【完結】イケメン高身長オメガな悪役令息を溺愛します。※主人公攻め

りゅの

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本編

59 しっかり食べる君が好き!

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沈黙は肯定と捉え、好きな子に俵担ぎ……ではなくお姫様抱っこをきてやると慌てて治療室を出る。

「あっ!?殿下!何してるんですか!まだ目覚めたばかりなのに…」

それに重いので降ろしてくださいと、バタバタと暴れて脱出しようと試みられるが、僕より力の強いクリスが本気を出さないので可愛いなと思った。ものすごく。

つかつかと歩けばすぐに警備のものたちが驚いた顔でこちらを見ていたことを良いことに

「軽食の準備をしろ。」
「「っ、は、はい!」」

と命令した。









まさかの一週間も床に伏せていた王子がつきっきりで司祭と共に看病していたクリスに食事を与えるというカオスな状況、そして倒れた本人は嘘のようにケロッとしていてポチたちはなんとも言えない顔をしていた。

「聞いたところほとんど食べていなかったそうじゃないか。ああこんなにもやつれてしまって。急に重めなのを入れるのはよくな………」
「殿下!私は大丈夫ですから。それよりもあの罪人エユと何があったかお聞きしても?」
「それ一口食べてくれたら教えるよ。」

そう言えばクリスはおずおずとスプーンを口に進めて食べた。

「たまたまみんなと逸れてしまってね。探していたところをエユが突然液体のような物体をかけてきて、それで今に至るのかな。そのあとは記憶が曖昧で……。」
「!?そんなことが?」

後の従者は僕の証言をメモしており、多分これを裁判に提出するのだろう。

「惚れ薬が回っていると言っていたでしょう。どうやら殿下がかけられたのだけはらしくて、本人も知らないと一点張りなんです。それに殿下がこうして生きておられるのも奇跡だそうですよ!」 

魔族の血に生かされたのだろう、人外万歳である。そういや起きてからレーナの声が聞こえないが彼は大丈夫だろうか。

「ヤンはどこにいるかわかるかい?」
「それが殿下が倒れてから姿を消してしまいまして……。あ、彼のことですしもう疑ってるわけではないんですけど。」

ヒロインに薬を回したであろう黒幕は、僕にだけ普通の死に至る浸透性のある毒を……しかも2回かけたようだった。罪状は良ければ追放もしくは牢屋行き、おそらくは死刑になることだろう。

しかし僕は死刑は好きではない。なぜなら痛みは一瞬だからだ。できれば監獄とかで苦しんで欲しい気持ちはある。僕が「卒業パーティーでヒロインを断罪」するために目を瞑っていただけで、『クリスがしたという嫌がらせの捏造』『僕たちがデートするために一般人通行禁止のエリアに乱入』『クリスの名誉損害』と罪も同然なことはたくさんあるからな。

黒幕を炙り出したら牢獄くらいで済むだろう。それを狙おうじゃないか。

「ポチ、なんとしてでもヤンを探してきて。」
「かしこまりました。」

その間僕は痩せてしまったクリスに精一杯おもてなしをしよう。
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