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体を起こしたふーみんが聞く。
「普通じゃダメなの?」
「チッ!チッ!チッ!」
アタシはワザとらしく人差し指を振って応えた。
「その発言、ともすれば差別だとみなされるよ」
「なんでよ」
かいちょがアタシの言葉に頷き言う。
「LGBTに対して世界的には多様性を尊重しようという流れですし、日本はそういう考え方が遅れていると指摘されたりもしますよね」
やっぱり百合について知ってたな?コイツめ。
「ふーみんの言う普通は特定グループ内での常識でしかないんだよ。今の時代はね。とはいえ、オタクグループがマイノリティーを率先して受け入れるオープンマインドな存在なのかと言うと、そこは少し視点がずれるんじゃないかとアタシは思っている。」
「と、言うと?どういう事でしょう」
「オタクは同性同士のじゃれ合いを見ることに喜びを感じてはいるけど、裏を返すとそれはお気に入りキャラの純潔を守りたいという無意識の防衛だとも言える」
ふーみんの顔がまたのっぺりした。
「またアンタは小難しい事を、」
「つまり、キャラに対しての独占欲さ。同性同士で仲良くしているのはノーカンだけど、異性に対してだとそれは浮気と感じてしまう。ようは嫉妬心だよ。アニメではキスシーン流すのも炎上することがあるからね。俺の嫁がーぁ!とか、絶対認めない!私は認めない!とか、それが公式公認のキャラ同士であっても。」
ふーみんが分からないといった様子で首を振る。
「ただのアニメでしょうに、」
「ただのアニメだよ。けど、そのアニメにどっぷり感情移入してしまうのがオタクというものさ。感情移入していたキャラがハッピーエンドで誰かと結ばれたとしても、オタクはどこか素直に喜べないんだよ。感情移入が深ければ深いほどね」
「分かります!」
ヒメが力強く頷いている。
「お気に入りのキャラであればあるほど、何事も起こらないでほしいというか。だからキャラ同士仲良くワイワイしている姿だけで満足というか、」
「その需要の結果が可愛い女の子達がキャッキャウフフしているだけでいい日常モノなのさ。何も起こらず平和なままでいてほしいという願望。それがいつの間にか百合自体が独り歩きして一ジャンルとして確立してしまっているけどね。もちろんこれはBLにも当てはまる。まあ、つまり日本のアニメ界という限られたグループでいうところの同性愛は多様性を認めた結果からくるものとは少し違う。と、いうのがアタシ個人の持論さ。」
ふーみんが納得しきっていない顔で聞く。
「それでいいの?」
「アニメや漫画なんかはあくまでも創作だからね。多様性に対する現実問題と少しかけ離れたところがあるのは事実だよ。けど、”あくまでも”創作なんだ。あーだ、こーだ現実を突き付けたってそれは野暮ってもんさ。エンターテイメントなんだから楽しんでこそだよ。」
アタシは席を立ち、ヒメに向かって言った。
「創作に完全な正解というのはありえないわ。どんな書き方であろうと間違いではない」
彼女は一瞬キョトンとした。けれどアタシのセリフに気が付いたようだ。
「あ!黒猫」
うん、うん。と頷いて見せる。そしてヒメも立つようにと促がす。
「え?えっ?」
「ほらっ、ヒメもセリフ言って」
意図を察した彼女が腕を組みポーズをとって言う。
「ひ、人の目を気にして生きるなんて、くだらない事よっ」
アタシは親指を立てて見せた。
「完璧!それでこそアタシの弟子」
「ハイ♪」
「またアンタはそうやって茶化す」
「ダメだよ帰蝶ちゃん、あまり付き合い過ぎると。何でもごっこ遊びにして大変だから」
はなっち、そんな風に思ってたの?いつもノリノリで付き合ってくれていると思ってたのに。
体を起こしたふーみんが聞く。
「普通じゃダメなの?」
「チッ!チッ!チッ!」
アタシはワザとらしく人差し指を振って応えた。
「その発言、ともすれば差別だとみなされるよ」
「なんでよ」
かいちょがアタシの言葉に頷き言う。
「LGBTに対して世界的には多様性を尊重しようという流れですし、日本はそういう考え方が遅れていると指摘されたりもしますよね」
やっぱり百合について知ってたな?コイツめ。
「ふーみんの言う普通は特定グループ内での常識でしかないんだよ。今の時代はね。とはいえ、オタクグループがマイノリティーを率先して受け入れるオープンマインドな存在なのかと言うと、そこは少し視点がずれるんじゃないかとアタシは思っている。」
「と、言うと?どういう事でしょう」
「オタクは同性同士のじゃれ合いを見ることに喜びを感じてはいるけど、裏を返すとそれはお気に入りキャラの純潔を守りたいという無意識の防衛だとも言える」
ふーみんの顔がまたのっぺりした。
「またアンタは小難しい事を、」
「つまり、キャラに対しての独占欲さ。同性同士で仲良くしているのはノーカンだけど、異性に対してだとそれは浮気と感じてしまう。ようは嫉妬心だよ。アニメではキスシーン流すのも炎上することがあるからね。俺の嫁がーぁ!とか、絶対認めない!私は認めない!とか、それが公式公認のキャラ同士であっても。」
ふーみんが分からないといった様子で首を振る。
「ただのアニメでしょうに、」
「ただのアニメだよ。けど、そのアニメにどっぷり感情移入してしまうのがオタクというものさ。感情移入していたキャラがハッピーエンドで誰かと結ばれたとしても、オタクはどこか素直に喜べないんだよ。感情移入が深ければ深いほどね」
「分かります!」
ヒメが力強く頷いている。
「お気に入りのキャラであればあるほど、何事も起こらないでほしいというか。だからキャラ同士仲良くワイワイしている姿だけで満足というか、」
「その需要の結果が可愛い女の子達がキャッキャウフフしているだけでいい日常モノなのさ。何も起こらず平和なままでいてほしいという願望。それがいつの間にか百合自体が独り歩きして一ジャンルとして確立してしまっているけどね。もちろんこれはBLにも当てはまる。まあ、つまり日本のアニメ界という限られたグループでいうところの同性愛は多様性を認めた結果からくるものとは少し違う。と、いうのがアタシ個人の持論さ。」
ふーみんが納得しきっていない顔で聞く。
「それでいいの?」
「アニメや漫画なんかはあくまでも創作だからね。多様性に対する現実問題と少しかけ離れたところがあるのは事実だよ。けど、”あくまでも”創作なんだ。あーだ、こーだ現実を突き付けたってそれは野暮ってもんさ。エンターテイメントなんだから楽しんでこそだよ。」
アタシは席を立ち、ヒメに向かって言った。
「創作に完全な正解というのはありえないわ。どんな書き方であろうと間違いではない」
彼女は一瞬キョトンとした。けれどアタシのセリフに気が付いたようだ。
「あ!黒猫」
うん、うん。と頷いて見せる。そしてヒメも立つようにと促がす。
「え?えっ?」
「ほらっ、ヒメもセリフ言って」
意図を察した彼女が腕を組みポーズをとって言う。
「ひ、人の目を気にして生きるなんて、くだらない事よっ」
アタシは親指を立てて見せた。
「完璧!それでこそアタシの弟子」
「ハイ♪」
「またアンタはそうやって茶化す」
「ダメだよ帰蝶ちゃん、あまり付き合い過ぎると。何でもごっこ遊びにして大変だから」
はなっち、そんな風に思ってたの?いつもノリノリで付き合ってくれていると思ってたのに。
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