4人の乙女ゲーサイコパス従者と逃げたい悪役令息の俺

りゅの

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3話

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設定では今日は休日らしかったので、貴族のような生活をして一日を終え、再び布団に寝そべっている。正直言って幸せだった。

しかし問題があると言えば一向に夢から覚める気配がないということ。明晰夢なんてこれが初めてなもので、いつ起きれるか予想がつかない。

〈まだ夢だと思ってるんですか?〉
「うおわ!」

突然現れたゲームウィンドウに変な声が出る。こいつは確か、寝る前に見た幻覚のやつだ!!

〈こんばんは^_^〉
「こ、こんばんは……?」
〈わたくし、AIのチエと申します。舞塚さんで間違いないですね?〉
「春奈?いや、俺はその兄の裕也だけど。」
〈…………〉
「………おい?」
〈アッ…………アハッ(^_-)-☆〉

発言からして妹だと勘違いしていた様子のそれは冷や汗をかいていますと言わんばかりに画面がプルプルとグリッチがかかるものだからちょっとおかしくて笑ってしまう。

美形よりもこういう存在がいると和むなとちょっと先の未来で恨めしいものへと豹変するとは知らずに気さくさに話しかける。

「なんだ、俺のこと妹と勘違いしたのか?鈍臭いAIだな。」
〈………〉
「まあいいや。…チエに聞くのも変な話だけどどうやったらここから出れるか知ってるか?どうにも中々夢から覚めてくれなくてな。」
〈その質問は些か無意味ですね。薄々気がついているでしょう。出れませんよ。〉
「デレマセン?…………?」

デレマセン、デレる?照れる?………いや出れません?

「ちょっと言っている意味が分かんないんだけど。」
〈ここは夢でもなんでもなくリアルです。そして元の世界に帰ることはできません。〉
「は、はあ?………じゃあそれが本当だとしてここはどこなんだ。」
〈ここは『愛国の操り姫』というR-18の女性向けゲームの世界です。貴方様はその主要の登場人物となる権利を得ました。〉
「………嘘だ………そんなこと。」

正直途中からここが夢だと思いきっているのは一種の現実逃避で、心のどこかでは「この世界は本物じゃないか?」とも思い始めていた。その上チエに真正面から非現実的なことを突きつけられ、案外スッと納得してしまった。

覚えのない記憶、やけにリアルな感触、味覚。つねれば痛いし、ハンスとかいう執事はとても夢とは思えないほどハッキリと形があった。

〈妹様と誤って連れてきてしまったお詫びとして、ボーナススキルを付与します。〉
「ぼ、ボーナススキル?」
〈一度使用すると数日は使えなくなりますが、この世界のヒロインの攻略対象の好感度が数字として見えるようになります。使用方法は頭の中で念じて貰えば簡単に使えます。では。〉
「え、ちょい待っ」

言うだけで言って途端に消えると一瞬であたりが静かになる。外にいる使用人たちも今は就寝しているようで物音一つ聞こえなかった。

そして俺は1人、状況を飲み込めば飲み込むほど後から沸々と湧き上がる怒りを抑えるのに必死だった。

勝手に手違いで連れてきて、尚且つもう前の世界に戻ることできないからボーナススキル付与します頑張って(要約)だと!?

何が人工知能だ。チエとかいう名前から「おたんこなす」とでも呼んでやろうか。

そう心の中で文句という文句を並べ、次もう一回出てきたらぶちのめしてやろうと考えていた時だった。

ーーコンコン。

「本日のご奉仕は私が担当となっております。宜しいでしょうか。」
「?ああ、どうぞ。」

なんかよく分からないが、いつもの習慣であろうことを否定したら、ユースの身体に他人の俺が乗っ取ってるとバレるわけにはいかない。

ここは乙女ゲー、しかも俺がサイコパス達に殺されるかもしれない世界で怪しまれては一巻の終わりだろう。隙を作ってはいけない。

そもそもユースが何故ほどのことがあったのだろうか。何か裏があるに違いない。

記憶を引き継いでいると言ってもなんとなくというあやふやな感覚だ。気を緩めてはいけないだろう。

そういや…好感度とやらを見れるようになったんだな。別に攻略する気はちっともないが(俺は完全なノーマルだからな)、使い方がイマイチなので試してみたほうがいいに違いない。

(ハンスの好感度を表示してくれ)

こんなんでいいか?と思ったら隣にチエ式ゲームウィンドウが表示され、なるほどと納得しつつ、その0.1秒後には硬直することになる。




〈ハンス・ヴェデトの只今の好感度 : -30%〉




「……は?」

見間違いじゃないよな…?なんだよ0から100%かじゃないのか!?マイナス方向にカンストしてますが、、、?

あの流れでチエが嘘の情報を流すとは思えないし、やっぱり夢とか………

「どうかされましたか?」

………いや今日からここが現実か。

低く爽やかな声に思わずグギギと錆びたネジかのように頭がゆっくり声の方へ回転する。

ニコッと不気味なほどの笑顔に不安になるのはそう難しくはなかった。


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