記憶

ダンボ菩薩

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こんなことを書きたくなりました。
皆さんはどのように思うかしら?


生まれたばかりの赤ちゃんは拾われたご夫婦になつけずにいつも泣いてばかりいました。
赤ちゃんは捨て子でしたが、尊い血筋の王女の身柄です。一般の方にはどうしても懐けずに泣いてばかりいました。
4才になったある日、その子は人間が嫌い、日本人が嫌い、動物の方が良いと言って泣きじゃくり、育ての親は困ってしまいました。

親は少しの間この女の子をびっくりさせようと、山の洞穴に女の子を置いてきぼりにしてみました。そこはオオカミの巣でした。

親が去って行った後、オオカミたちはやってきました。女の子は会ったことのない生き物におびえましたが、オオカミは言いました「私たちとしばらく生きると良い。これから獲物を捕らえに行くからついておいで」と。女の子は「私はあなた達とは一緒に走れない。どうやってついていくの?」と聞きました。オオカミは「良いからついておいで」と言って洞穴を出て行きました。女の子は訳がわからないけれど、体がオオカミたちを追うために四つん這いになって走っている自分に驚きました。あっという間に時間は過ぎ、また洞穴に帰ってきました。
女の子は疲れているから眠りたいとオオカミに言いました。けれどお布団もないところでどうやって眠るのかわかりません。「どうやって眠るの?お布団は?」女の子は言いました。オオカミは「私たちと一緒に寝ると良い」と言いました。けれど女の子は洞穴の奥で一人で横になり、そのうちに眠りました。一人で眠るのは寒くて寂しいです。そんな震えて寝ている女の子をオオカミはなめて慰めました。女の子は夢うつつのままにオオカミたちの優しさに愛情を抱くようになりました。

そんな日が幾日続いたでしょう。
女の子はオオカミたちとの生活に慣れていきました。獲物を取りに行くオオカミたちについて行くと、オオカミたちは獲物を一緒に食べなさいと言いました。しかし、女の子は食べれないからと言って断りました。そんなことから獲物取りにはついていかない日もありました。しかし何も食べずにいる女の子のお腹はグウグウすいて体はがらがらになっていきました。

オオカミたちは心配して、木の実を食べる事を勧めてくれました。しかし女の子は言いました「木の上の実は高いところだから届かなくて食べられないよ」と。オオカミは言いました「木から落ちた実を拾って食べると良いの」。女の子はそれはそうだと感心して、落ちている木の実は美味しく食べ始めました。オオカミたちも安心しました。
木の実は少し食べるだけでも体は休まりました。


女の子はいつしか人間の生活を忘れて、オオカミ少女になっていきました。
オオカミとオオカミ少女になった王女の間には信頼が生まれていました。



ある日、親と町の人が洞穴を見に尋ねてきました。
オオカミになりきっている女の子にびっくりして泣き出しました。
母親は言いました「もう十分です、連れて帰ります」と。
町の人達も父親もそうだそうだと女の子をかついで洞穴を出て行きました。

オオカミは女の子に言いました「嫌なことがあったらいつでもここへおいで。私たちがいるから」と。
しかしそんな優しい言葉をかけたオオカミを町の人は拳銃で撃って殺してしまいました。
「野蛮なオオカミめ!」そう言って誇らしげに山を降りていきました。

女の子は何が良いことなのか、何が正しいのか、解らないまま、また馴染めない家族と暮らし始めました。

けれどもう泣くことはなくなりました。





今、王女は大人になり3匹の犬と夫と暮らしています。
そのうちの一匹だけはすごく荒くれる暴れん坊の犬です。
だけど王女はそんな荒くれ犬が一番大好きです。



おしまい


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