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買い物は続きます。
タオルや石鹸、ハンガーといった日用品に、フライパンや鍋掴みといったキッチン用品。アイラは調味料やジャム、小麦粉まで荷馬車に積み込んでいました。
着替えが心もとないので衣類も買い足します。ハンガーにかけられているのはどれもウールの毛糸で編まれたものばかりです。どうやら素人による手作り品のようで、見た目は野暮ったい感じがしますが、寒さをしのぐ為には選んでいられません。カーディガンにマフラー、ストール、靴下と買い込みます。
「この帽子、少し小さいですわね」
被ったニットの帽子は、子供用なのかメイベールの頭には合いませんでした。
「なら、ほどいて編み直せばいいのよ。お婆様に言えばやってくれるわよ?編み物は得意だから」
「そんな頼んでまで……」
「フフフ、頼むのが嫌なら、自分でやってみたら?基本の編み方くらいなら、わたくしも教えてあげられるわよ」
自分で作るという事に、朝日は少し興味が湧きました。あの小屋には何もないので、日が暮れれば直ぐに寝てしまうだけなのです。こういった時間つぶしを覚えるのもいいかもしれません。
「なら、やってみようかしら」
「かぎ棒や毛糸はあるから借りればいいわ」
アイラも時間つぶしの事を考えていたのか、その胸に本を数冊抱えています。
「何の本を選んだの?」
エミリーの質問に彼女は笑って応えました。
「分からないです。日記?なのかな?誰かが書いたものの様です。本はこれしかなくて、」
そうだ!と、何か思い出したアイラが言いました。
「ランプも必要ですね。夜は暗いから」
古いオイルランプも買い足します。魔導具の様に高価な照明は置いてありませんでした。
ほどほど買い込んで、エミリーが店主にたずねます。
「これで足りるかしら?」
彼女は中身を確認することなく、財布ごと渡してしまいました。受け取った財布を開き、店主が困り顔になります。
「あー、少し足りないようで……」
見ていた朝日は呆れました。
(お姫様の金銭感覚どうなってるの?)
「買い過ぎたようね。しょうがないから、いくつか戻しましょうか」
エミリーが荷馬車から商品を下ろそうとするのを店主が止めます。
「そんな事は手間ですから、まとめて買ってくれやしたし、今回は頂いた分で結構です」
「ダメよ!それは絶対にダメ!」
「いえ、いえ、お姫様にはいつも買っていただいてますので」
「姫だからって特別扱いしないで」
困る店主に朝日は言いました。
「じゃあ、足りない分はわたくしが払いますわ」
昨日、自分の荷物を受け取ったので財布は持っているのです。しかも兄から十分すぎる程のお小遣いを貰ったので、心配はいりません。金貨を取り出し渡します。
「あー、コレは……」
「あら、足りませんか?」
もう一枚金貨を取り出します。店主は頬をポリポリと掻き、益々困り顔になってしまいました。
「いえ、十分すぎるんです。これだと今度はこっちが返すおつりが無いんでさぁ。俺達は普段、金貨なんて高価なもんは使わないもんでして」
「そうなんですの?……どうしましょう」
財布を覗いてみましたが、金貨しか入っていません。
今度はアイラが提案します。
「じゃあ、おつり分を更に買い足したらいいんじゃないですか?」
「そうね!それがいいわ」
皆、店の中に戻ります。朝日はさっき諦めた壁掛け時計を手に取りました。店内にある古ぼけた品物たちとは違い、それはアンティークと呼ぶにふさわしい見た目をしており、値段が高そうに思えたので気が引けて買えなかったのです。
アイラは安楽椅子を買うらしく、店主に運んでもらっています。きっと椅子に揺られながら本を読むつもりなのでしょう。
エミリーは毛布をいくつも積み込んでいきます。朝日達が寒いと文句を言ったのを気にしているようです。
皆、タガが外れた様に買った為に、馬車は荷物でいっぱいになってしまいました。
タオルや石鹸、ハンガーといった日用品に、フライパンや鍋掴みといったキッチン用品。アイラは調味料やジャム、小麦粉まで荷馬車に積み込んでいました。
着替えが心もとないので衣類も買い足します。ハンガーにかけられているのはどれもウールの毛糸で編まれたものばかりです。どうやら素人による手作り品のようで、見た目は野暮ったい感じがしますが、寒さをしのぐ為には選んでいられません。カーディガンにマフラー、ストール、靴下と買い込みます。
「この帽子、少し小さいですわね」
被ったニットの帽子は、子供用なのかメイベールの頭には合いませんでした。
「なら、ほどいて編み直せばいいのよ。お婆様に言えばやってくれるわよ?編み物は得意だから」
「そんな頼んでまで……」
「フフフ、頼むのが嫌なら、自分でやってみたら?基本の編み方くらいなら、わたくしも教えてあげられるわよ」
自分で作るという事に、朝日は少し興味が湧きました。あの小屋には何もないので、日が暮れれば直ぐに寝てしまうだけなのです。こういった時間つぶしを覚えるのもいいかもしれません。
「なら、やってみようかしら」
「かぎ棒や毛糸はあるから借りればいいわ」
アイラも時間つぶしの事を考えていたのか、その胸に本を数冊抱えています。
「何の本を選んだの?」
エミリーの質問に彼女は笑って応えました。
「分からないです。日記?なのかな?誰かが書いたものの様です。本はこれしかなくて、」
そうだ!と、何か思い出したアイラが言いました。
「ランプも必要ですね。夜は暗いから」
古いオイルランプも買い足します。魔導具の様に高価な照明は置いてありませんでした。
ほどほど買い込んで、エミリーが店主にたずねます。
「これで足りるかしら?」
彼女は中身を確認することなく、財布ごと渡してしまいました。受け取った財布を開き、店主が困り顔になります。
「あー、少し足りないようで……」
見ていた朝日は呆れました。
(お姫様の金銭感覚どうなってるの?)
「買い過ぎたようね。しょうがないから、いくつか戻しましょうか」
エミリーが荷馬車から商品を下ろそうとするのを店主が止めます。
「そんな事は手間ですから、まとめて買ってくれやしたし、今回は頂いた分で結構です」
「ダメよ!それは絶対にダメ!」
「いえ、いえ、お姫様にはいつも買っていただいてますので」
「姫だからって特別扱いしないで」
困る店主に朝日は言いました。
「じゃあ、足りない分はわたくしが払いますわ」
昨日、自分の荷物を受け取ったので財布は持っているのです。しかも兄から十分すぎる程のお小遣いを貰ったので、心配はいりません。金貨を取り出し渡します。
「あー、コレは……」
「あら、足りませんか?」
もう一枚金貨を取り出します。店主は頬をポリポリと掻き、益々困り顔になってしまいました。
「いえ、十分すぎるんです。これだと今度はこっちが返すおつりが無いんでさぁ。俺達は普段、金貨なんて高価なもんは使わないもんでして」
「そうなんですの?……どうしましょう」
財布を覗いてみましたが、金貨しか入っていません。
今度はアイラが提案します。
「じゃあ、おつり分を更に買い足したらいいんじゃないですか?」
「そうね!それがいいわ」
皆、店の中に戻ります。朝日はさっき諦めた壁掛け時計を手に取りました。店内にある古ぼけた品物たちとは違い、それはアンティークと呼ぶにふさわしい見た目をしており、値段が高そうに思えたので気が引けて買えなかったのです。
アイラは安楽椅子を買うらしく、店主に運んでもらっています。きっと椅子に揺られながら本を読むつもりなのでしょう。
エミリーは毛布をいくつも積み込んでいきます。朝日達が寒いと文句を言ったのを気にしているようです。
皆、タガが外れた様に買った為に、馬車は荷物でいっぱいになってしまいました。
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