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あなたの野うさぎ
しおりを挟むあなたはまわりを自然にかこまれた田舎に住む保育園児。
とても活発で、木登りがとくい。ヘビがいても逃げずに捕まえる怖いもの知らず。
けれど、うちで飼っているすぐに吠える犬が嫌いで、いつもいじめている。
あなたが母親に連れられてうちに帰ると、いつも両親とテレビを見る部屋にちょっとしたダンボールが置いてあった。
その中からカサコソ音がする。
あなたは、母親に「見てごらん」と言われ、そっと近づいて中をみる。
なかには茶色の毛をした野うさぎが突然つれてこられたダンボールの世界で耳を背中にはりつけて小さく震えている。
母親に、「お父さんが拾ってきたのよ」と聞いたあなたは、月から落っこちたんだと想像する。
あなたは、自分についてくる野うさぎを想像し、うれしくなって身体が勝手にはねまわりそうになるのを抑えられない。
ご飯をあげようと、冷蔵庫からニンジンを取ってきて野うさぎの前に差し出す。けれど野うさぎはおびえこそすれ、なんど「うさちゃんたべて」っと言ってもニンジンを食べようとはしない。
ふるふる震えているから、あなたはタオルをかけてあげる。
それでも、ふるふるはとまらない。
そんな状態から二日たって、保育園から帰ったあなたがダンボールのなかを見ると、野うさぎが横になり激しく震えていた。
あなたは直感的にもうすぐ野うさぎが死んでしまうとわかる。
母親は夕飯のしたくをしている。
あなたは何とかしようと暖めてみる。
一向に震えはとまらない。
呼吸が苦しそうなのを見たあなたは、テレビでやっているように野うさぎの口から息を吹き込む。
野うさぎの震えはピタッととまる。
しかし、それとともに野うさぎは二度と動かない。
あなたは恐ろしいことをした感覚におそわれて、泣きながら母親のもとへ行く。
あなたが泣きやんだころには、外はすっかり暗くなっていて、そばにいた母親はカーテンを開けて、あなたに「ほら今日は満月」と言う。
空を見上げたあなたは、太陽と同じ大きさの、しかし太陽よりも優しい光を放つその星を、木々のざわめきと何処からともなく聞こえてくる虫の鳴き声のなかじっと見つめる。
夕飯のいいにおいが香ってきてあなたのおなかが、くうっと鳴った。
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