22 / 59
第22話 女騎士
しおりを挟むアユミさんには変装してもらい迷宮街に出る。
もう日が傾いてきている。急がねば迷宮の門が閉じてしまうだろう。迷宮入口を囲む塀を乗り越えることはできるがアユミさんを連れてやることではない。
急ぎ足で教会に向かいお布施をし、アユミさんは合掌。
「神様に回復魔法を使えるようになりたいと念じてください」
「神様に……ですか」
「レベルアップとかのアナウンスは管理神です。こちらには神が実在してます」
多分、神を信じてお願いすればいけるはずだ。
「回復士が解放されました!」
「回復魔法取ります?」
「取ります! 小治癒をください!」
「アユミさんスキルポイントあといくつありました?」
「あと12です。どれを取ればいいですかね?」
小解毒(SP2)と魔力向上(SP2)はどっちも取った方がいい気がする。でも意外と戦闘狂なんだよなこの人。稼げるSPが限られるので半端に回復士を伸ばすのもはばかられる。
「アユミさんはどうなりたいですか?」
分かっているスキルツリーと消費SPをメモ帳に書き込みキャラビルドを相談する。
「盾士のスキルはSP2の頑強向上でした。パーティ的にはタンク欲しいですよね?」
「アユミさんがタンクですか?」
「女騎士いいですよね。回復魔法使えるから女聖騎士!」
とてもゲーム脳だ。騎士なんていうジョブはない。いやそうとも言い切れないか。でも頑強向上は俺もちょっと欲しい。
すっかりパーティ前提で話が進んでいることに不安を覚えつつも、組んで迷宮に入ることには間違いないので同意することにした。
レベル15のアユミさんはこんな感じだ。
シーフ - 敏捷向上
盾士 - 頑強向上
挑発
回復士 - 小治癒
小解毒
魔力向上
残りSP 4
盾士はヘイト集めの挑発スキルまで取得、回復士は魔力向上と小解毒まで。盾士の新しいスキルは挑発と盾撃だった。盾撃は攻撃範囲アップ系だ。魔道士が解放されていなかったが何だかんだで魔法矢は有用なのでSPは残しておくことになった。
とりあえず魔法を覚えるところまではきた。いくら飲んでも自分でお酒を抜けるキャバ嬢の出来上がりだ。いいんだろうか。アユミさんを指名して酔わせてワンチャン狙いのお客さん達になんだか申し訳ない気分になる。
でも、よく考えると酔わせてワンチャン狙いの男ならどうでもいいか。
「まだ門が閉じるまでもう少し時間ありますけど、こっちで晩飯にします?」
「行きたいです!」
仕事をさぼったアユミさんを銀貨5枚食堂に連れていき、俺はナマズの様な白身魚を、アユミさんは謎肉の定食を堪能した。
肉の種類と魚の異世界語はなんとなく分かってきた。
「異世界の食事も思ったより普通ですね」
「ここはそれなりの高級店ですし。屋台とかはちょっと危ないですよ。日本人には衛生面で」
「汚いのはちょっと無理かなぁ」
無理だと思います。こちらのトイレも。
0
あなたにおすすめの小説
残念ながら主人公はゲスでした。~異世界転移したら空気を操る魔法を得て世界最強に。好き放題に無双する俺を誰も止められない!~
日和崎よしな
ファンタジー
―あらすじ―
異世界に転移したゲス・エストは精霊と契約して空気操作の魔法を獲得する。
強力な魔法を得たが、彼の真の強さは的確な洞察力や魔法の応用力といった優れた頭脳にあった。
ゲス・エストは最強の存在を目指し、しがらみのない異世界で容赦なく暴れまくる!
―作品について―
完結しました。
全302話(プロローグ、エピローグ含む),約100万字。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
氷弾の魔術師
カタナヅキ
ファンタジー
――上級魔法なんか必要ない、下級魔法一つだけで魔導士を目指す少年の物語――
平民でありながら魔法が扱う才能がある事が判明した少年「コオリ」は魔法学園に入学する事が決まった。彼の国では魔法の適性がある人間は魔法学園に入学する決まりがあり、急遽コオリは魔法学園が存在する王都へ向かう事になった。しかし、王都に辿り着く前に彼は自分と同世代の魔術師と比べて圧倒的に魔力量が少ない事が発覚した。
しかし、魔力が少ないからこそ利点がある事を知ったコオリは決意した。他の者は一日でも早く上級魔法の習得に励む中、コオリは自分が扱える下級魔法だけを極め、一流の魔術師の証である「魔導士」の称号を得る事を誓う。そして他の魔術師は少年が強くなる事で気づかされていく。魔力が少ないというのは欠点とは限らず、むしろ優れた才能になり得る事を――
※旧作「下級魔導士と呼ばれた少年」のリメイクとなりますが、設定と物語の内容が大きく変わります。
異世界に迷い込んだ盾職おっさんは『使えない』といわれ町ぐるみで追放されましたが、現在女の子の保護者になってます。
古嶺こいし
ファンタジー
異世界に神隠しに遭い、そのまま10年以上過ごした主人公、北城辰也はある日突然パーティーメンバーから『盾しか能がないおっさんは使えない』という理由で突然解雇されてしまう。勝手に冒険者資格も剥奪され、しかも家まで壊されて居場所を完全に失ってしまった。
頼りもない孤独な主人公はこれからどうしようと海辺で黄昏ていると、海に女の子が浮かんでいるのを発見する。
「うおおおおお!!??」
慌てて救助したことによって、北城辰也の物語が幕を開けたのだった。
基本出来上がり投稿となります!
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる