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第40話 お泊り
しおりを挟む夜の迷宮に潜る。外を考えると明るく感じてしまうが迷宮は一日中薄暗いままだ。
5層を経由し8層へ。レベルが上がったせいもあり、2人でも危なげなく進む。
「巨大トンボなんですが大分速い上に、尻尾に毒を持っているので気を付けてください。ミイラが2体付きなのでミイラの数も稼げると思います。右手法で階段を探しながら行きますね」
「挑発で寄せますのでトンボを落としてもらうことってできますか?」
「注意を引いてもらえるなら羽を落としますね」
「お願いします」
頷き合い、アユミさんを先頭に武器を構えゆっくりと8層への階段を下りていく。1人では左手法で進んでいたので逆方向へ。早速、羽音だ。
「来ます」
「挑発!」
盾と刺突剣をぶつけ合わせた音に、トンボは空中で急停止してアユミさんの様子を伺っている。
「火属性魔法矢」
斜め後方から横合いへと移動した俺はトンボの羽に目掛けて火属性魔法矢を放つ。命中。
ブブブと羽音を鳴らしながら地面をのたうち回るトンボはアユミさんに任せ、遅れてやってきたミイラ2体の足も止める。
「魔法矢、魔法矢」
ミイラの足を消し飛ばすことで足止めして振り返るとアユミさんがトンボに止めを刺していた。止めを刺さないとレベルアップしないのが面倒な仕組みだ。
「レベル上がりました!」
「ミイラもお願いします」
「はい!200体まで頑張ります」
あれ、今日中に200体やるつもりなのかな?1人で長時間潜ったりする自分もアレだと思うけど嬉しそうにしているアユミさんも大分アレだ。大分ゲーマーだ。
行き止まりを行ったり来たり繰り返しながら敵を倒していく。トンボは挑発を食らうとなぜか一旦停止してしまうようで火属性魔法矢を当て放題だ。だが下への階段は見つからない。マッピング用に持ってきたノートも書き込みでこんがらがってきた。敵からドロップした魔石も2人のリュックでは収まらなくなっていた。
「ここも行き止まりか。ちょっと休憩しましょう」
時刻は23時。潜って4時間が経過していた。ペットボトルを取り出し喉を潤す。休憩はこまめに取っていたがさすがに足も疲れてきた。
「中々見つかりませんね。そろそろレベルアップしそうな気がします」
「ですね。次でレベル20でしたっけ?」
「はい。ミイラ200体で20になりますね。ゴブリン200もやりたいところですね」
「それはまぁ……次でもいいのでは。スキルは何を取るんですか?」
危険な香りがしたので話題を変更する。アユミさんはレベル12からSPを使っていないので結構SPが貯まっているはずだ。羨ましい。
「多分私、MP少な目なんですよね。なので魔法よりかは盾の使い方が上手くなりそうなシーフの身体制御で器用さUPとかの方がいいのかなと思っています。忍者の敏捷UPとか武闘家の動体視力UPも欲しいですね」
ステータスUP系は正直羨ましい。地味だが筋肉は裏切らないようにステータスUPも裏切らない。
「付与術士も気になりますよねぇ」
「付与術士は解放条件にもよりますがアイリに取ってもらおうかなと思っています。MP使わないですし。解放条件だめならノアですかね。レベル20か、魔力向上2つあたりが解放条件だと思いますが」
なるほど。とりあえず付与術士スキル持ちはパーティに1人いれば十分だろう。マイさんもMP使わないような気もするが。
「次のスキルが何か分かればいいんですけどね」
「手探りですね」
結局、アユミさんがミイラ200体完遂レベル20になったところで24時近くになっていたので引き返した。2時間かけて自宅に戻る。早く次のショートカットが欲しい。
「ほんとに泊まっていくんですか?!」
「はい。寝袋持ってきましたし。朝に教会までお付き合いお願いします」
我が家は1DK。ベッドは一つ。
床に掛け布団を敷いて寝袋で寝てもらうことになったのだが、この広くもない空間で女性と二人っきりで寝るというのは中々くるものがある。
「おやすみなさい」
「おやすみなさい」
レベルアップして無駄に強化された五感が寝息や身動ぎを拾ってしまう。
早くプライベートスペースとトイレ付きの家を借りよう。悶々としながら強く思った。
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