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第38話 付与術士

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「神様、付与術士になりたいです」

 合掌して、白く輝く宝玉に対してこいねがう。

『あなたの魂強度は22です。職業技能はマニュアルオペレーションで選択してください。残りスキルポイントは1です。職業付与術士の解放は……条件クリア……職業付与術士が解放されました』

「解放されましたね」

「私は解放条件が足りないみたいです」

 早速神様にお伺いを立ててみると付与術士があっさり解放された。アユミさんは解放条件が足りないようだが、魔道士系統のスキルもしくはある程度のレベルが必要なのかもしれない。

 付与術士 - 小刻印(必要2SP)
 残りSP1

 表意文字の刻印を魔力を込めて彫り、特殊な効果を付与する形式なのだが漢字もオッケーなようで汎用性が高そう。小刻印で刻めるのは1アイテムにつき1文字。毎日そこそこのMPを込め直さないとダメみたいだが「軽」とか「広」だけでも荷物運びが有利だ。スライム200匹を倒して取ってしまうのもありだ。

「付与術士の刻印、便利そうです」

「なるほど……。ところで先生、今レベルいくつですか?」

「……22です」

 別段、隠していたわけではないが少し気まずい。安全マージンを多めにとっているマイさん達新人組み3人がレベル10、数日とはいえ古参のアユミさんがまだレベル16なのだ。200匹チャレンジはやっていない。

「1人で8層に行ってるんですね?」

「「火属性魔法矢ファイヤーボルトの試し撃ちがてら、少し」

 怒っているのか呆れているのかその両方なのか。無言の圧が強い。

「……今度から盾役も連れて行ってください。先生に何かあったら諸々に支障が出ます」

「善処します」

 ……諸々とはレベルアップがメインなんだろう。9層への階段探しはマップがないため時間がかかる。夜のお仕事がある女性陣を連れての階段探しは現実的ではなかった。

「うまくノアとアイリとローテーション組んで出勤日数減らしますので盾役の私かアイリは連れて行ってくださいね」

 現実的になったけど客商売はそれでいいのか。

「お客様のコントロールもキャバ嬢の腕ですよ」

 顔に出ていたのか考えを見透かされてしまったようだ。そう言って笑ったアユミさんは女性陣とミーティングを始めた。

「では軽く6層と7層を周ってレベル16にしちゃいましょう!」

「「おー!」」

 スキルを取ってノリノリになった兜の人達は気炎を揚げた。

 もちろん付き合わされた。

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