58 / 117
本編
57【クリス・イグリエ視点】ああ、
「クリス様!」
殿下がエユによって倒れたと聞いたのは、私が殿下にお願いして席を外し、腕が鈍らないようにと鍛錬していた時だった。
どうやって向かったかは記憶にないが、教会に駆けつけるとそこには生気のないレオナルド殿下が横たわっていた。
話を聞くとエユにより毒性のある液体をかけられ、血を吐いて気絶してしまったのことだった。悔しかった。だって私は婚約者でありながら殿下のために鍛え上げ、彼の忠実な騎士となったのに、何もできていないのだと。
そう思えば私は殿下に守られてばかりだと振り返る。
魔族だから死にはしないと信じたいが、真っ青な血色で眠る彼を見るとやはり死んでしまうのではないかと気が気でなかった。
歯がガチガチのならし手は震え、周りの護衛は「見てられません。貴方様も休んでください。」と言われる始末だ。
きっと大丈夫、そう信じたいけど………
聞いていた話と違った。
彼の中にいるというレーナさんは『相手を好きになってしまう薬が学園内に出回っている。僕がそれを受けて、しばらくエユさんと仲良くしてしまうけど、クリスのことが大好きなレオナルドは生きてるから。我慢してくれる?』と仰っていたそうだ。それは殿下の口から聞いた。
「そもそも受けなければいいのでは?」と尋ねると
殿下は曖昧に笑った。何か事情があると察してこれ以上は追求しなかった。聞けばきっと答えてくれるだろうが、そこまで彼の何かある崇高な考えを図々しくも邪魔にしたくない気持ちが強かった。
つまり、私が殿下とエユさんが仲良くしているのを嫉妬したりしなければいいんですね。
理解してからは早かった。もし殿下が薬を受けたとしても、本人の意思をレーナさんが守ってくれるそうなので安心したい。
でも出来たらそんな状況が嫌で私が気をつけようとも思った。
なのに………
「どうして毒物だって伏せてたんですか、殿下……」
ポロポロと涙が出る。人生で初めてのことだ。物語で読んだことはあったが自分でもこんなことになれるなんて。殿下がどんな方と親しくなろうとも、私に見せてない一面がいくつあっても構わない。生きていさえすれば………
すー、っ、ぁ、すー
生命を感じる呼吸が早まったりと安定せず不安で仕方がない。
司祭に聞けば「体内の毒と闘っている。」とのことだ。
王子が亡くなれば司祭だって命はないだろう。治療魔法を施したあとは席を離れて神に祈りを捧げている。
「殿下、私は貴方のすべてです。早く目を……」
ほんのり冷たい手を握ったまま襲う睡魔に抗いきれず意識が途絶えた。
殿下がエユによって倒れたと聞いたのは、私が殿下にお願いして席を外し、腕が鈍らないようにと鍛錬していた時だった。
どうやって向かったかは記憶にないが、教会に駆けつけるとそこには生気のないレオナルド殿下が横たわっていた。
話を聞くとエユにより毒性のある液体をかけられ、血を吐いて気絶してしまったのことだった。悔しかった。だって私は婚約者でありながら殿下のために鍛え上げ、彼の忠実な騎士となったのに、何もできていないのだと。
そう思えば私は殿下に守られてばかりだと振り返る。
魔族だから死にはしないと信じたいが、真っ青な血色で眠る彼を見るとやはり死んでしまうのではないかと気が気でなかった。
歯がガチガチのならし手は震え、周りの護衛は「見てられません。貴方様も休んでください。」と言われる始末だ。
きっと大丈夫、そう信じたいけど………
聞いていた話と違った。
彼の中にいるというレーナさんは『相手を好きになってしまう薬が学園内に出回っている。僕がそれを受けて、しばらくエユさんと仲良くしてしまうけど、クリスのことが大好きなレオナルドは生きてるから。我慢してくれる?』と仰っていたそうだ。それは殿下の口から聞いた。
「そもそも受けなければいいのでは?」と尋ねると
殿下は曖昧に笑った。何か事情があると察してこれ以上は追求しなかった。聞けばきっと答えてくれるだろうが、そこまで彼の何かある崇高な考えを図々しくも邪魔にしたくない気持ちが強かった。
つまり、私が殿下とエユさんが仲良くしているのを嫉妬したりしなければいいんですね。
理解してからは早かった。もし殿下が薬を受けたとしても、本人の意思をレーナさんが守ってくれるそうなので安心したい。
でも出来たらそんな状況が嫌で私が気をつけようとも思った。
なのに………
「どうして毒物だって伏せてたんですか、殿下……」
ポロポロと涙が出る。人生で初めてのことだ。物語で読んだことはあったが自分でもこんなことになれるなんて。殿下がどんな方と親しくなろうとも、私に見せてない一面がいくつあっても構わない。生きていさえすれば………
すー、っ、ぁ、すー
生命を感じる呼吸が早まったりと安定せず不安で仕方がない。
司祭に聞けば「体内の毒と闘っている。」とのことだ。
王子が亡くなれば司祭だって命はないだろう。治療魔法を施したあとは席を離れて神に祈りを捧げている。
「殿下、私は貴方のすべてです。早く目を……」
ほんのり冷たい手を握ったまま襲う睡魔に抗いきれず意識が途絶えた。
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
元カレに追い出された専門学生がネカフェでP活相手のパパちんぽに理解らせられてトロトロのメロメロになっちゃう話
ルシーアンナ
BL
既婚子持ちバイ×専門学生
Pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27436158
ムーンライトノベルズ https://novel18.syosetu.com/n1512ls/
fujossy https://fujossy.jp/books/31185
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)