった。そして自分の虚栄心とつまらない満足感のために佐久間を振り回して、彼の命まで危険にさらしていた。
(いや、その前、前世で……学校へ行って、会社で働いているときからずっとこうだったか)
頑張っていた、とは思う。でもそれは誰かの役に立ちたい、困っている人を助けたいといった殊勝な気持ちからではない。ただ、自分を認めてほしい、それだけだった。
そりゃあ仕事で評価されるはずも、誰かに言い寄られることもないはずだ。下心だけで行動しているのだから。
三十も近くなった今、ようやく気づいた事実が恥ずかしくて居たたまれない。逃げ出したいが、それでは同じことの繰り返しだ。ただ口を引き結んで床を見つめていると、佐久間の手に頭を抱き寄せられ、また肩口に額がぶつかった。
「言ったでしょう、何でも全部自分だけで考えてやろうとするから、いっぱいいっぱいになって他が見えなくなっちゃうんですよ。もっと僕のことを見てください」
髪をかき分け、するりするりと地肌を撫でる佐久間の指先は心地よくて、そのまま身を預けたくなってしまう。
「いや、俺……」
俺なんか、と言いそうになって言葉を飲みこむ。
「俺……みたいなのに、そんな……迷惑じゃないのか」
「そうですね、まあ迷惑なときもあるとは思いますよ。ドラゴンって言い出した時はぶん殴ってやろうかと思いましたし、罠にかかってるの見たときは殺意湧きましたからね。でも、もっと……それでも、先輩の人生にかかわらせてほしいんです」
もう一人にしたくないんですよ、と佐久間の声が聞こえ、頭を撫でていた指先が岸尾の耳たぶを引っ張った。
「……なんで」
「それが、好きってことですから」
驚いて顔を上げると、柔らかく微笑む目がこちらを向いていた。おそらく、ずっと岸尾のことを見ていたのだろう。反射的に目を逸らした岸尾は、はっとしてまた佐久間に視線を合わせた。
「……さ……諒、くん」
今度は自分から伝えなくては、と決心して口を開く。名前を呼ばれたことが意外だったのか、一瞬きょとんとした佐久間が「えっ」と声を上げた。
「俺と、これからも……一緒に、いてくれないか。独りよがりな面は、その……改善する、から」
「期待してますよ」
面白げに目を細める佐久間は、できるものならやってみろ、と言っている気がした。少しムッとするが、こればかりはこれからの行動で示していくしかない。
まずは、とこの半年で伸びた髪をかきあげ、佐久間に首筋を向ける。
「だから、噛んでほしい。えっと……諒くん」
名前を呼ぶのはまだ気恥ずかしい。だが、佐久間の顔が嬉しそうに綻ぶのを見るのは、悪い気はしなかった。
「諒くんの番にしてくれないか。ずっと一緒にいてくれるんだろ? 諒くんのこと、もっと特別な存在にしたいんだ」
「あの、ええと……」
佐久間の揺れる瞳を覗き込む。また軽率なことを言っている、と思われているだろうか。だが、岸尾としてはそのつもりはない。
自分も佐久間を信頼しているし、ずっと一緒にいるのだということを形にして示したかったのだ。
「い、言っとくけど、まだ発情期は来てないからな!」
黙ったきりの佐久間に、本気なんだぞ、と威嚇のような言葉を投げつける。
「分かりますよ、それくらい」
ふふ、と笑った佐久間は岸尾の頭に乗った手を首筋になでおろした。
「……いいんですか?」
うん、と頷く。「こっち来てください」と叩かれた膝に乗ると、力強い筋肉を尻と太腿の下に感じる。
「春人さん」
「んっ」
背後から佐久間に抱き寄せられ、腰と背中が密着する。背中に硬いものと厚い胸板が触れ、心臓の鼓動が早くなった。名前を呼んでくる声は、スキップでもしているように跳ねている。
ふふ、と佐久間が笑う声が聞こえた。
「はーるーとーさん」
もう一度名前を呼んだ佐久間の指先が、岸尾の喉をくすぐる。
「いいですね、僕のものにしますからね」
「お願い……」
喉仏のあたりに触れた右手の指が、岸尾の首を掴んで固定する。少しの息苦しさに口を開け、小さく喘ぐ。すぐに噛みついてくるかと思った佐久間は、前戯のように、あるいは獲物をいたぶって楽しむように、首筋に何度もキスをし、耳を甘噛みして焦らしてきた。
「ん……ふぁ……」
早くしてほしい、でも待って。喜ばしいことのはずなのに怖い。卒業式で名前を呼ばれる順番を待つような、奇妙な高揚感で手が震えた。後ろからぴったりと身体を抱き寄せてくる佐久間の手に左手を重ねると、指先が握り込まれる。
「あっ……う、かはっ……」
岸尾の漏らす小さな声と、二人の熱い息遣いだけが室内に響いた。首筋に佐久間の口が触れるたびに、今度こそ噛まれるのではという期待と不安で胸が一杯になる。違うことを知って安堵と落胆に心が沈んだところで、首をついばまれるような刺激が頭の中を溶かしていく。
「はあっ」
やがてくらくらとする頭を支えきれなくなって、岸尾は佐久間に寄りかかった。
いきますよ、と囁かれた声に応える。
佐久間の歯が首に当たり、肉に食い込む。ぷつり、とその犬歯の先が皮膚を突き破った瞬間、岸尾の目の前が白くなった。
「う……うあぁ……」
体を震わせ、佐久間に身をゆだねる。咬まれた喉から、押し殺したようなうめき声が上がった。服の中に熱いものが垂れていくのが分かる。
ゆっくりと岸尾に跡をつけた佐久間の歯が、そっと抜き取られていく。その口が完全に離れてから、岸尾は大きく息を吸った。
「大丈夫ですか?」
「うぅん……」
寄りかかったまま、肯定とも否定ともつかない声を上げる。喉の手は離されているはずなのに、胸の奥まで空気が入ってこない。噛まれたところは心臓の鼓動に合わせてじんじんと痺れ、燃えるように熱い。痛いのだが、それがどうしようもなく気持ちよくて、全身が――特に体の奥が、疼いて仕方ない。
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