24 / 29
アルフォンス・リーンVS二体の四天王 -堪忍ぶ-
しおりを挟む
グラヴィウスの咆哮が石造りの遺跡に轟く。
「逃すものか! 女狐を捕らえて陛下への手土産にしたいところだが……
貴様らは確実にこの場で仕留めるっ!」
「ふん……勇者でもない半端者ごときが!」
リザミアの杖から緑の炎が噴き上がる。壁に炸裂した灼熱が石材を溶かし始めた。
アルフォンスの隻眼が怒りに燃える。
「この神殿に傷をつけるつもりか!」
剣を構えた彼が踏み込もうとした瞬間――
「行かせるものですか!」
リザミアの背後から無数の蔦が地面を突き破りアルフォンスへと襲いかかる。
同時にグラヴィウスの翼から放たれた紫色の波動が空間を歪ませた。
「くっ……!」
咄嗟に跳躍したアルフォンス。左腕があれば防げた蔦が右腕に絡みつく。
しかし彼の剣が閃き即座に切り払った。
「アルフォンス様!」
リーンの悲鳴。彼女を背後に庇いながらも焦燥が募る。
(まずい……このままではリーンが狙われる!)
アルフォンスが視線を走らせた遥か先――祭壇に突き刺さる神具が見える。
それを手にするためには最奥へ進まなければならない。
だが今のまま地下神殿で戦い続ける訳にはいかない。
「リーン。さっきも言った通り俺が時間を稼ぐ。あの最奥へ行ってくれ」
「ですが……!」
「俺を信じてくれ……あの神具が必要なんだ」
迷いのない瞳がリーンの心を打つ。
彼女は小さく息を呑むと頷いた。
「わかりました。必ず……アルフォンス様も無事でいてください」
---
リーンが走り去った直後。
「どこへ行くつもりだぁ!」
グラヴィウスの鉤爪がアルフォンスを捉えようとする。
しかしそれを紙一重で回避。
「お前の相手は俺だ!」
叫ぶと同時、アルフォンスの周囲に眩い白光が迸る。
その瞬間――グラヴィウスの動きが鈍った。
「何だ……この力は……」
リザミアが息を飲む。
「身体が欠落した、ただの半端者ではないということね……」
アルフォンスの右腕が輝きを増し、周囲の空間すら震わせた。
「来い! 俺の全身全霊を持ってお前たちの相手をしてやる!」
次の刹那――凄まじい衝撃音とともにアルフォンスの姿が掻き消えた。
次の瞬間、グラヴィウスの体躯がアルフォンスの剣で壁面に叩きつけられる。
「ぐぅっ!」
リザミアが動揺した瞬間。アルフォンスが風のように走り、
グラヴィウスとリザミアを身体で押し上げ神殿入り口を突破――!
「吹っ飛べっっ!」
彼はそのまま外へ飛び出した。
雪嵐吹き荒ぶ大地に降り立ち四天王たちを見据える。
「ここなら遠慮なく暴れられるだろう!」
グラヴィウスの翼が再び広がり、リザミアの魔法陣が展開された。
「舐めた真似を……」
「いいわ……徹底的に叩き潰してあげる!」
二体の魔将の殺気がアルフォンスに集中する。
---
風雪を裂いて交錯する刃と魔法――
「ぐっ……!」
グラヴィウスの鉤爪がアルフォンスの肩を掠めた。
僅かにずれた剣撃で致命傷は免れたものの、外套が裂かれ出血が滲む。
「まだまだぁっ!」
アルフォンスが吼えながら反撃する。
隻腕から繰り出される斬撃が、グラヴィウスの鱗に浅い傷を刻んだ。
「……やはり只者ではないな」
グラヴィウスの瞳に新たな光が灯る。
単なる戦士ではない……この男の内に潜む力を感知したのだ。
一方でリザミアも困惑していた。
「なんなの……? この男……」
アルフォンスの剣技は精緻でありながら圧倒的ではない。
なのに――
(なぜかしら? 接触した途端……肌に感じる……)
恐るべき圧倒的なエネルギーの予兆。
まるで内にある膨大な力を制御しているかのような感触。
「……召喚勇者などとは比較になりませんね」
グラヴィウスが呟く。
リザミアも同意するように頷いた。
「ええ……この男……本当に魔王様と同格かもしれないわね」
その認識が両者の意識を変えた。
"解放者"アルフォンスはただ強いだけではなく――
本物の勇者……と思ってしまうだけの何かを感じた。
「確実に仕留める必要がある……」
グラヴィウスの鉤爪に禍々しい瘴気が纏わりつく。
リザミアもまた古代語の詠唱を開始した。
アルフォンスが後退する。
「くそっ……」
剣の限界が近い。そもそも神具がどれ程の物なのか不明だが、
今使っている剣では勇者のチカラが発揮できない。
皮肉にもリザミアの評は的を得ていたのだ。
アルフォンスは内なる勇者のチカラを目覚めさせてからずっと、
全力を出さないように膨大なチカラを緻密に制御していたのだから。
この剣が壊れれば右腕の拳ででも……彼は心を決める。
リーンが神具を入手するまで……この場を死守しなければならない。
(リーン……頼む。間に合ってくれ……!)
迫りくる四天王の猛攻にアルフォンスは渾身の力で応じる。
---
凍てつく風が石壁の隙間から入り込みリーンの足元を掠める。
息を切らしながら最奥を目指す少女。
アルフォンスとの約束が胸に焼き付いて離れない。
「必ず……アルフォンス様に届けなければ……」
地下神殿の暗闇の中を懸命に進むリーン。
その耳には風雪の唸りと遠くで戦うアルフォンスの気配が伝わってくる。
(私も共に戦いたい……)
女神の聖女としての使命もあるが、それ以上にただ想いが湧き上がる。
彼と共に立てる存在でありたいという願い。
アルフォンスと共に戦い、彼を守りたいのだとリーンの内なる心が訴えていた。
やがて薄明かりが差す祭壇に辿り着いた。石台に刺さる一振りの剣――
「これがアルフォンス様の……」
震える手で触れると温かい感触が伝わってきた。
飾り気のない無骨な長剣だが不思議なまでの存在感を放っている。
アルフォンスのために運ぶべき武器が目の前にあるのに――
リーンの胸にひとつの想いが駆け抜けた。
「私は……!」
聖杖「聖痕の杖」を握り締めた、彼女の内から力強い意思が溢れ出してきた。
「逃すものか! 女狐を捕らえて陛下への手土産にしたいところだが……
貴様らは確実にこの場で仕留めるっ!」
「ふん……勇者でもない半端者ごときが!」
リザミアの杖から緑の炎が噴き上がる。壁に炸裂した灼熱が石材を溶かし始めた。
アルフォンスの隻眼が怒りに燃える。
「この神殿に傷をつけるつもりか!」
剣を構えた彼が踏み込もうとした瞬間――
「行かせるものですか!」
リザミアの背後から無数の蔦が地面を突き破りアルフォンスへと襲いかかる。
同時にグラヴィウスの翼から放たれた紫色の波動が空間を歪ませた。
「くっ……!」
咄嗟に跳躍したアルフォンス。左腕があれば防げた蔦が右腕に絡みつく。
しかし彼の剣が閃き即座に切り払った。
「アルフォンス様!」
リーンの悲鳴。彼女を背後に庇いながらも焦燥が募る。
(まずい……このままではリーンが狙われる!)
アルフォンスが視線を走らせた遥か先――祭壇に突き刺さる神具が見える。
それを手にするためには最奥へ進まなければならない。
だが今のまま地下神殿で戦い続ける訳にはいかない。
「リーン。さっきも言った通り俺が時間を稼ぐ。あの最奥へ行ってくれ」
「ですが……!」
「俺を信じてくれ……あの神具が必要なんだ」
迷いのない瞳がリーンの心を打つ。
彼女は小さく息を呑むと頷いた。
「わかりました。必ず……アルフォンス様も無事でいてください」
---
リーンが走り去った直後。
「どこへ行くつもりだぁ!」
グラヴィウスの鉤爪がアルフォンスを捉えようとする。
しかしそれを紙一重で回避。
「お前の相手は俺だ!」
叫ぶと同時、アルフォンスの周囲に眩い白光が迸る。
その瞬間――グラヴィウスの動きが鈍った。
「何だ……この力は……」
リザミアが息を飲む。
「身体が欠落した、ただの半端者ではないということね……」
アルフォンスの右腕が輝きを増し、周囲の空間すら震わせた。
「来い! 俺の全身全霊を持ってお前たちの相手をしてやる!」
次の刹那――凄まじい衝撃音とともにアルフォンスの姿が掻き消えた。
次の瞬間、グラヴィウスの体躯がアルフォンスの剣で壁面に叩きつけられる。
「ぐぅっ!」
リザミアが動揺した瞬間。アルフォンスが風のように走り、
グラヴィウスとリザミアを身体で押し上げ神殿入り口を突破――!
「吹っ飛べっっ!」
彼はそのまま外へ飛び出した。
雪嵐吹き荒ぶ大地に降り立ち四天王たちを見据える。
「ここなら遠慮なく暴れられるだろう!」
グラヴィウスの翼が再び広がり、リザミアの魔法陣が展開された。
「舐めた真似を……」
「いいわ……徹底的に叩き潰してあげる!」
二体の魔将の殺気がアルフォンスに集中する。
---
風雪を裂いて交錯する刃と魔法――
「ぐっ……!」
グラヴィウスの鉤爪がアルフォンスの肩を掠めた。
僅かにずれた剣撃で致命傷は免れたものの、外套が裂かれ出血が滲む。
「まだまだぁっ!」
アルフォンスが吼えながら反撃する。
隻腕から繰り出される斬撃が、グラヴィウスの鱗に浅い傷を刻んだ。
「……やはり只者ではないな」
グラヴィウスの瞳に新たな光が灯る。
単なる戦士ではない……この男の内に潜む力を感知したのだ。
一方でリザミアも困惑していた。
「なんなの……? この男……」
アルフォンスの剣技は精緻でありながら圧倒的ではない。
なのに――
(なぜかしら? 接触した途端……肌に感じる……)
恐るべき圧倒的なエネルギーの予兆。
まるで内にある膨大な力を制御しているかのような感触。
「……召喚勇者などとは比較になりませんね」
グラヴィウスが呟く。
リザミアも同意するように頷いた。
「ええ……この男……本当に魔王様と同格かもしれないわね」
その認識が両者の意識を変えた。
"解放者"アルフォンスはただ強いだけではなく――
本物の勇者……と思ってしまうだけの何かを感じた。
「確実に仕留める必要がある……」
グラヴィウスの鉤爪に禍々しい瘴気が纏わりつく。
リザミアもまた古代語の詠唱を開始した。
アルフォンスが後退する。
「くそっ……」
剣の限界が近い。そもそも神具がどれ程の物なのか不明だが、
今使っている剣では勇者のチカラが発揮できない。
皮肉にもリザミアの評は的を得ていたのだ。
アルフォンスは内なる勇者のチカラを目覚めさせてからずっと、
全力を出さないように膨大なチカラを緻密に制御していたのだから。
この剣が壊れれば右腕の拳ででも……彼は心を決める。
リーンが神具を入手するまで……この場を死守しなければならない。
(リーン……頼む。間に合ってくれ……!)
迫りくる四天王の猛攻にアルフォンスは渾身の力で応じる。
---
凍てつく風が石壁の隙間から入り込みリーンの足元を掠める。
息を切らしながら最奥を目指す少女。
アルフォンスとの約束が胸に焼き付いて離れない。
「必ず……アルフォンス様に届けなければ……」
地下神殿の暗闇の中を懸命に進むリーン。
その耳には風雪の唸りと遠くで戦うアルフォンスの気配が伝わってくる。
(私も共に戦いたい……)
女神の聖女としての使命もあるが、それ以上にただ想いが湧き上がる。
彼と共に立てる存在でありたいという願い。
アルフォンスと共に戦い、彼を守りたいのだとリーンの内なる心が訴えていた。
やがて薄明かりが差す祭壇に辿り着いた。石台に刺さる一振りの剣――
「これがアルフォンス様の……」
震える手で触れると温かい感触が伝わってきた。
飾り気のない無骨な長剣だが不思議なまでの存在感を放っている。
アルフォンスのために運ぶべき武器が目の前にあるのに――
リーンの胸にひとつの想いが駆け抜けた。
「私は……!」
聖杖「聖痕の杖」を握り締めた、彼女の内から力強い意思が溢れ出してきた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
