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本編
58 眠れる教会の王子様
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「んっ………ぁ、れ」
目が覚めるとそこは教会内だった。気配を感じて隣を見るとクリスが椅子に座りながら上体はベッドに伏せて眠っている。
「クリス、クリス、身体を痛めてしまうよ。」
「ぅ…ん?」
焦点が全く合わないと思っていたら、カッと目を見開き抱きしめてきた。あまりの勢いにちょっとビクついたのは内緒だ。
「殿下、殿下ぁ………ひっ、ぐす」
「ああ泣かないでクリス。ごめんねまさかこうなるとは思ってなかったんだ。倒れるだなんて……。」
ぎゅっと抱きしめ返すとクリスは一瞬で涙なんか引っ込み、首を傾げた。
「………レーナさんですか?」
「え?」
澄んだブルーハワイの青い瞳に見つめられると、なんだか全てを見透かされるみたいで直視できなかった。
「………そうだよ。どうして分かったの?」
「だって泣いていてもレオナルド様は抱きしめたりしないので。」
「そんな酷いことをしてるのかい彼!?」
「あ、いえそういう意味ではなく!もちろん抱きしめてくれることはありますが……」
「カンと言いますか、何かが違うと思ってしまいました。」と言った彼に完敗した。僕が愛したクリスはどうやらあのレオナルドの方が好きらしい。
僕が本物なのに、なんて言えなかった。そんな資格など魔族と契約をした時点でない。ただ彼が生きて幸せになってくれればいいと思っていた過去の己の覚悟を踏み躙るかのような行為だ。人間とはなんと欲深い生き物だろう。
「レオナルド殿下は先程から『暇だ!』と怒ってらっしゃる。ごめんね邪魔しちゃって。」
「くす、殿下らしいです。」
少し笑い合った後「じゃあ僕はしばらく眠るから。」と言って意識を手放した。クリスは何も言ってくれなかった。
やっ~~~~と僕が主導権を握るかのように、指先が動いた。やった!!帰ってきたぞ!!!
最初はこのままレーナが乗っ取ってしまうのかと思ったし(それはそれで許せるけど、あんな何もない空間暇すぎる)それに加えてクリスとレーナが何か話していたので、優しい僕は一応耳を塞いでおかなければならなかった。僕は優しいからな!!
「戻って来れた、!」
「レオナルド殿下!!!」
いつもよりほんのりダルい身体にガバッとクリスが抱きつき、僕はそれを「大袈裟だな」なんて言って頭を撫でる。
「大袈裟なんかじゃありませんよ!一週間も目覚めなかったのに…」
「?……一週間?」
体感1日ですが、何か?
「本当は今すぐ人に知らせなければならないところですが……しばらくこのままでいてもいいですか?」
そんな可愛いおねだり、むしろ僕がご褒美っていうか、へへ。断れるはずもなく抱きしめ返してやった。しかしその身体のあまりにも細いこと…。
「…クリス?まさかずっとここにいたなんてことはないよね?」
「………。」
あーもしもし、クリスさん?
目が覚めるとそこは教会内だった。気配を感じて隣を見るとクリスが椅子に座りながら上体はベッドに伏せて眠っている。
「クリス、クリス、身体を痛めてしまうよ。」
「ぅ…ん?」
焦点が全く合わないと思っていたら、カッと目を見開き抱きしめてきた。あまりの勢いにちょっとビクついたのは内緒だ。
「殿下、殿下ぁ………ひっ、ぐす」
「ああ泣かないでクリス。ごめんねまさかこうなるとは思ってなかったんだ。倒れるだなんて……。」
ぎゅっと抱きしめ返すとクリスは一瞬で涙なんか引っ込み、首を傾げた。
「………レーナさんですか?」
「え?」
澄んだブルーハワイの青い瞳に見つめられると、なんだか全てを見透かされるみたいで直視できなかった。
「………そうだよ。どうして分かったの?」
「だって泣いていてもレオナルド様は抱きしめたりしないので。」
「そんな酷いことをしてるのかい彼!?」
「あ、いえそういう意味ではなく!もちろん抱きしめてくれることはありますが……」
「カンと言いますか、何かが違うと思ってしまいました。」と言った彼に完敗した。僕が愛したクリスはどうやらあのレオナルドの方が好きらしい。
僕が本物なのに、なんて言えなかった。そんな資格など魔族と契約をした時点でない。ただ彼が生きて幸せになってくれればいいと思っていた過去の己の覚悟を踏み躙るかのような行為だ。人間とはなんと欲深い生き物だろう。
「レオナルド殿下は先程から『暇だ!』と怒ってらっしゃる。ごめんね邪魔しちゃって。」
「くす、殿下らしいです。」
少し笑い合った後「じゃあ僕はしばらく眠るから。」と言って意識を手放した。クリスは何も言ってくれなかった。
やっ~~~~と僕が主導権を握るかのように、指先が動いた。やった!!帰ってきたぞ!!!
最初はこのままレーナが乗っ取ってしまうのかと思ったし(それはそれで許せるけど、あんな何もない空間暇すぎる)それに加えてクリスとレーナが何か話していたので、優しい僕は一応耳を塞いでおかなければならなかった。僕は優しいからな!!
「戻って来れた、!」
「レオナルド殿下!!!」
いつもよりほんのりダルい身体にガバッとクリスが抱きつき、僕はそれを「大袈裟だな」なんて言って頭を撫でる。
「大袈裟なんかじゃありませんよ!一週間も目覚めなかったのに…」
「?……一週間?」
体感1日ですが、何か?
「本当は今すぐ人に知らせなければならないところですが……しばらくこのままでいてもいいですか?」
そんな可愛いおねだり、むしろ僕がご褒美っていうか、へへ。断れるはずもなく抱きしめ返してやった。しかしその身体のあまりにも細いこと…。
「…クリス?まさかずっとここにいたなんてことはないよね?」
「………。」
あーもしもし、クリスさん?
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