4人の乙女ゲーサイコパス従者と逃げたい悪役令息の俺

りゅの

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31話

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「あ、ああ、素晴らしいよ。とてもきれいな字だ。」
「!!」

俺より少し高い位置にある頭を撫でながら、他に関心を散らすため、俺以外のことを教えるべきかと考える。あまりにも執着が一歩通行すぎると流石に身の危険を感じるので。

ここでふと、彼も一応魔族なんだよなと手に少し当たる頭の角に意識が向けられる。

「……こうして好かれるのは嬉しいが、人のこと恨んでないのか?……俺のこと人間だってわかってるだろう?」
「ウーーん……。」

突然の問いかけにレウォラは、言葉を理解するために反芻すると、少し考え始めた。

「あに、うエが……人間ト、な、かよく、できる、いったから、私、襲わない。なかよくスる。」
「お兄さんがそんなこと言ったのか!?」

兄の存在を一切口に出さなかったものだから、勝手に忘れているのかと低い可能性で考えていたが打ち破るかのように普通に彼の口から飛び出てきた。

というかなんだって?ハンスは「人間と仲良くできる」と考えていた……?え?まじで言ってんの?あの感じで?

しかし魔族が人間との戦争で負けたことを知らないわけがないだろうし、最近まで一緒にいたはずの兄弟が捕虜がどうなったかもわかってないわけがなかった。

それを目の当たりにしたハンスは間違いなく人と仲良くなれるとは言わないだろう。

兄に可愛がられていたと確定に近い仮定をするとしたら、必然的に戦場から離され、戦争がもたらしたものを耳にしてはいても、どういう状況か把握できてないはず。つまり今の状況が箱入り坊っちゃんということだったら……

厄介だ。非常に厄介すぎる。

いくらレウォラに情けをもたれるくらいの関係となったとしても、事実を把握した時の彼がどう出るか完全に未知数だ。俺は約束された安全が欲しい。

「レウォラ……兄に会いたいか?」
「エ………あえ、るの!?」
「もちろんだ。ただしばらくここに来れなくなるがいいか?少々準備が必要なんだ。」
「!なら、あわなくて、いい」
「そうかそうか。なら………ってはあああ!?」

思ってた返答と違う答えが出てきて、昭和のズッコケをしそうになったのを寸前で耐える。

「……はは、そうもいかんだろう。お前のこと必死に探してるかもしれないだろう?なにより家族なんだからさ。」
「ユースもかぞ、ク。私のぉ、ヨめゃ、さン。」
「………?」

……ヨ?なんて言った?だいぶ言葉が聞き取れるようになったが、やはりこうして時々何を言っているのか分からない時がある。

まあいっか。レウォラには俺のことをつもりだからな。すべての忘却は脳が思い出そうと拒否反応を起こすため難しいが、1つ1人くらいの忘却ならすんなり効いてしまうと最近調べものをしているついでに知った。

次の課題は、無事俺を忘れさせて……彼の身をバレないようにどこの敷地外に運び込むかになるのだが………もちろん心配はいらない。

ここには元宮廷魔道士とかいう素晴らしいチート持ちのやつが住んでいるじゃないか!

レウォラにいつものように抱きしめられている状況下で、フル回転させる頭では何も周りが見えておらず「ダから、明日も、絶対、こ、こにきて。」という理不尽に交わされた約束の言葉を聞き逃していたのは俺の一番のミスである。
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