私のスキルが、クエストってどういうこと?

地蔵

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第321話

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 午後からの本戦を観戦することも出来ず、闘技場の外で盛り上がる歓声を聞いていた。
 闘技場内の歓声や、周囲にいる予選敗退者などの話から本戦はトーナメント戦になっていることを知る。
 予選会同様に後衛職(回復職)から始まる。
 前衛職の予選会で負傷した参加者を回復させる競技だったようだ。
 大会運営者が似たような重傷者を選んで、より早く回復させて目を覚ませた方が勝者となる。
 歩けるものは自力で出口に向かわせているので、必然的に重傷者だ。
 常識的に考えれば非人道的だが、闘技大会には自己責任で参加している。
 大会運営が怪我人を治療する必要などない。
 無償で治療してあげるだけ良心的だと考えているくらいだ。
 本戦が進むにつれて、治療する人数が増える。
 そして、後衛職(回復職)の優勝者が決まった。
 彼女の名はケアリーラ。
 魔法の使い過ぎなのか、優勝すると同時に体調不良を訴えて、そのまま控室で体を休める。

 後衛職(攻撃職)の本戦が始まる。
 闘技場を有効に使用することや、明確に倒す相手がいることで予選会とは違う魔法を使う。
 相手を倒そうとする者と、不意を突いて相手を闘技場の外に追い出す者。
 だが、本戦は観客の期待を裏切ることとなる。
 予選会では印象が薄かった一人の魔術師が派手な魔法を使用することなく、対戦相手を場外へ導くように勝ち残る。
 彼の名は”レイセン”。
 そのレイセンとは対称的に観客たちの心を掴み勝ち残ってきたのは、四葉の騎士ベニバナだった。
 ベニバナの魔法攻撃は激しく嬲り殺すかのように生かさず殺さず、苦痛をより長い時間与え続ける。

「あなたの罪をユキノ様に聞いてもらいなさい」

 ベニバナは決まり文句を言ってから相手を殺す。
 女神ユキノの代行者として、罰を与えているという自負があった。

「私と戦うということは、女神ユキノ様の御意向に逆らうということ。戦わずに去れば見逃してあげますよ」

 レイセンは答えることなく、ベニバナを無視していた。

「そうですか。沈黙ということは答える必要が無いということですか。いいでしょう、貴方も私の手でユキノ様の元に導いてあげましょう」

 今回も簡単に倒せると思っていたベニバナだったが、魔法攻撃がレイセンには効かない。
 間違いなく攻撃は当たっているはずなのに、平然と立つレイセンの姿に信じられないように何度も打ち込む。
 その姿に観客も信じられない様子だった。

「ふぅ~、この程度か。期待外れだな」

 ベニバナを挑発するように不満を口にする。

「期待外れ⁈ 四葉の騎士である私を……深紅の拷問官と恐れられる私を、期待外れだと‼」

 体をふるわせて、レイセンの言葉に怒りを感じている。

「私を侮辱するってことは、ユキノ様を侮辱するのと同じことよ」
「面白いことを言う。お前が女神ユキノと同じ? ……なるほど、女神ユキノも、たいした神では無いってことか」

 信仰している女神ユキノを侮辱したレイセンに、ベニバナの怒りは頂点となる。

「これが神の裁きよ‼ あなたの罪をユキノ様に聞いて、断罪してもらいなさい」

 怒りに我を忘れて、レイセンもろとも観客を巻き込むほどの魔法を放つ。

「四葉の騎士ってのも名前だけだな」

 ベニバナに聞こえるような独り言を言うレイセン。

「罪を認めないお前にユキノ様の慈悲は無い。ユキノ様の怒りに触れたことを後悔するがいい」

 レイセンの後ろにいる観客たちは危険を感じて逃げ惑うが、それより早くベニバナの魔法がレイセンに直撃する。

「後悔しながら自分の罪を思い出すがいい」

 勝利を確信したベニバナは笑顔で土煙の中で骸になっているレイセンに語り掛けていた。

「……嘘でしょ!」

 土煙が引くと、何事もなかったかのようにレイセンが立っている。
 その後ろの観客たちも無傷だ。

「ユキノ様ってのは、関係のない人を殺すことも躊躇しないんだな」

 淡々と感情の起伏を感じさせない口調だった。

「お前に神の代弁者を名乗る資格はない」

 言い終わると同時に、ベニバナは血を吐き場外に飛ばされる。
 何の魔法を使用したのかさえ分からなかったが、レイセンの勝利が確定する。
 場外に飛ばされたベニバナは気を失っている。
 アルカントラ法国にすれば最強と言われている四葉の騎士の醜態を晒したことになる。
 この後、暴れたり騒ぎ立てるようなことがあれば国家間の問題となり、アルカントラ法国の評判を下げる結果となる。
 レイセンは無表情で、敗者であるベニバナを見下ろす。
 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 表彰会が行われる。
 各部門の優勝者と入賞者が闘技場に姿を現すが、ケアリーラは体調がすぐれないということで姿を見せない。
 まず最初に後衛職(回復職)の優勝者ケアリーラの名前を呼び、その後に入賞者に賞品授与をする。
 後衛職(攻撃職)も同じように優勝者レイセンに賞品が授与されると、続いて入賞者二名への賞品を授与する。
 最後に前衛職で圧倒的な強さで優勝をしたロッソリーニが呼ばれると、闘技場は大きな歓声で包まれる。
 残虐な戦い方をしたにもかかわらず、熱狂的なファンがついたようで、大声で名前を叫ぶ観客もいる。
 前衛職の入賞者は二人とも大怪我を負っているため、欠席している。
 全ての賞品授与が終わると、観客たちは優勝者と入賞者たちに賛美を送っていた。
 優勝者は、この後にもう一度、皇城で民衆の前で表彰式が予定されている。
 闘技場での表彰式を終えた優勝者たちは、皇城での表彰式まで特別な控室にいた。

「予定通りってことだな」
「当たり前だろ。俺が負けるわけないだろう。ってか、お前こそ、あの木偶でよく優勝できたな」

 ロッソリーニは横になっている、もう一人の優勝者ケアリーラを指差していた。

「それで俺はお前をなんて呼べばいい?」
「好きに呼べばいい」
「そうかい。じゃぁ、呼び慣れた名前で呼ばせてもらうよ。アランチュート」

 レイセンとケアリーラの正体は、”アランチュート”、虹蛇第六色“暴食”の名を持つ男だった。

「予選会も本戦も俺が戦った。と言っても、回復の作業は相手がお粗末すぎる」

 レイセンの体で喋るアランチュートと、ロッソリーニが会話をしている。
 表情を変えることなく話し終えると、静かに座っていた後衛職(回復職)の優勝者が寝たまま突然話し始める。

「これくらい、なんの問題もない」
「だろうな。ってか、あれはお前の本体なのか?」

 ロッソリーニは、先程まで話をしていた見覚えのある体を指差す。

「好みの体があれば調達している。なんなら、お前の要望に応えてもいいぞ」

 アランチュートがロッソリーニの質問をはぐらかす。
 当然、素直に返事が返ってくるとは思っていないので、質問をしたロッソリーニは気にしていない。
 虹蛇のメンバー同士とはいえ、お互いが全てを知っているとは限らない。
 仲間とはいえ、いつ寝首をかかれるか分からないからこそ、全てを晒すわけにはいかない。

「それなら、プルゥラのような女になってくれよ」
「……この体も似たように思えるが、ああいう年増が好みなのか?」

 ケアリーラの体で胸を触りながら、アランチュートは聞き返す。

「年増ね。プルゥラが聞いていたら殺されるぞ。外見は問題無いんだから、普通だろう」
「今度、用意しておいてやるが俺相手に発情するなよ」
「するか‼ 俺は生きている女にしか興味がねぇ。ってか、二人で交互に話すなよ。奇妙な感じだ」

 ロッソリーニは目の前にいる二人が同じ人物だと分かっているからか、三人での異様な会話を面倒だと感じていた。


――――――――――――――――――――

■リゼの能力値
 『体力:四十六』
 『魔力:三十三』
 『力:三十一』
 『防御:二十』
 『魔法力:二十六』
 『魔力耐性:十三』
 『敏捷:百三十五』
 『回避:五十六』
 『魅力:三十』
 『運:五十八』
 『万能能力値:零』
 
■メインクエスト



■サブクエスト
 ・ミコトの捜索。期限:一年
 ・報酬:慧眼けいがんの強化

■シークレットクエスト
 ・ヴェルべ村で村民誰かの願いを一つ叶える。期限:五年
 ・報酬:万能能力値(五増加) 
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