イチメハ!! カン違いで始まる物語

二コ・タケナカ

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第9章

9-11

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9-11「ユウのターン」

「・・・・・・なにしてるの?」
振り返るとトイレから戻ってきたチェアリーが立っていた。
「よかった・・・・・・なんか、一緒にパーティーを組みたいんだって」
本当に助かった。オレ1人では、小さな子の相手など到底無理な気がしていたのだ。

「パーティーを?」
さっきの女冒険者の事もあるのでチェアリーはきっぱり断わってしまうかと思ったが、そこは子供相手だ。彼女は怪訝そうにしながらも、席についてくれた。
オレも女の子に話を聞くと言ってしまった手前、チェアリーがとりあえず話を聞いてくれそうで安心した。

「あなた、どこかで会った事ある?」
「ええ、数日前に街道ですれ違ったわ。ほら、あなた達 道のわきに生えていた旅人の木からオレンジを取ろうとしてたでしょ?その時に。」
「ああ、そういえばそんな事が・・・・・・」
言われてから思い出した。毎日いろんなことがありすぎて、数日前の事なのに随分時間が経ったように感じる。

「あなた、オレンジを取ろうとピョン、ピョン、ウサギの様に跳ねてたでしょ?」
女の子はその時の事を話しながら、子供らしい笑顔を見せてくれた。
オレの方は覚えてなかったが、どうやらこの子はオレ達の事を覚えていて、わざわざ声をかけてくれたらしい。

「ねぇ?パーティーっていっても、私達ちゃんとした冒険者って訳じゃないのよ。ギルドで依頼を受けたりしていないし、ここのところは狩をして何とかやりくりしている状態だし・・・・・・それにあなた、ピコ族でしょ?」
「そうよ」
(ぴこ族?)
エルフならメジャーな存在なので知っているが、ピコ族など初めて聞く言葉だ。オレが好きなゲームやラノベの世界にも出てこない。
(どんな種族なんだ?名前も見た目もかわいいけど、)

オレの疑問は彼女たちの会話から察することが出来た。
「ピコ族の強さは知ってるわ。私達とわざわざ組まなくてもいいんじゃない?」
「そうね・・・・・・今まで多くのモンスターを一人で倒してきたけど、パーティーっていうのがどんな感じなのか体験してみたくなってね。だから、少しの間組ませてもらうだけでいいのよ」
(一人で!?マジか・・・・・・)
こんな可愛い女の子が一人でモンスターを倒しまくっているらしい。
(そうか!それでビキニアーマーを)
チェアリーが教えてくれた。ビキニアーマーは強さの証なのだと。
この子はパーティーを組みたくて、自分の強さをアピールするために先ほどはあんな行動に出たのだろう。
(大人のマネなんかして)
そう思うと子供らしい発想だった事に、少し可愛く思えた。

(でも、モンスターはどうやって倒してるんだ?魔法か?)
こんな小さな子がモンスター相手に剣を振り回して戦っている姿は想像できない。ゲームなどであれば、背丈より大きな武器を振り回して戦うキャラは沢山いるが、この世界に来てオレは痛感した。武器というのは大きければいいというものではない。そもそも重くて振り回せないし、オレが借りているシンプルな剣でさえ常に持ち歩いていると邪魔でしょうがないのだ。
(そこら辺の設定はファンタジーと言うより、リアル寄りなんだよなぁ)
この子がどうやって戦うのか想像もつかないが、まだまだこの世界にはオレの知らない事が沢山あるという事だろう。

リンカの事を観察しているうちに、チェアリーが困った表情でオレの方をチラチラ見ているのに気が付いた。どうやらオレの意見も聞きたいらしい。
「いいんじゃないかな」
そんなに強い種族ならパーティーに入ってくれるのは心強い。それにチェアリーはお金の事を心配しているようだが、リンカは分け前はいらないという。ならば何も問題ないはずだ。
(エルフにピコ族か。色々な種族が居た方が冒険者っぽいよな)

「本当にいいの?」
彼女は子供ながらに気を遣っているのか、オレとチェアリーを交互に見ながら聞いた。その表情を見たら、改めて一人で放っておく事は出来ない気がした。
それは、今の自分の境遇に重ねていたのかもしれない。誰にも頼れず一人放り出されたオレは運よくチェアリーに救われたのだ。
「一人でいるのはさみしいだろ?少しの間かもしれないけど、オレ達と一緒にいればいいよ」
「うん、」
なぜ子供一人でいなければいけないのか、疑問は残るがそこは追々聞けばいいだろう。

チェアリーの方を見ると、その表情はまだ納得がいっていないようだった。
「チェアリーも、これから将来の事を考えたらオレ達ずっと2人だけって訳にはいかないだろ?」
モンスターを探して少しずつ行動範囲を広げるのなら、パーティーメンバーは増やす必要が出てくる。そのために昨日は野営の練習をしてきたのだから。
「なんて言えばいいのかな・・・・・・予行練習?みたいな?」
リンカの事をメンバーを増やす前の練習相手にするみたいで申し訳ないが、彼女だってパーティーがどんな感じなのか体験したいだけだと言っているのだから、そこはお互いさまだ。

「ユウがいいって言うのなら、私もいいよ」
チェアリーもオレの考えを分かってくれたらしい。
「よし!それじゃあ、これから早速モンスター探しに行こうか」
オレ達はそれぞれ準備を整え、宿を出た。
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