異世界いっといれ 〜失業したので異世界行き来しながらスキルで稼ごうとしていたがキャバ嬢に主導権を握られている

nov

文字の大きさ
52 / 59

第52話 拉致連行

しおりを挟む

「先生、診てもらえますか?」

診断ダイアグノーシス

 少女を拉致したままダンジョンへと連行し一息ついたところで、少女の状態を確認することになったのだが空気が重い。やらかしてこわばった顔のノアさんと少女を下ろした途端に若干距離を取るアユミさん。なにせ顔の半分が赤いボツボツで覆われているので得体のしれない伝染病に感染している恐れもある。あと獣が雑巾を絞った水に濡れたような刺激臭がする。

 ●水痘帯状疱疹ウイルス発症、サルコペニア、クワシオルコル、飢餓、頭部裂傷、上腕部打撲、脚部擦過傷、顔面部挫滅創

 うわーやばそう。
 かつてないほどの症状の羅列と、やはり伝染病に感染しているようだ。

「治せそうですか?」

「……ちょっとネットで調べないと何とも言えないですが大分良くないですね」

 とりあえず診断ダイアグノーシスを全員にかけてウイルスに感染していないかチェックをして感染していないことを確認して安堵する。ノアさんにも診断ダイアグノーシスを覚えてもらった方がいいかもしれない。使えるのが自分だけだと少し不安だ。

「衛生面でもとりあえずお風呂に入れた方がいいですね」

 やはりアユミさんも匂いが気になっていたらしい。服も元の色が分からないくらいに泥に汚れ、髪の毛も見ただけでゴワゴワだ。肌だって垢と土埃にまみれている。

「しょうがないのでとりあえず家に連れていきますか。ネットで検索したいですし」

「すいませんっす。軽率でした」

 アユミさんの冷ややかな視線で縮こまってしまったノアさんへの説教は後々アユミさんにお任せするとして、前向きに考えよう。現地の協力者をGetしたと思えばいい。少し日本語を覚えてもらえば通訳にもなる。ただ病気が治せるのならばだけど。

 よろよろと覚束ない足取りの少女を小脇に抱えてお持ち帰りすることにした。部屋に戻るときも自分と触れていなければだめなのでしょうがない。




 ダンジョンから出たドアを少女とアユミさん、ノアさんが即座に入っていく。そういえばそこがトイレ付バスでしたね。忘れてました。自分は入れないし台所で手洗いうがいだ。

 診断ダイアグノーシスの結果を検索し調べていく。水痘帯状疱疹ウイルスは仰々しい名前だが水ぼうそうだった。あの症状が水ぼうそうなのか帯状疱疹なのか判断はつかないが中治癒ミドルヒールあたりで治まりそうな気がする。傷も一緒に治るだろう。他の見慣れないカタカナ病名も栄養不足が引き起こす症状のようだ。タンパク質もビタミンもカロリーも足りていない。

「先生、何があったの~?」

 バタバタと慌ただしくしていたせいか、マイさんとアイリさんはさすがに起きたらしい。アイリさんは寝袋のまま同じ質問の視線を投げかけているだけだ。

「虐待されていた現地少女をノアさんが助けてしまいまして。水ぼうそうなので一応感染に気を付けてください。あ、タオルと着替え……はないか。とりあえずタオルを渡してもらえます?」

「は~い」

「お粥、作ります?」

 おお、アイリさん気が利く。

「お願いします。冷凍しているご飯もありますので。タンパク質とビタミンとカロリーが足りないみたいです」

「多分ミネラルも含め全部ですね。卵とかはあります?」

「はい、冷蔵庫に」

「現代社会の食で懐柔すればいいんですね。お任せください。うま味調味料の虜にしてやります」

 寝起きのせいか素なのか、にこりともしないままのアイリさんだったが何かを納得して何か理解しているようなので全面的にお任せしてしまうことにした。

 でも、うま味調味料の虜って何か怖い。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

処理中です...