穢れても壊れても君がいい

夢線香

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穢れて壊れてなくなっても (上所 専心)

30. イライラする

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 学校側から草花谷の面倒を見ることを頼まれて草花谷と同じクラスになった。

 草花谷は俺の真後ろから斜め後ろに位置が変わり、俺の鞄の肩紐を握り締めて歩くようになっていた。


 前よりも俺に対する依存度が上がっていて気分がいい。


 席も考慮され、俺の隣に席が作られた。

 前の席には馴染みのある松尾がいるし、斜め前はには面倒見のいい委員長の平木がいる。

 後ろの席だから窓と後ろの壁で不安はないはずなのに、席に座らずに俺の直ぐ後ろにぴったりと張り付いて立っている。

 はたから見たら異様な光景だ。

 俺が黙って机をくっ付けると漸く座った。それでも椅子をギリギリまで俺の椅子に寄せて座る。

 肩と肩が触れるほど近い。

 そんな草花谷に益々俺の欲求は満たされる。

 動き難いけど気にしない。


 俺を頼り切って縋る草花谷は最高だ。




 草花谷の抱える問題が気になって虐待のことや男同士のセックスについて調べてみた。

 なんとなくは知っていたけど、本当にそこに挿れるのかと驚く。

 草花谷がこんなことをされていたのかと思うとイライラする。


 草花谷の前髪を切った奴が二週間の停学を終えて謝りに来た。

 草花谷が俺の背中にべったりと張り付いて離れないから、まるで俺が謝られてる感じになる。

 何度も謝る男子生徒を無表情で眺めながら草花谷に許すのかと尋ねたら頷いた。

 草花谷の異常な長さの前髪は鬱陶しいが、それで顔が隠されて安心できるのならそのままでいい。

 あの騒動で酷いクマが張り付いた草花谷の顔を見た連中は、逆に前髪をそのままにしていて欲しいと思っただろう。


 それぐらい酷いクマだったからな。



 草花谷を張り付けて過ごしているうちに、高校生活で二度目の夏休みになった。

 夏休み中、俺は達と会うことが増える。小遣いも増える。

 草花谷には、ただバイトをしているとだけ教えてある。

 部屋にいる時は草花谷と一緒に飯を食べた。

 お互いにあまり話さないけど、草花谷は俺から離れない。

 動き難くても放っておく。



 そんなある日、夕飯の時間になっても草花谷が部屋に来ない。

 前日から泊まりでと会っていたから草花谷がどうしていたかは知らない。

 飯は要らないと云う連絡も来ていない。

 合い鍵を使って草花谷の部屋に入る。

 草花谷は、ベッドで布団に包まって丸まっていた。


「おい、草花谷」


 声を掛けると草花谷はもぞもぞと動いて布団から顔を出し、やっと出て来てくれたと泣きながら言う。

 その顔は赤く腫れあがって唇が切れている。

 そんな酷い顔で何度も呼んだのにと泣かれたら、謝るしかない。


 草花谷の状態に腹が立った。


 俺の知らない所で誰にこんな酷い事をされたのかと怒りが湧く。


 俺のものを勝手に傷付けやがって!


 俺のものじゃないはずなのに、いつの間にか草花谷を俺のものだと思っている自分がいた。

 俺は、イライラしながら草花谷を担ぎ上げて部屋に連れ帰り、草花谷の口に飯を詰め込んだ。

 口を開くとイライラのせいで何を口走るかわからなかったから、黙々と草花谷の世話をする。

 どうやら、ご褒美を断ろうとして……セックスを断ったら暴力を振るわれたようだ。

 結局、断れなかったらしい。


 断れないセックスは強姦レイプだろ。


 ベッドに一緒に入って俺に縋り付いてくる草花谷の頭をわしゃわしゃと撫でる。


 魘される寝言は、

 
 だった。


 イライラする。


 草花谷は、母親にセックスを強要されている。


 一体、いつから?


 イライラする。


 少なくとも、草花谷の常識が歪むほど幼い頃だと推測できる。


 イライラする。イライラ、イライラ。


 イライラする。

 
 草花谷が深く眠ったあと、俺はイライラが治まらなくてベッドを抜け出し草花谷の部屋に行った。草花谷のスマホを持って部屋に戻る。

 スマホに草花谷の指を当ててロックを解除してから暗いリビングのソファに座り母親とのやり取りを確認した。

 草花谷は何度も断っていたのに母親の圧に負けて会うことになったようだ。

 俺は草花谷になりすましてメッセージを送る。


 『お母さんに会いたい』


 そうしたら直ぐに返信が来た。


 『明後日、十時に◯◯駅で会いましょう』


 打ち込んだメッセージと返信を削除する。

 俺は、無言でスマホをテーブルに置いた。

 スマホの画面が消え、青白い光がなくなり暗い部屋に戻る。


 に手を出す奴は、



 許さない。


 


 朝方に、草花谷が起きたかと思えば俺にご褒美をくれると言う。

 草花谷の言うご褒美はセックスのことだから要らないと言うと、あげると言って聞かない。

 俺は、草花谷の言うご褒美は虐待だと突き付けた。


 それがまずかった。


 今まで信じていたものが崩れるのが怖いのか、頑なに認めようとしない。


 虐待されていた事実を認めたくないんだ。


 いつからされていたのか知らないが見事に洗脳されていた。

 俺にご褒美をあげると言って癇癪を起こしたように暴れて泣きじゃくるから、ご褒美を貰うしかない。


 俺のモノを下着から取り出して色がキレイだと言われて、なんとも言えない気分になる。

 はっきり言って俺のソレは、達を相手に結構使い込んでいるからキレイとは言えない。

 それなのに草花谷は、ソレをキレイだと言う。

 俺のコレがキレイなら草花谷のはもっと凄い色ってことになる。

 草花谷は、躊躇ためらいもなく俺のモノを口にした。

 ぶたれて腫れ上がった顔で、泣き腫らした顔で一生懸命俺のモノをしゃぶる草花谷に色んな感情が湧いてきて、俺の頭の中がぐちゃぐちゃになりそうだ。


 正直に言えば、ヤバいほど上手かった……


 こんなに上手くなるほどさせられたのかよ。


 そう思ったら、何故か怒りが湧いてきて気分が悪い。

 暫く、不機嫌な気分が治まらなくて困った。

 草花谷の前髪を退けて見れば、クマがかなり薄くなった草花谷の顔は腫れていても綺麗な顔だと分かる。

 幼い頃なら尚の事、かなり可愛かったに違いない。


 本当に。


 なんで草花谷は女じゃないんだろうな。


 ああ~…………イライラする。

















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