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本編
44. ノルフェント (下) ☆
キディリガン家の自室のベッドへ転移した。
身体は、どんどん熱くなるばかり……。
肌に触れる服の感触が…ざわざわして、落ち着かない。
其れが嫌で、服を全部脱ぎ捨てて…全裸になったけれど……今度は肌に触れる僅かな空気の動きにすら……ゾクゾクする……。
ど、どうしよう……。何、これ……。
胸の頂きがツンと尖って……股間のモノは固く……勃ち上がっている……。
肌に触れる…シーツの感触にも…さわさわする……。
身体の熱はジリジリと上がる一方……。皮膚の下をじりじりとした弱い痺れが……無数に……這い回っているみたい……。
其の痺れが…胸の頂きを…更に刺激する……。お腹の下が…じんじんと疼いて痺れる……。
身動ぐ度に、自分の髪が肌を撫でて……震える……。
魔法で……子種を抜かなくちゃ……。
そう、思うのに……上手く魔法が発動しない……。
「……ど…うし…て……?」
いつも……している事なのに……。
そうしている間にも、どんどん……疼きが強くなって…痺れが強くなって……燻ぶる火に……炙られているみたい……。
股間のモノは、どんどん張り詰めて……どうにかしたくて堪らない……。
思わず、手で握りしめる。
「ひぁっ……!」
余りに強い刺激が奔って、慌てて手を離す。
でも……其処を……どうにかしたくて……どうにかしたくて……堪らないのにっ……!
全身をぞくぞくと……悪寒でも怖気でもない……癖になりそうな……甘い痺れが駆け回る……。
股間も胸の尖りも……きゅう~っと痛いほど固くなる……。
どうして良いか分からなくて……涙が出る……。
……た……たすけ…て……。だ…誰か……。
…………たす……け…て………ハー…シャ………!
「─ハーシャ……ハーシャっ……ハーシャっ…!!」
ざわざわ、ぞくぞくする自分の身体を抱き締めながら、必死でハーシャの名前を呼ぶ。
泣きながら、何度も、何度も……彼を呼ぶ。
ハーシャは……今日は……何処に行ったんだっけ……?
確か……。
思考が滑って上手く考えられない……。必死に思い出そうとしても……身体の疼きに……簡単に、引き戻される……。思考が散漫して……身体の感覚に支配される……。
ダンジョン……。
いつも、ダンジョンに行っているから……多分……ダンジョンに……行ったんだと思う。
ダンジョン………ギルドカード………。
繋がるか……分からないけれど……連絡を……。
収納空間からギルドカードを何とか取り出して、たすけて、部屋。とだけ入力する。
「…ぅあっ……!……はっ……はっ……!」
たった…其れだけの動きでも、僅かに掠めるシーツや自分の身体を擽る髪に……震える……。
「……ハーシャ……た…すけて……どう…し…よう……どう…すれ…ば……っ…!……ハーシャ……お…ね…がい……、早く……来てっ………!」
ぼろぼろ泣きながら、ハーシャを呼ぶ。
呪文の様に、其れしか知らないみたいに……。
……張り詰めた股間が痛いっ……!……尖り切った……胸の頂きが痛いっ……! 身体が…熱くて…熱くて…脳が…茹で上がってしまいそうっ……!!
「ノルフェ? 居るのか…?」
待ち焦がれた声が、寝室の扉の奥から聴こえた。
「っ!!……ハー…シャっ…!……ハーシャっ…!!……ハーシャっ……!!!」
ハーシャの声に、これ程の歓びを感じたことはない。
来てくれたっ……!! ハーシャがっ…!……来てくれたっ……!!!
涙でぐしゃぐしゃになりながら、必死に、ハーシャを呼ぶっ……!
「どうした…? 何があった…?」
困惑を滲ませたハーシャの声が近付いて来て、寝室の扉が開く。
「っ…!」
ハーシャと眼が合った。
ぽっちゃりじゃない、元の姿のハーシャが私を見て…眼を見開く。
ハーシャの姿を見たら、安堵から…益々、涙が溢れる。
「……ハーシャっ……!……たすけ……て……っ!!」
ハーシャに向かって……震える……手を伸ばす……。
彼の眼の前に、自分がどんなみっともない姿を晒しているのかなんて……考える余裕も無い。
早くっ…、早くっ…、この疼きを……どうにかして欲しいっ……!
「はあぁ~~~……。媚薬……だろうな……」
深い、深い、溜め息を吐いて、ハーシャが近づいて来る。
──媚薬…?
「──あれ程言ったのに……。でも、まあ……此処まで逃げて来たのなら……上出来だな……」
「ぅあっ……!」
頭を撫でられて…頭皮がざわりと泡立った。
「──まだ…一度も、出していないのか……?」
ハーシャが私の下半身を見て、呟く。
…………子種…の……こと……?
「……ま、…ほう、……使えな……かった……っ!……」
「魔法? ──ノルフェ……媚薬に侵されたら、魔法で子種を抜いても効果は無いよ。──只管、擦って…子種を出し切るしかない」
痺れて茹だりそうな頭で、ハーシャの言っていることを必死に理解しようとする……。
「───こす…る……?」
なに…を………?
「──まさか……擦った事、……ないのか……?」
「……???……」
ハーシャは物凄く驚いた顔をして……全ての息を吐き出す様な……大きな溜め息を吐いて、がっくりと項垂れた。
「──分かった。教えてやる……」
ハーシャは、気を取り直したように顔を上げた。
「兎に角、一回、抜くぞ」
ハーシャの大きな手が、私の張り詰めている股間を軽く握った。
「ぅあっあぁあっ…!!」
軽く握られただけなのに……強烈な刺激が駆け上って……子種が……出てしまった………。
ガクガクと震える身体。駆け巡る甘い痺れ。此れが……欲しかった刺激だと……分かった……。
ハーシャに魔力を流された時と……同じ……。
ハッ、ハッ、と荒く息を吐く……。でも……疼きは止まらない……。
「──少しは、落ち着いたか……?」
ハーシャの声に、自分の股間を見る。
──私の……子種が…ハーシャの手を汚していた…。
羞恥で顔が、益々……熱くなる……。
ハーシャの手が、私の右手首を掴んで……私の股間のモノを握らせる。
「いいか? 恥ずかしい事じゃない。男なら誰でもしていることだ。──此処を軽く握って……こんな風に……上下に擦るんだ……」
震えて力の入らない私の手の上から、ハーシャの大きな手が重なり……そのまま、上下に動かされた。
「あっ…!……やっ、……やあぁっ…!!」
その…刺激に…強烈な疼きが暴れ回る。ざわざわと何かが上ってくる……。声を抑えることが……出来ない……。
ざわつく何かが身体を駆け上がって、頭の中を白く灼いた。残滓のような痺れが身体を震わせる…。
強烈な其の感覚を味わっても…終わらない…。身体の疼きは止まらない…。
頭は…もう…碌に、ものを考えられない……。
「………ハー…シャ………疼く…の……。た…すけ…て……」
甘い…痺れに震える指を…ハーシャに伸ばす…。
その手を、ハーシャが握ってくれた…。
「…もう、何も考えるな。身体の感覚に溺れちまえ…。全部、媚薬のせいだ……」
ハーシャは、低く優しい声で囁いて…其の手を動かし始めた。
「んぁっ……!…あ…ぁあぁっ……!」
酷く、敏感になっているそこは……強く、刺激を拾い…切ない程の甘い疼きと…きゅうっと引き絞られるような痛みを与えてくる…。
ガクガクと震える身体……止まらない涙……絶えず漏れ出る声……真っ白になる頭の中……其れでも、更に刺激を、もっと刺激を…欲しがる身体…。
足り無い、足りない、たりない……。
もっと……欲しい……。もっと、もっと、欲しい……。
──もっと……触って……ハーシャ……。
気が付けば……部屋の中は……真っ暗だった。
……夜……?
瞼が…固くて、重い……。何で……?
怠い………。身体を動かしたくない……。
──頭が……ぼーっとする。
──いつ…、寝たんだっけ……?
働かない頭で記憶を遡る。
そうだ……サドラス達と……お茶をして……。
身体が…熱くなって…キディリガン家の自室に転移した……。
疼き、痺れる身体に……如何仕様も無くなって……ハーシャに……助けを求めた……。
ハーシャは、ちゃんと……来てくれた……。
其の後は───。
顔に一気に熱が上る。
あ、あんな事…ハーシャにしてもらったなんてっ…!
あんな……、あんな……、恥ずかしいコトっ……!!
何か……色々、お願いした様な気がする……!
胸の頂きが、ヒリヒリ、ジンジンするのは……きっと……そのせい……。
恥ずかしくて、身悶えていると……頭に大きな手が乗った。
え……?
「──起きたのか…?」
ハーシャの声……。まだ、居たの……?
部屋に弱い灯りが灯る。
眼の前には、ハーシャの身体。恐る恐る顔を上げると、どこか……憔悴した様な、ハーシャの顔があった。
「……ㇵ―……ャ……」
名前を呼ぼうとしたけれど、声が掠れて上手く呼べなかった。
ハーシャは、収納空間から水を取り出して差し出して来る。
怠い身体をどうにか起こして受取ると、ごくごくと飲み干した。もう一杯、渡されて其れも飲み干す。
ふうっと、落ち着くと……自分が全裸だと謂うことに気が付いた。
慌てて、布団の中に潜る。
恥ずかしいっ…! 恥ずかしいっ…!!
猫になってしまいたいっ…!!
頭上から、ハーシャの溜め息が聴こえた。
「ぁ、…あの…、助けてくれて…ありがとう……」
布団で顔を隠しながら、お礼を言う。
「─おう…」
「あ、あのっ…! 猫になる……薬……ほ、欲しい…で…す」
「駄目です」
きっぱりと断られた。
「……ど、どうして……?」
「──これから、説教をするからです」
……説教? 何を……怒られるの?
──もしかして、急に呼び出したりしたから……?
其れとも、ハーシャに…あんな、恥ずかしいコトをさせたから……?
「でも……説教は明日な。──今日は疲れただろう? もう少し寝ろよ」
ハーシャは、私の頭を引き寄せて胸に押し付けた。
「──無事で……良かった……。おやすみ、ノルフェ……」
ハーシャは……小さな声で囁くと私に眠りの魔法を掛けた。
ハーシャの……暖かな魔力に包まれて、その心地良さに抗うこと無く眠りに落ちた。
翌朝、目覚めるとハーシャは居なかった。
まだ、何処と無く力の入らない身体を起こす。
怠いけど、スッキリはしていた。
自分の身体と部屋に浄化魔法を掛ける。
胸と股間がヒリつく。
全裸の身体を見下ろしてみる。
両方の胸の頂きは、真っ赤になって……小さな乳首が、少し……大きくなった様な……?
ジンジンとヒリヒリが混ざって……其れに刺激されている様に……立ち上がっている……。
──私が泣いて、懇願して、触って貰った……。
此処も、父王の嫌な感触しか無かったものが、一気にハーシャに塗り替えられた……。
そっと指で触れてみると、敏感になっているのか身体がビクリと跳ねた。
自分の胸に、治癒魔法を掛ける。
こんなに敏感で、ジンジンしていたら服が着れない…。
股間のモノを見れば、先端が赤くなっていた……。でも、こんな形だったかな……? 何か、前と違うような……?
ヒリつく其処にも治癒魔法を掛けながら、首を傾げる。
お腹が空いたな……。
ベッドから抜け出して服を着る。ぐしゃぐしゃの髪は、メルにお願いしなきゃな。
寝室を出ると、ソファに本来の姿のハーシャが座っていた。
「──お、おはよう……」
どうしよう……。恥ずかしくて、眼が合わせられない。
「おはよ」
ハーシャは私を見ると、挨拶しながら自身の隣をぽんぽんと叩いた。
─座れって、事だよね……。
そろそろと近付いて座る。
「腹、減っただろう」
ハーシャはテーブルの上に次々と食事を出して行く。
ゴロゴロと木の実が入ったパン、炙った厚切りベーコン、私の好きなチーズオムレツとコーンスープ、アスパラと海老のサラダ。ミルクとオレンジジュース。
ここの食事はとても美味しいので、此処に来る前と比べて食べる量がかなり増えた。
「いただきます」
お腹が空いていた私は、直ぐに食べ始める。
ハーシャも隣で黙々と食べている。
満足行く迄食べると、暖かいお茶を出された。
「─さて、昨日、何があったのか説明してくれる?」
ハーシャが改めて聴いてきた。
私はサドラスとガーデンで、お茶をした事を話した。
「学園では、自分で持っているもの以外、口にするなって言っていたと思うけど?」
「うっ…、ちゃんと、覚えてる」
「……ふーん?」
「そ、その、何度も断ろうとしたんだけれど…話しを何度も遮られて……ちょっと興味のある話しがあったから、其れを聴いていたら……テーブルに……」
「それで?」
悪い事をしている訳じゃないのに、尋問されている気分になる。
「ちゃんと全部鑑定したんだよ。問題無かったから大丈夫だと思ったけれど、ハーシャの言葉があったから…唇を濡らす程度に止めようとしたんだ…」
「─そっか…」
ハーシャの口調が少し和らいだ。
「飲もうとした時に、背中に給仕の者が打つかってきたみたいで……そしたら、サドラス殿がカップを持った私の腕を押さえたから……開いた口にお茶が入って、吐き出そうとしたらナプキンで口を押さえられて……飲むしかなかったんだ……」
「何て謂うお茶か、覚えてる?」
「確か……鑑定には……紅イーラメンのお茶って……」
「紅イーラメン……飲んだのは其れだけ?」
「……喉がやけに渇いて……そしたら、水を渡されて…飲んだ……」
「其れは、鑑定した?」
「…………しなかった………」
ハーシャが溜め息を吐いた。
私はしょんぼりと肩を落として小さくなる。
「紅イーラメンと謂うのはな、それ単体では身体が熱くなるだけで、精々、汗が出て喉が渇くだけだ」
「─そう、なの?」
「ところが、紅イーラメンを飲んだ後に白イーラメンを飲むと……途端に強力な媚薬になる」
「──え?」
「恐らく、後から飲んだ水が白イーラメンだったんだろうな」
「そんな……」
私は愕然とした。
「その、サドラスと謂う男と給仕は仲間だな。─ノルフェを凌辱しようとしたんだろう。二度と近付かない方が良い」
「私を……?」
私を凌辱しようと……した……? 男の私を……?
私が転移で逃げていなければ、……ハーシャにしてもらったことを……サドラスが……?
嫌だ……。
想像しただけでも、気持ち悪い……。
ぞくりと身震いする。
「──ノルフェ…。俺と集中的に勉強して、文官科を飛び級で履修してしまうか?」
ハーシャが尋ねてきた。
そう、したい。だけど……。
「文官科を履修してしまったら……私は……行く所が無いよ……」
学園を卒業してしまったら……私は、第五王子ではなくなる。厄介なスキル持ちの、魔王候補の、平民だ。
誰も護ってはくれなくなる。
ハーシャだって……。傍には……居てくれない……。
「此処に居ればいいだろ?」
「え…?」
「平民になっても、此処に居ればいい。俺だって、何れは平民だよ? 冒険者としてダンジョンで稼いで、兄上を支えるつもりだ」
「──いいの?」
思わず、縋るようにハーシャを見てしまった。
「居たいだけ居ればいい。嫌になったら出て行ってもいいよ」
居たいだけ……。じゃあ……ずっと、居てもいいの……?
私は、コクリと頷いた。
「それと──、一つ言っておきたいんだけど……」
急に、ハーシャの歯切れが悪くなる。
「なに?」
「あー……。子種を抜くときな……ずっと今迄、魔法で処理してきたのか?」
ハーシャの質問に昨日の事を思い出して…顔が赤くなる。
「う…うん…」
「─あのな、魔法で処理していると……勃たなくなるぞ…?」
「─え……?」
思わぬ言葉に固まってしまった。
勃たなくなるって事は……男として、使い物にならなくなるって事……? 子作りが出来なくなる……?
「……だから、此れからは、ちゃんと擦って出す癖を付けろよ?」
ハーシャは困った顔をして苦笑した。
「…?…分かった…」
取り敢えず、返事をしたけれど……。
擦る……? 昨日、ハーシャがしてくれたみたいに……自分で……するの……?
──私に……出来るかな……。
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