千年生きるオタク悪魔、推し俳優のスマホを拾う。

りゅの

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7話 ハヤト視点

僕の名前は成宮ハヤト。昔から芝居が好きだったのもあり「俳優のレド」と名乗って活動中である。みんなの声援もあり色々な有名監督からのオファーが有難いことに着実に増えていっている。

父は娯楽系の企業の社長で、父一代で大手まで盛り上げた会社は「僕が俳優を辞めたら。」との条件で引き継ぐことになるため、将来的に困ることは何もない。

芸能活動を始め、学業も疎かにせずあっという間に月日が経ち二十代後半に差し掛かった頃ーー

「っ、申し訳ありません!今から他の方に連絡をしますので5分ほどお待ち…」
「別に少しの距離だし1人で大丈夫だよ。」
「ですが!」

普段健康的なマネージャーの体調不良により車で送迎できないと言われ公共交通機関を使うと宣言した。過保護に育てられてきた僕はたまには1人で行動してみたかった。

親の七光りと言われないよう、わざわざレドというネット名のような素性を知られないようにしたのに、一人息子という名の親馬鹿に育て上げてしまってはそれはもう花よと現在進行形で可愛がられている。

マネージャーも父が選んだ企業側の人間で、正直監視されている気分だ。もちろん彼らの気持ちもわかってのことだけど。

「余裕を持って現場に着きたいし、あともう成人してかなり経つんだけどなあ。」
「………わかり、ました。社長にはご内密に。それからどうかご無事で。」
「うん。」

今から戦地に行くのかという物言いだが、単に電車に乗るだけだ。本当にそれだけなのに………これで現状を理解してくれただろうか。

「あと必ず。」
「………分かってるよ。」

マネージャーが指すものに心当たりしかなかった僕は軽く明後日の方向をみた。身バレしないように着るダサい服のことだから。












ーーー偶然。本当にその言葉がこれ以上相応しいと思ったことはない。

体調を崩したマネージャーの上、たまたま乗り合わせた電車が同じ。ただそれだけ。

しかし素直な自分の目は隣の座る人に釘付けになった。

芸能人、いやモデルとかに携わっている人か?

そう思いたくなるくらいに煌びやかな漆黒の髪に、引き立てるようなタレ目の淡いブルーよりの美しい瞳。少し力を入れただけで折れるのではないかと疑うくらいに細くて、雪のように真っ白な肌をした彼を凝視してしまう。

色々な仕事で足を運んだりしているが正直見かけたことはない。この容姿で仮に一般人ならスカウトマンからの声をかけには困らないだろうと密かに隣人を評価する。

彼はというと僕の視線は全く気にならないのか、熱心にスマホと睨めっこしており、その間にチラチラと横顔を盗み見た。

僕は女性が好きなはずだ。体格からして間違いなく男のそれなのに、この胸の鼓動は明らかに異常だった。

モテる男が使いそうな甘ったるい大人の香りが先ほどから漂ってくる。ーーー眠い。

昨夜は撮影でここに来たのもあり、あまり眠れなかった。だから、そのせいで………

せっかくの一目惚れは睡魔によって幕を閉じた、かのように思われたのは彼だけではないはず。
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